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唾棄すべき偏愛  作者: 平遥


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13/19

阿呆の策

人は誰しも、大なり小なり悩みを抱えているものである。そして、古来より学生、とりわけ腐れ高校生の悩みというのは非常に矮小なものである。

しかし、他人にとっては矮小でも本人にとっては巨大であるのが学生の悩みなのだ。

そこで皆様には一月ほど前の我々を見ていただきたい。


回想開始。しかし、見るに堪えない。

・・・・・・

「岩田、私は進級できるのだろうか?」

「お前にしては真面目な質問だな。でも敢えて言おう、知るか。」

「貴様、それが友人が進級の危機に瀕しているときに掛ける言葉か!」

「大袈裟なんだよてめーは!たかだか2学期中間考査赤点で人生が詰んだみたいなテンションになってんじゃねーよ。面倒くせー。」

「貴様には人の心が無いのか!」

「毎回考査の度に同じ事を言っている阿呆を人扱いしないとダメなのか?」

「私は阿呆ではない!」

「は、ぁ?いいか?良く聞け。阿呆でも分かるように何故お前が阿呆か説明してやるから。」

「おい、人をあまり阿呆阿呆言うな!」

「黙って聞け。まず人は考えるという前提があるな。そして考えるから同じ失敗をしない。阿呆は同じ失敗をする。つまりは考えていない。結論として阿呆は人でない。そしてお前は同じ失敗をしているから人ではなく阿呆である。Do you understand?」

「…………いや、その理屈はおかしい!」


危ない危ない、騙されるところであった。岩田氏の話術恐るべし。


「つまりあたしも阿呆って事?」

「!?毎度の如くいきなり登場するな足立さん!」

「うわっ!?俺もびびった!」

「いや、驚きすぎでしょ。傷つくよ?」


そうは言っても突然人が現れて驚くなというのは無理な話である。


「で?足立さんも阿呆とはどういうことなのだ?」

「いや、実は化学が1学期期末試験のとき赤点で、そして今回も赤点。25点で。」

「岩田、一つ聞かせてくれ。」

「どうした?17点。」

「私の化学の点数で呼ぶな!」

「悪い、5点。」

「今度は数学の点数ではないか!」

「……17点なの?良かった下が居て。」


見事な笑顔である。心から安心したという顔をしていらっしゃる。


「で、岩田。化学の平均点は何点だろうか?」

「51点だったかね。」

「……トリプルスコア……だと。」

「阿呆だから仕方ないな。」

「いや!良いのだ!数学も化学も私には必要がないのだから!」

「進級する為に必要だよ?」

「うわ、足立っちゃんきっついなぁ。」

「……。」

「オイ、狸寝入るな!」

「次回こそ!次回こそ行けるはずである!」

「そうかー。言っとけ。抜かしとけ。ほざいとけ。」

・・・・・・

以上。回想終了。

そして、現在は期末考査期間である。

案の定今回も、数学教師の力説も化学教師のご高説も私の脳に皺を作るには至らなかったらしい。

テスト範囲を見てもさっぱり訳が分からない。


「何故、人は数字にアルファベットを織り混ぜそこに不等号や記号を飛び回らせてまで何らかの答えを見出だそうとしたのか。良いではないか。見えない答えは見えないままで。そのような事をするから我々後世の人が苦しむのだ。大体……。」

「何、お前は偉大な数学学者に文句をつけてんだ。」

「大体、少し数学が出来るからといって一月前に人を阿呆阿呆言っていた奴も居るし……。これだから理系は。」

「あ、違ぇな。これ俺への悪口だな。どつき回して良いよな、この阿呆。」

「よし、岩田。私に数学と化学を教えてくれたらあらゆる文系教科を教えてやろう。」

「この流れでよく言えるな!」

「良いのか?このままだと来年私が居なくなるぞ?そうなると授業中家から毎時間メールや電話をしまくるぞ。」

「うわ、ウザ。」

「それが厭なら教えるがいい。いや、教えてください。」

「あー。お前が俺に敬語ってのはガチの方だな。」

「あ!ついでにあたしもお願いしま~す。」

「あー。もういいよ。ついでだから足立っちゃんも来い。」

「あれ、あんまり驚かないね。」

「なんつーか、もう……慣れた。」


まぁ、私は大変驚いた訳だが一つ気になる事がある。と言うわけで私は岩田に耳打ちした。


「いや、まて。岩田。何で勝手に決める!」

「駄目か?」

「良いか悪いかで言えばそりゃあもう、良いのだが

しかし、貴様の部屋のようなゴミと岩田汁でできた魔境に足立さんを踏み入れさせる訳には行くまい。」

「……お前だけ家の前で帰らせるぞ?」

「失礼。だが、貴様の部屋は駄目だ。」

「じゃあどうすんだ?図書館でも行くか?」

「あんな息が詰まりそうな所で勉強できる訳がない。」

「んじゃあ、足立っちゃんに頼んで行かせてもらうか?」

「あの聖域には貴様のような男は爪先さえも入れさせん。」

「じゃあどうして欲しんだよ?え?」

「我が家に来るが良かろう。」

「は?Pardon?」

「いや、何故そこまで信じられないといった顔とリアクションなのだ。私にも住んでいる家くらいあるだろう!」

「そりゃ、今まで家に誘われなかったからだよ。」

「誘ってしまえば、もてなしが面倒ではないか。」

「あぁ……そう。」

「と言うか以前、風邪を引いたときに勝手に押し掛けただろう。」

「あぁ、そんなこともあったな。」

「と言うことで足立さん。今日の帰りに私の家に寄って行くが良い。」

「早っ!んで珍しい程行動的だな。」

「その理由ならば簡単だ。前に足立さんの家に行ったときの仕返しをする為に……な。」

「……俺ぁ今、お前が足立っちゃんの家に行った事があるっつー事実にびっくりしてるわ。」

・・・・・・

さて、予期せず足立さんが我が家に来ることになったのだがそんな状況で勉強できるのだろうか。

後は……私の部屋は岩田氏の部屋より片付けが必要であったのだが……。

ふむ、どうしたものか。


そんなこんなで、また次回へと引き継がせて頂きたい。


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