ダンジョンへ行こう
ドラゴンの頭を持ち帰ってきた翔達、酒場に入らないので店の前に下ろして検品してもらう事にする。
得意気に黒鴉がドヤ顔を披露する。
「どーよ!私達が取ってきたんだからね」
「別にお前の手柄じゃぁないだろ」
「『達』って言ってるじゃない!」
アキト軽く口論しているのを翔と黒姫は黙って見守るのであった。
確認が終わりドラゴン退治完了したとして報酬を大量に手にした翔達。四人でドラゴンスレイヤーの称号もちゃっかり得るのであった。
「ふっふっふ、報酬がホクホクだな!」
大量の金貨を得たアキトはニヤニヤしっぱなしで三人から微妙な顔をされる。
「よーし、美味い飯でも食いに行こうぜ」
アキトはテンション高めであって美味しいご飯と聞いて黒鴉も翔も賛成と手を挙げる。
黒姫はちゃんと使い道考えましょうよと散財しようとするアキト達に注意する。しかしアキトは笑って流してしまう。
「まあまあ、余裕はあるから気にせず行こうぜ?」
「もう!三人とも先行き不透明な旅なこと忘れないでくださいね」
家庭的な事を言う黒姫の気苦労は絶えないのであった。
レストランに入る四人はそれなりに高い食事を食べる。
宣言通り牛ステーキを三人が食べて黒姫はオムレツを頼むのだった。
黒鴉は一人だけ安めの物を頼む妹を心配する。
「アンタもステーキ頼めばいいのに」
「…好きなもの頼んで悪いですか?」
黒姫の開き直りに三人はそれぞれの好物を思い浮かべてそれはそうとなる。
その後宿もいい場所を選び四人は満足した一日を過ごすのだった。
翌日酒場ではドラゴンスレイヤーのパーティの噂話で持ちきりになっていて翔も黒鴉も少しニヤついてしまう。
「勇者だなんて持ち上げ方されてるそうだぞ」
「ドラゴン倒しただけでこの話題持ちきり、いい気分ね」
ちょっと浮かれている所にアキトがまた仕事を引き受けてくる。黒鴉は茶化すようにアキトに語り掛ける。
「あら?今度は魔王退治でも引き受けてきたのかしらー?」
「魔王ね…居たら目標に苦労しないな」
「ドラゴンスレイヤー様に退屈なお仕事させないでちょうだい?」
調子に乗っている黒鴉の頭に軽くチョップを入れるアキト。
「仕事を選り好みするな」
「…はーい」
不服そうに黒鴉はアキトの持ってきた仕事を確認する。
「ダンジョンの攻略…?」
「ああ、この城下町近くに発生したダンジョンを攻略する」
「ダンジョンって何よ…?」
アキトは腕組して依頼書の内容を語り出す。
「ダンジョンってのは、何々?自然発生する空間変異とモンスターの発生源になる場所らしいな。地球での魔窟騒動を思い返すな」
「魔窟ねぇ、成る程。それと似たようなものなのね?余裕よ余裕」
Vサインを出す黒鴉に翔と黒姫は軽いノリだなぁと反応する。
「アンタ達も慣れたものでしょ?」
「そうだけど、性質が似てるだけで同じとは限らないだろ?」
「ビビってる?」
挑発されて翔はムキになりかけて黒姫に軽く肩を叩かれて冷静になる。
「気を付けろって事だよ」
「フフン、大丈夫よアキトもいるんだし」
頼りになる男とアキトを三人が見る。アキトは依頼書をもう一枚見せる。
「悪いな、俺は別の仕事」
「ちょっと!それは無いんじゃない!?」
「お前達だけで戦う練習だよ」
アキトにそう言われてしまい三人は顔を見合わせる。
「で、アンタは何の仕事よ?」
「秘密」
イラッとする黒鴉は鼻を鳴らしてダンジョン攻略の依頼書を引ったくって翔と黒姫に「行きましょ」と半ば命令するように酒場を出ていくのだった。
「腹立つわねぇ…人に仕事押し付けるなんて!」
黒鴉の恨み言に妹が一応のフォローを入れる。
「アキトさんも別件の仕事って言ってましたし…」
「そこよ!別件って何!?保護者でしょ!?」
「それは…そうですね…」
黒姫もフォローを諦めてしまいアキトへの不満が爆発しそうになる。話を逸らすために翔が別の話題に移る。
「それでさ、ダンジョンの場所はどこなんだ?洞窟?」
「ん?ああ!えーっと…廃墟のお屋敷ね」
翔はゾッと背筋に悪寒が走りアキトが逃げた理由を察する。
「あんにゃろぉ…オバケが嫌で逃げたな…!」
「オバケ…?ああ、アナタもアキトも苦手だったわよね!ははーん、そういう事ねー、後でイジり倒してやるんだから!」
黒鴉は口撃の糸口を手にしてニヤニヤしだすのであった。しかし妹が溜め息交じりに状況を整理する。
「どの道任務を完了しないと何も言えませんよ?」
「ふん!そんな事は分かってるわよ。私を舐めないでよね!」
こんな仕事ちゃっちゃと終わらせてやるんだからと黒鴉は意気込み翔と黒姫はその勢いに賭けてみる事にするのであった。
街から少し離れた海岸沿いに建っている古めかしい屋敷、年季の入ったその様相に三人は息を呑む。
「思ってたより雰囲気あるわね…」
黒鴉の言葉に翔は帰りたいと呟くのだった。
「ここまで来てビビってんじゃないわよ!ほら!覚悟決めなさい!」
「うへぇ…分かったよ…」
翔もグッと恐怖を堪えてダンジョン化した屋敷の中に入る三人なのであった。




