第3話 忘れてた。
修正、挿入、訂正しました。
あの後、素直にも俺の手をつかんで立ち上がった女の人。その場を離脱するためにとりあいず歩く。警戒されてるかなぁと思いつつ、こちらも貴重な情報源を逃がすつもりは毛頭ない。
薬の類だろうか、カバンから取り出した何かを飲みくだしている彼女を尻目に、無言で先導。
行く当てはなかったが、川の流れる音がしていたのでそちらに向かう。
と、川を目の前にして無言でいる俺に我慢できなくなったのか、その女性が口を開いた。
「どこに向かっているのか、聞いてもよろしいか?」
なんだか肩苦しいしゃべり方だなと思いつつ、それに背を向けたまま応える俺。
「あの獣が何なのか知りませんけど、獣であるからには、鼻が利くと思いますから。この川を渡って、臭いを一回消しとこうかな、と。・・・・・・何か、まずかったですかね」
「いや、正しい判断だ。私は異論無い」
そんな会話をしているうちに、じゃぶじゃぶと水の中へ。
土で汚れた足に、冷えた水はどこか新鮮で気持ちがよかった。
しかし、その冷たさのせいで否応無しに現実を直視せざる負えない。
膝ぐらいまでだった、川を渡りきると、再び森に入り、そこそこ歩いたところで足を投げ出すように座りこんだ。
(・・・・・・きつかったー)
優自身、熊に飛び蹴りをしたのは初体験、それどころか、熊に飛び蹴りをした事がある人がいるかどうかさえ怪しい。その上、熊は吹き飛んだ。
この重大な事実に唸っていると、先ほど助けた女性が、目を合わせるようにしゃがみ込んで来た。
「先ほどの助力、感謝する」
そこで、さらに重大なことに気が付いた。
「私の名は、リンデノーア・セルト・フォン・シュトレーだ。」
その女性は綺麗だった。そう綺麗。しかしながらそれだけではなく、
「リアと呼んでくれ。人間には長すぎるだろうから。」
自嘲気味にそう言う彼女の、
髪からのぞいた
耳は、
とがっていた。
・・・・・・異世界確定だな。
ため息と共に思った。
特殊メイクとかなんかの撮影とか誘拐とかドッキリとか、はたまた夢だとか・・・言い訳するのは簡単だが、素直に現実を見た方が、いいと思った。
「・・・・・・くれないか」
「えっ、今なんて言いました?」
「・・・あつかましいかもしれないが、礼をしたいから、名前を教えてくれないかと言ったんだ」
やばい、怒らしたかなと思いつつ、
「あつかましいなんて、そんな事無いです。申し遅れました浅木優です。あの、リアさん。こちらからも質問してもいい、でしょうか。」
「ああかまわない。スグル殿は命の恩人だ。そんないかしこまらなくていいぞ。」
そう笑顔で答えてくれたリアに、少し見惚れるのを内心いさめて、
「ええと、それじゃお言葉に甘えて・・・・・・リアさんはもしかして・・・エルフ?」
その言葉にうなずくリア。
やっぱりか。
魔族とかいう設定が、頭をよぎらなかったわけではない。
それも、よくありがちなことだが。
陶磁器のような白い肌に、背中まで流している若草色の髪。ツンと、とがりながらも少し垂れた耳。こちらを飲みこむような琥珀の瞳。そして、おそらく黄金率に法ったであろう目鼻立ち。
我ながら可笑しな事だが、そのどれも、どうにも印象が魔族という単語と合わなかったのだ。
しかし、結果としてそれは正しかったわけだ。
思考に埋もれかけた俺に、リアが言った。
「スグル殿、もうすぐ日が暮れる。答えられることなら私が答えるから、今日は夕食に招待してもいいだろうか?」
その言葉にありがたくうなずいて、三度重要なことに気が付いた、というか思い出した。
「? どうかしたのかな」
棒立ちになった俺にリアが尋ねた。
「あのー、すごく言いにくいのだけど・・・・・・用を足してきていい?」
飛ばされる前にトイレに行こうとしていたのを・・・・・・忘れてた。
おはよう、こんにちは、こんばんわ。そして『すずかぜらいた』です。
さて、話が進みませんねぇ。
私のせいですかねぇ。
はい、そうですね。
いや~実際書いてみると難しさが分かるというか、なんというか。
作家さんは、偉いですよね本当に。
すずかぜは、のんびり宣言をしてるので、自分の速度で書きますが、作家は締め切りに追われて、かつ、あのクオリティ。
ほんと、偉大です。
と、こんなすずかぜですが。成長期が再びくることを信じて、牛乳をたくさん飲んでます。
つまり、すずかぜにとっての牛乳=感想をどしどしお待ちしております。
これからも言い訳まみれで進行すると思いますが、お付き合い下されば、と思います。
それではまた、ごゆるりと