表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/50

第5話   仲良くなれたなら・・・・。




何から話せばいいのか。

それとも、何も話さずに、記憶喪失だとでも言うのか・・・。



+++ +++ +++ +++



「・・・(にわ)かには信じがたいな。」


結局すべてをリアに話すことにした。

ありのままを、全て。


あの熊が、エルフが、俺の世界に存在しないこと。

俺の推測。この世界が、俺の側(・・・)から見て異世界であること。

そして身体の変化。

そう、学生の身分にあるまじき、あの力はいったいなんのか。

彼女に、説明を求めているわけではなかったのだが、この世界に来て弱っていたのか、それとも元からそうだったのか。

ぽつりぽつりと全てを話してしまった。


リアの反応を見ると、失敗だった、みたいだ・・・はぁ。

「・・・・だが、いまの私にそんな嘘をつくメリットが見出(みいだ)せないな」

リアの自嘲気味なニュアンスには気が付かず、スグルはその言葉に飛びついた。


「えっ、信じてくれるんですか!?」


「ああ、そうだと言っているだろう。私が力になれることならば、無理のない範囲で力になろう」


「あ、ありがとう」


「なに、礼を言うのはこちらの方だ。命を助けてもらったのだから、それくらいはしておかないと、私の気が済まないというものさ。それとひとつ、きみがデビルグリズリーを倒したときのことだが・・・」


「あっ、あの熊そんな名前だったのか」


「ゴホン」

「すみません」



「あの時、きみは“気”(エクシード)を使っていたように見えた」


「えくしーど?」


「その様子だと、“気”(エクシード)“魔力”(エナジー)相克(そうこく)属性という事も知らなさそうだな」


「はい」



+++ +++ +++ +++



まとめるとこんなかんじだ。

魔力(エナジー)は、六角二柱。

つまり、(えん)(ひょう)(すい)(らい)(ふう)()の六角属性。

(こう)(あん)の二柱。

光と闇が、相克(はんぱつ)するのに対して、六角属性の間に明確な優劣は存在しないらしい。


ひと一人が、扱える属性には限りがあって、その人の魔力的相性によるらしい。

その他にも、明確に分類されない属性もあるそうだが、今は必要ないそうなので省かせてもらう。

つまり、得意属性に則して魔法が使えるということだ。


予想していたことだが、魔法の存在を聞かされると、地球じゃないんだなぁとしみじみ思う。日本でそんなことを言った日には、黄色い救急車を呼ばれることになるだろう。



さて、そのことをふまえて、“気”(エクシード)についてだが・・・。


リアも、よくは知らないようだ。

なんでも、その存在が、明らかにされたのは約30年前のことだそうで。

それまでは、知る人ぞ知る技だったらしい。

その力を明かしたのは東方の島国、シャングリラ。なんでも、黒髪で、独特の衣装を着ている、刀を扱う、他にも特徴的な風習があるらしい。

どこぞで聞いたような人たちだが、彼らが“気”(エクシード)を修めたのは、200年以上も前のことらしい。


不確定なことばかりだが、歴史が浅いのだから、伝聞形式になってしまうのは致し方あるまい。


現在分かっていることだが、気=体力とも精神力とも言われていて、“気”(エクシード)の多用は疲れるため、時には使いすぎて衰弱死することもあるという。

そして、魔力属性の二柱である“闇”(あん)“光”(こう)のように、“気”(エクシード)“魔力”(エナジー)相克(はんぱつ)するらしい。



+++ +++ +++ +++



「なるほど」


「あの時のスグル殿の身体から、魔力は感じられなかった。つまり、あの時は気を使っていたと考えられる。

残念ながら、私は気についての知識は持ち合わせていない。これ以上教えられることはない。・・・・・すまない。」


「い、いえ、そんな、あやまらないでください、十分です。・・・・・ええと、なんかリアさん少し堅いですよね。」


「そうだろうか?」

「そうですよ。俺のことをスグル殿とか呼ぶし、話し方もなんか他人行儀だし。俺の方が年下なんだから、もっと砕けてくれた方が、俺としてもありがたいですよ。」


「ふむ、そうは言うが君の方だって私のことを“さん”付けするだろう。」

「いや、だって年上ですし」


「・・・・・エルフは人間に比べれば長命だが、私は19だ。君とそうはかわらないだろう」

「俺は確かに17ですけど、でも・・・・」

「でもじゃない。君のことをスグルと呼ぼう。代わりに、私のことも呼び捨てにしたまえ。」

「ええっ!!?」


「スグル」


「い、いや、でも・・・。」


「スグル」


「えーと」


「・・・・・・スグル」


「うっ。リ、リアさん?」


「・・・・」



「リ、リア」

「ふふっ、よろしい」


参った。2度目です神様。

彼女の事を呼び捨てにしたときの顔は・・・・とても素敵で、こんな笑顔を見せてくれるなら、

なんでもしましょうという気にさせるのに十分だった。





『すずかぜ らいた』です。お初の方は、はじめまして。

でも、これを読み終わってくれたってことは、違うのかな?

もしそんな人がいたら、最初から読んでくれたらうれしいです。


さてさて、ご意見ご感想をいただけたら幸いです。



ではごゆるりと

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ