第2話 クマさんに飛び蹴り
《すずかぜらいた》です、はい。
本筋に影響が出ないよう、ちょっとだけ文を挿入+修正。
まずいっ!!
リアは必死だった。
もつれる足と絡まる思考に、焦りを感じながら、身体を地面に投げ出す。と、同時に彼女がそれまで立っていた地面が、鋭い爪に抉りとられる!
その爪の持ち主は全長3メルほど、リアの記憶違いではなければ、これほどの大きさでありながら、成体に至ってない。つまり、このデビルグリズリーというモンスターは子供なのだ。
・・・・・・まずいっ
再びリアは思った。
当のデビルグリズリーは、こちらの様子をうかがうように、赤い眼で爛々とリアを睨んでいる。
肩から血を流しすぎて、意識も集中できず、シルフもなぜか応えてくれない。
彼女のカバンには、傷を癒す道具も入っているのだが、そんな余裕もない。
舌なめずりをするグリズリーにおぞましさを感じつつ、足をすくませようとする恐怖に抗い、必死に逃げる方法を模索しつづけた。
*** *** *** ***
音のした方に向かいつつ、優は再び違和感を覚えていた。
なんか、身体が軽い??
帰ってから飲んだ栄養ドリンクが、いまさら効いたのか?
そんな違和感を持て余しつつ、視界のひらけた場所に出た。
そこで、
「でかっ、やばっ、つーかデカイッ」
そこには、3メートルはあろうかという熊みたいな奴と女の人が居た。
襲われてるっ!?
遅れ馳せながらそのことに気が付き、次いでその熊が見た事が無いモノということに驚く。
最初は、その巨体にばかり目がいったものの、よく見ると角と羽を生やしているのだ。
「見捨てるって選択肢は無いよなぁ、はぁ・・・・・・いきますか!!」
走る、走る、走る!!
違和感を確信に変えて・・・・・・
「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」
飛び蹴りを敢行した。
*** *** *** ***
「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」
「!」
黒髪の少年が視界の端に映ったとたん、その少年が叫びながら飛び蹴りする。
それは、一瞬の出来事だった。無茶だと思う間もなく。
ドッゴッ――――ン
「!!」
・・・グリズリーが、吹き飛んだ!?
その少年は、何でもないかのように立ち上がると、グリズリーに視線を向けたまま言った。
「おい、だいじょうぶか?腰抜かしてないでさっさと逃げるぞ」
「・・・きみは、いったい何者なんだ?」
「その答えを俺も探しているところなんだ。さ、どうもあのデカブツは気絶しているだけのようだし、また起きてきて、襲われたらたまったモノじゃないからな」
苦い笑いを浮かべながら、彼は手を差し伸べてきた。
それが、彼“浅木優”と、彼女“リンデノーア・セルト・フォン・シュトレー”の出会いだった。
ごゆるりとば