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唾棄すべき偏愛  作者: 平遥


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16/19

純粋な策∽side story of 足立玲衣∽

2月13日、世間はバレンタインデーの前日だという事もあり、にわかに活気づいていました。


「チョコレートを贈るのは日本だけであり本来は、バレンタイン氏の命日であるとかそんな事は問題ではない。チョコレートを贈るということが風習となっている日本という国の中で貰えない事が問題なのだ。」と彼が以前言っていました。

だから、あげようと思うのです。あたしは、彼が喜ぶならチョコをあげようと。

・・・・・・

「ねぇ、結菜。」

「あ!玲衣ちゃん。珍しいね、昼放課にうちのクラスに来るなんて。どしたの?」

「ねぇ。明日は、バレンタインデーじゃん?」

「そだね。」

「結菜は、彼氏がいるじゃん?」

「まぁ、うん。」

「どうせ、チョコ渡すでしょ?」

「あぁ、まぁ、うん。」

「もう、買ってあったりする?」

「いや、作るから買ってあったりしないけど。」

「あたしと作ろう!」

「何を?」

「チョコを。」

「うん、会話の流れ的にそれは分かるんだ。分かった上で聞いてんだよね。何で?」

「バレンタインだから。渡すから。」

「そりゃそうだよ。わざわざバレンタインに自分で食べるためにチョコを作る人なんて聞いたこと無いからね。そうじゃなくてね。」

「じゃあ、どうなのさ?」

「何で一緒に作るのかな~って。」

「ほら、彼と岩田君いつも一緒にいるじゃん?」

「まぁ、そうだね。」

「一緒の物を渡したら面白そうじゃない?」

「まぁ、そうかな?うん。」

「つまり、そういうこと。」

「なるほどねー。良んじゃない?」

「じゃあ、放課後に材料買いに行こう。」

「はいはい。じゃ、また後で。」

「ありがと。」

・・・・・・

「岩田元文芸部部長君。」

「長ぇーよ。漢字ばっかとか漢文かよ。元とか付けんなよ。後、部長と君で二重敬称じゃねーか。」

「一言からそんなに突っ込んで来るとは思わなかった。」

「んで、どしたの?足立っちゃん?」

「今日、部活休みたいなー、と。」

「軽い!?」

「そりゃ、まぁ。所詮全く活動してない文芸部だし。」

「なるほどね。」

「んで?」

「何が?」

「休む理由。流石に理由無しはちょっとな。」

「あー……今日が何日かで察してくれると大変ありがたいかな、と。」

「なるほど。OK。がんばれよ。」

「ありがとう。」

・・・・・・

「んで?お前はそこで何をしている?」

「おい、岩田。お前今足立さんと何を話していた?」

「足立っちゃん今日部活休むとさ。」

「なら、私も休むとしよう。」

「阿呆か。」

「足立さんの居ない部活など行く価値も、存在する価値も無い。だいたい、彼女は何故休むのか?」

「今日が何月何日かで察しろ。」

「……某リアクション芸人の誕生日を祝うとかか?」

「バカじゃねーの?」

・・・・・・

放課後になった。結菜は校門で待っていました。

「玲衣ちゃん、遅いよ。」

「いやー、ごめんごめん。」

「ま、いいや。さぁ、買い物に行こうか。」

「そだね。」

・・・・・・

さて、買い物では特に何事もなかったのでここでは省かせて貰いましょう。面白くないことはどんどん削る事が重要なのです。

という事で此処は結菜の家。

「さて、じゃあ作っていこうか。」

「ねぇ、結菜。」

「どしたの?玲衣ちゃん?」

「ついでに、買った結菜の夕飯に使う卵割れちゃってるけど良いの?」

「良いわけがない!」

「……チョコケーキに使っちゃおうか。」

「うぅ……。また買わなきゃ。」

「ドンマイ!」

「……イラッとくる。」


言いながら結菜が菜箸でつついてくる。


「痛いっ!結菜、やめて、ちょっ、痛いから!」

「……。」

「無言でつつき続けないで!」

・・・・・・

「さて、今度こそ作り始めようか」

「まずは、チョコを湯煎にかけて……」

「はい、チョコ。」

「そこにバターを、溶かして入れて混ぜる。」

「はい、溶かしたバター。」

「で、卵黄を入れて。」

「はい、さっき割れた卵の卵黄。」

「小麦粉とココアパウダーを入れる。」

「はいどうぞ。」

「……。」

「どしたの?玲衣ちゃん。」

「いや、完っ全にさっきから結菜、材料渡してるだけだよね。」

「ばれた?」

「そりゃ、ばれるよ。」

「まぁいいや。メレンゲを3回に分けて入れて。」

「はいはい、メレンゲね。……メレンゲ!?」

「うん。ほら、早く渡しなよ、結菜、いや材料係。」

「わざと、ギリギリまで言わなかったでしょ。」

「だって結菜がずーっと材料係を、やってたから。」

「あー、卵白混ぜるの大変なんだよ!」

「知ってるよ。だから仕返しなんだよ。」

「じゃあ、少し待ってて。」

・・・・・・

「はい、メレンゲ。」

「はいどーも。えーっと、1回目は入れたらメッチャ混ぜて……。」

「2回目、3回目は、切るように混ぜる、と。」

「あとは、型に入れて焼けば完成!いやー、出来たね!」

「結菜ってなんかしたっけ?」

「メレンゲを混ぜた。」

「……まぁ、場所を提供してくれたからいいか。」

・・・・・・

「おー!美味しそうに焼けたね!」

「明日の岩田君の反応が楽しみだね。玲衣ちゃんは?彼に渡して告っちゃう?」

「!?いやいやいや!渡すけど!渡すけども!」

「バレンタインデーに個人的にチョコを渡してる時点で殆ど告白みたいなものじゃん。」

「いいの!」

・・・・・・

2月14日、世間はバレンタインデー当日です。

「はい、これ。岩田君の分。」

「お!ありがとう、結菜。」

「えっと、これ。君のやつ。」

「足立さんが私にくれるというのか!?」

「うん。」

「結菜と二人で作ったの。一応、味見したから不味くないと思うよ。」

「ありがたい。」


やった!彼に喜んで貰えた。……もしかして今、告白したらOK貰えるんじゃ?よし、勇気を出して……


「それと、ね。」

「どうした?足立さん。」

「えっと……やっぱり何でもない。」


無理!結菜は、ともかく岩田君がいる状況じゃ、無理!


「そうか。なら、良いのだが。」

・・・・・・

以上があたし、足立玲衣のバレンタインデーの全貌です。何とも上手く行かないなー。もし、両想いだったらな……。


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