ドラゴン退治
ドラゴン退治の任を受けドラゴンを発見し追跡する一行は山の中腹にポッカリと開いた穴を見つける。
「洞窟が正解だったみたいだな」
アキトはヘラヘラ笑って黒鴉を見て馬鹿にする。
「結果論よ、それにここからでも中に入っていけそうじゃない!」
開いた大穴から下に降りれそうな足場を見つけて黒鴉は反論する。
喧嘩は止めて警戒して中に入ろうと翔が提案するとやる気になったかと黒鴉はフッと笑う。
「やる気というか…正義感?家畜に被害を出すとなると見過ごす訳にはいかないだろ」
「お硬い考えね、もう少し戦う気迫というか昂揚感って物を持ちなさいよ」
肩を軽く小突かれて翔は真剣な話だろうと真面目っぷりを発揮する。黒鴉は下らないと一蹴するが妹から注意を受ける。
「感情で先走るのは姉さんの悪い所ですよ?」
「うっさい!ほら、行くわよ!」
アキトが一人先に進むのを見て慌てて三人も追い掛けるのであった。
一人ぴょんぴょんと足場を跳んで降りるアキト、三人もアキトの使う足場を伝って降りていく。
「やるわね…追い付くのが精一杯」
「危ないから踏み外すなよ?」
「そんなヘマしないわよ!」
覚醒者としての高い身体能力で四人はドラゴンが鎮座する洞窟の奥に辿り着く。
食事を終えて寝ようとしていた所に招かれざる客人が現れてドラゴンはご立腹な様子であった。グルルルルと唸るような鳴き声を漏らして先頭の威圧的なオーラを見せるアキトを睨みつける。
「やるか」
アキトは言葉を交わせないと見て刀を抜く。
「ちょっとちょっと!抜け駆けしないでよ!」
黒鴉がズザーッと降りてきて剣を抜く。翔達も遅れてやって来て武器を抜く。ドラゴンは口の端から火を吹かして身体を起こして戦う意思を見せる。
アキトは身構えて三人に声を掛ける。
「来るぞ、気をつけろ!」
ドラゴンはドシンドシンと地鳴らし前に出て首をもたげて息を吸い込む。
全員ブレスが来ると察した中でアキトが叫ぶ。
「ブレスだ!散開!」
四人はバラバラに逃げつつ翔が赤鬼の焰鬼を呼び出して炎には炎をぶつける作戦を取る。炎のブレスを炎の壁で防ぎ翔は冷や汗を垂らす。炎は合わさり勢いを増す。
「もう!焼き殺す気!?」
黒鴉が叫び白鯨のバハムートを呼び出し周囲に水を発生させて鎮火する。
鎮火した事で出来た道をアキトと翔そして黒鴉が駆ける。三人の攻撃が合わさりコンビネーションアタックがドラゴンに炸裂する。
容赦ない三人の攻撃が続きドラゴンは大きく身悶えする。ナイフで参戦が遅れた黒姫は三人の戦いぶりにちょっと引いていた。
(三人ともやり過ぎでは…?)
バッサリと最後はアキトにより切り捨てるカタチでドラゴンの頭が斬り落とされる。
アキトはフフンと鼻を鳴らす。
「この世界でもドラゴンスレイヤーは俺のもんだな」
「頭が落ちる前に倒してたわよ、首落としたからっていい気にならないでよね?!」
黒鴉は突っ掛かり翔にまあまあと宥められる。
「ほら黒姫も引いてるから…」
「何よ?良い所持ってかれて悔しくないの?」
「いや、俺は別に…」
欲のない奴と黒鴉に馬鹿にされ翔はカチンと来るが苦笑いして流す事にするのだった。
ドラゴンの頭を持ち帰るのか議論してアキトが討伐の証しとして持ち帰ることにして持ち上げてみる。
「…重いな」
「そりゃ大きなドラゴンだしな…頭だって1メートル超えだよ」
翔の言葉に血抜きちゃんとすれば少しは軽くなると逆さにして軽く振り回そうとする。
「返り血が飛び散るでしょうが!やめなさいよ!」
「しゃあねえな…」
アキトは仕方なく頭を持ち上げて山を降りる事にするのであった。
「あのー、死体は…」
「自然の力で分解されるだろ」
「えぇ…」
そういう物は自然に任せるというちょっといい加減なアキトに黒姫は困惑する。
「じゃあ…焼いて食うか?」
アキトは翔をちらっと見て火を頼むとワイルドな事を言い出して黒鴉にどつかれる。
「トカゲ肉なんて食えるか馬鹿!肉食獣の肉は美味しくないって話だし!」
「美味いかも知れないだろ!近縁で鶏肉みたいかも」
「嫌よ!肉ならさっさと帰って牛肉ステーキよ!」
結局ドラゴンの死体は残す事になるのであった。
洞窟を抜け山を降りる一行。
「結局持って帰るのは分かるけど異次元ボックス的なものないの?」
「…あー、あるけど生ものはちょっと…」
「あるんだ。それ私達にも教えなさいよ!」
黒鴉はアキトに迫るが教える物じゃないとアキトは答えても突っかかられて仕方なくアイテムボックスの正体を説明する。
「コイツだよ」
指を鳴らして旅行鞄を呼び出す。何の用かと不機嫌そうな旅行鞄だがドラゴンの頭を見て無理無理と大慌てで翔の背後に逃げてしまう。
「ほらな?…おーい、別に食わせる訳じゃねえよ!」
旅行鞄にアキトが声を掛けるとひょっこりする。
「まるで生き物ね…」
「半分生きてるようなもんだ。中身は神鳴だ」
「神鳴ぃ!?ちょっと!準備不足の旅について文句言ってやる!」
黒鴉は言いたいことをぶち撒けるが馬の耳に念仏、暖簾に腕押しなのであった。




