第1話 ナウでヤングな俺、参上
人生悟りきっているわけではないが、悟りを開いてみるのも、たまにはいいのではないだろうか?
特に、異世界などに飛ばされたときなどは。
「どこだよ。・・・・・・ここ」
密林に見えるな。
「いやいや待てマテ落ち着けよ?浅木優。落ち着いて、冷静に、考えるんだ。」
おーし、俺は冷静だ。オーライ、ばっちこいだ。
「よし、じゃあ俺の性別は?」
男だな。
「おしっ、本題だ。ここはどこに見える?」
・・・・・熱帯雨林に見えるな。
「言い方違うだけだろっ!」
そんな虚しいのりつっこみを、一人で切れ気味に繰り広げながら、ついさっき起こったことに思いを馳せた。
~~数十秒前~~
ああ、暇い、暇すぎる。この世のものとは思えない、すさまじい暇さだ。
人生とは角も暇なものか
この世に生を受けては幾数万年の時が経つのか
人生は虚しき物だなァ
―――などと、何もする気が起きないままに、壊れた思考をもてあましていたところ。
生理現象の命ずるままに、むくりとベットの上から起き上がった。
彼、浅木優は一軒家に一人暮しだった。
というのも、両親は彼が小さい頃に両名とも他界していて、保護者代わりをしてくれた伯母さんは『男の子なんだから自分の面倒は自分で見ろ』
と、高校入学と共に一緒に住まなくなった。
実際、バリバリのキャリアウーマンの彼女は忙しい。
ここまで育ててくれたことには、優も感謝していた。
そんな理由からか、貧乏ぐせのついた彼の部屋は、物が極端に少ない。
その部屋を出て、いそいそとトイレにむかう、優。
あれ?
トイレのドアノブを握りながらも違和感を覚え、
ま、いっか~と、開けると・・・・・・白かった。
ただ、ただ、白かった。
視界が真っ白に染め抜かれ、握っていたはずのドアノブが、
砂のように解けていったのを感じた。
次の瞬間、緑に囲まれて、優は立っていた。
見上げてみれば、空までも覆うような木々。
すなわち―――森の中に。
~~現在~~
「マジか」
どうしてここにいるのか全然分からん。つーか便所のドアを開けたら密林って、どないしろと、このわたくしに・・・・・・。
アレか、
【以下は優の妄想である】
えいっ、召喚。
あっ、勇者様~魔王を倒して下さいまし。
フッ、まかしときな。ナウでヤングな俺様が魔王なんぞ、けちょんけちょんにしてやるぜ。
きゃ~!!ゆうしゃ様!!!!!!
【了】
にしては、金髪美女、もしくは、美少女が見当たらないことに首をかしげる優。
彼の思考は現状の把握を放棄したようだ。
とそこに。
ドォッッッッッン
「!?な、なんだ」
ものすごい音と共に地面のゆれを感じた。
どうやら背後の方から響いてきたようだ。
「いや~な予感がするんだけど、はぁ。現状、ここがどこか判らないし、まぁ行ってみるか」
そうぼやくと、走って音がした方へ駆けて行った
「あっ、イテって俺、裸足じゃん」
・・・・・・・・・気付くの遅っ!!
神とも仏とも知らぬものにまで、突っ込まれたようだ。
初投稿になります、『すずかぜらいた』です。
なに分初なので歩みの遅いこともあると思いますが、気長にお付き合い下さると大変光栄です。
放置していた部分を一部修正。
では、ごゆるりと