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第39話   誰もが逃げている

だいぶ修正しました。多少読み易くなったかと・・・・。




一番重要な要素はなんだろうか?

力か、戦術か、数か、運か・・・・・。


別に目標を立てたわけではない。

ひと月見学。しかる後に、道場破り。

これの繰り返し。

何が俺をそんなに駆り立てたのか?


果たして、この拳を振るう事に理由は在ったのか?


魔法(きせき)はそこに在ったのだろうか?


まだ・・・・・俺には、分からない。




+++ +++ +++ +++




左右の機械マキナの機関銃が火を吹いた。


唸る轟音と閃光。

薙ぎ払うように三体のサソリがマシンガンのついた腕を振り回す。

ひりひりする耳と目の訴えを全力で無視して、地面を転がった。


「おわっ!やば過ぎる!!」


目指すは、機械が武器を換装した際に落とした片刃剣。それが一本でもあれば、エクシードを徹して対抗できる。

しかし、



ゴォォォォォォォォッ!!!



「ぐっあああぁぁぁぁぁぁ!!」


右腕を焼かれた!!

容赦なく噴射される火炎に熱さよりも痛みが上回る。

仰け反るようにして逃れようとしたが、敵の火炎放射器の射程はかなりある。

完全には避けきれなかった。


膝をつきそうになる痛みに躊躇なく絶叫する。

我慢しようとしたら、折れる。折られる。


(―――多少、息が乱れても良いっ!なんとかして、剣をっ!!)


主に攻撃してくる機械マキナは最初の一体と援護に来た5機の中から2機のサソリ。

全部で計6機の魔導機械が居るわけだが、その残りは逃さないようにか、通路をふさぐようにして、棒立ちしている。

流石にこの巨体では、せまい通路でそこまでの機動力を確保できない。

しかし、武装は明らかに殲滅目的の武器だ。

広範囲に弾と火をばら撒き、敵を攻撃する。

ただ、広範囲を対象とするため、狙いが付け辛いこと。逆に火力が高すぎて、連射は出来ないのがせめてもの救いといえる。


魔法が使えない今、頼れるのは(エクシード)


そして、エクシードを操る際に重要とされる基本法。

浸透、強化、凝縮、放出、拒絶。


これで、既にエクシードで身体を強化している。

特に密度を高めているのは、目。

動体視力を極限まで引き伸ばし、無駄を省く。


優にとって、今だエクシードは信用出来ない、不可解で完全に把握できない能力(ちから)だった。

(エクシード)と違い、魔力は掴み易く想像力(イメージ)で簡単に操る事が出来たが、気はまるで(かすみ)

とてもではないが“凝縮”と言えるほど使える気がしないし、ここぞというときに裏切られるのではないかという懸念が付きまとっていた。


頭では理解できるのだ。

四肢と武器に“浸透”させ、

次いで身体を“強化”する。


一点に“凝縮”させれば、

体外に“放出”させ、攻撃に転じさせることができる。


それぞれを極めれば、エナジーに対抗できる“拒絶”に到る。

気を広げ、能力を高め、使いこなすことによって肉体をより限界まで行使することが出来るわけだ。現在の優は多少なら“放出”にカテゴライズされる技が使える。

だが、しかし。

鋼の塊に魔法がかかった魔導機械に、果たしてそれが通じるかどうかは甚だ疑問だ。


(―――しかも、強化して拳を振るったとしても、たぶん、先にこちらの拳がやられるっ!!)


腰のポーチからポーションを引っ張り出す、と同時に背後の一体の唸るような駆動音が響く。

口でコルク栓を食い千切り、右腕にビンの中の液体を腕に降りかける。

効果はすぐに現われた。

煙と共にあっという間に痛みと腫れが引く。


ブンッ!!


背後に迫っていた機械の攻撃を優は再び転がる事で避ける。


逃げ回るだけでは状況を打開できはしないだろう。

それは理解している。

そのためには、やはり・・・・剣を手にしなければならない。

そうすれば、エクシードを浸透させ、己の手足のように武器を扱うようにできる。

おのずと、道も切り開ける。


(―――ちくしょう、だったら・・・・・やってやる)


サソリの赤い瞳のガラスがこちらを睨む。

優は起き上がりざまに壁を蹴りつけ、素早く後退すると、再び剣を目指して走り込む。


カチリッ、という嫌な音が鳴り、こちらに向ってガトリングを構える。

背筋がひやりとする感覚を押し殺し、敢えて直進。


正面から飛びこむ!!


轟音と閃光。

排薬莢はいやっきょうが地面に落ち、鉛の雨が降り注ぐ。

鉄さえ砕きそうな音と威力。

掠める弾をエクシードで底上げされた動体視力で、予測(アシスト)避ける(ステップ)


魔導機械を欺く為に落としていたギアを一気にトップギアまで切り替え、回転をつづける銃身の横で急停止。

拳を構え、撃ち抜く!!


骨折覚悟で殴りつけた!!


「おらぁっっっ!!!」

瞬間、放出された気のエネルギーが拳を護り、なおかつ威力を高め打ち砕く。


『ガガガッガガアガッ』


ひしゃげた銃は壊れる前に逸らされた射線上の魔導機械を一機破壊。

狙い通り、巻き添えにして爆破した。


(―――これで、あと五体。そして)


「これはもらった!!」


足元に転がるそれを蹴り上げて手に納めた。

おそらくは、目の前の魔導機械と同じ素材作られたであろう敵の武器を鹵獲(ろかく)

白い刀身には緑色のラインが入っている。よく見るとそれが周りにもある壁と同じ、翼の紋様を描いている。

西洋剣のように肉厚で、叩き切ることを主目的にした武器。片刃という点を見ると、日本でいう所の斬馬刀を思い浮かべることができる。そしてそれを総合してみれば、まるでもってファンタジーというべき代物だ。


「しかし・・・・・デカイ!!」


あまりよく見てなかったが、かなり大きい武器だ。

優が普段使っているのが15、6センチ振り幅のダガーだけにその差は大きい。

もとが機械(マキナ)の武装だっただけに、人が振り回すことを考慮されてないのだろう。

幸いな事に、持ち手は30ほどあり、数ヶ所穴が空いてるだけで持ち易そうだ。


目算で全長は1.6ほど、ジョイントされて隠れていた部分を考慮に入れても、刃渡りは確実に1メートル以上はあることになる。

これを平然と避けていた自分にびっくりである。

それはさて置き、


「でやっ!!」


試し切りとばかりに大剣を目の前の敵に振るう。


ズバッ!!


「!!」


いともたやすく足の一本を接続部から切り落とした。

態勢を崩しながらも振るわれた尻尾を避け、確信する。

(―――いけるぞ!!)


返す刀でもう一閃。

尻尾を切り落とすと赤いガラス状の瞳に剣を突き立てる。


―――ギギギギギギギギッ



断末魔の悲鳴を上げる機械には目もくれず、もう一本の大剣を拾い上げると投てき。手段を選ばず、味方を巻きこんでまで殲滅を遂行するつもりだったのか、火炎放射器を構える一機を見事貫いた。


息継ぎする間も無く、突き立てたままの大剣を抜き払うと即座に退避。


ドォォォォォンッ!!


お約束通りに爆発する魔導機械2機。

てらてらと燃え盛るのは燃料に引火したからか、それとも機密保持の自爆装置でも取り付けられていたからか?


大剣に(てっ)するエクシードの流れが予想外に良い。

自身の気が剣を覆い、身体の一部になったような奇妙な感覚。


このまま戦っても勝てるかもしれない。


そんな考えが頭の中をよぎったが、相手は多すぎて数の優位を生かしきれなかっただけということに気付いていたので、炎越しに見える残りの三体が消火活動に乗り出す前にと、逃げた。


繰り返す。


逃げた。


(―――三十六計逃げるが勝ち!!)


ちゃっかり、鹵獲した大剣は片刃だったので、肩に担いでとんずらこいた。

それはもう、清々しくしく。


『敵影逃亡>>>>逃すな!!』


『―――消火優先』


『逃すな!!』


『消火・・・・・逃げられた』


とかなんとか、間抜けな声が聞こえた気がしたが、とりあいず無視。


逃げた。


運動が得意とか計算ずくで戦場を支配とか、キャラじゃなかったので。


逃亡中。


(―――さて、どうしたものか)


足を止めることなく、ひたすら駆ける。

途中、ドアの形に切り込みの入った壁を見かけるも、取っ手もなくては開けようがない。

やはり駆ける。


何度も角を曲がり、自分でもどれだけ走ったのか分らない程になって、階段を見つけた。

その階段は下へと繋がっているようで、ここがどんな場所か把握できないまま降りるのは気が進まなかった。

しかしながら、半分ほど降りて、中ごろで腰を下ろす。


「なんでここに居るんだろうな・・・・」


いきなり襲われた事で多少気は晴れたが、悩み事が無くなったわけではない。

戦っている途中でも、気が付くことがいくつかあって、それがまた優を落ちこませた。


例えば、


「俺は普段から、いや、異世界に着いた初めから(・・・・)卦繋法を使っていた?」


エクシードを多少なりとも使えるようになって気がついた。

エクシードは使って即、筋力が増大したりする事はない。にもかかわらず、異世界に着てすぐの時、リアを助ける際にデビルグリズリーを蹴り飛ばした。

蹴り飛ばす事が出来た(・・・)

3メートルもある巨体をだ。これは日本にいた時では流石に考えられない事だ。

先ほど戦った魔導機械は高さは約1.5メートルあり、横に大きいということや鉄の塊という事実を無視したとしても、自分は弱っている(・・・・・・)

無論、自分の中にいる(・・)化物の事を忘れたわけではない。


浸透、強化、凝縮、放出、拒絶。


大業な種類分けでティナから教えてもらったが、そもそもここからして違和感が付きまとっていた。

我流で分類するには万能すぎる能力だったが、何かが違う気がするのだ。


ティナが危険だという理由で《卦計法》の存在を黙っていた。それとは別の事で、まだ何か自分は教えてもらってない事があるような気がしてならない。


「なんなんだろうな・・・・・この違和感」


相変わらず気味の悪い刺青を撫でながら、優はぼやいた。




+++ +++ +++ +++




魔法。

これは圧倒的で、暴力的で・・・・・それでいて刹那的で。

その一瞬のきらめきが魅力的で。

何が言いたいのかというと。



魔法。

こんなものは無いんだよってこと。

だから。

それは―――絶望(ぜつぼう)―――なんだ。

分るだろ?


絶望・・・・・。

全く、望みが、無いってことだ。



だから。

私は(・・)

この世界の魔法(ぜつぼう)になろうと思う。





あれこれ書いておいて今更ですが、収拾がつくのかねーコレ?

最後まで読みきった後、どれが誰の思惑か伝わるのか・・・・・少々どころか、だいぶ心配。なにせあれこれ書いている内の半分以上の人が今だ登場してません(笑)。いや、ほぼ全部かな?

後は、状況描写、感情描写どちらを優先させるかで、今一つ折り合いがつかないんですよね。そこそこの文量になってきましたが、終わるのは何時になる事やら。

でもまぁ、下手は下手なりに頑張っているのでよろしくお願いします(苦笑)。

はい、では皆様。ごゆるりとば

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