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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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5/12

覚悟が足りない

翌朝、不満たらたらな黒鴉を黒姫が(なだ)めながら宿を出る。


「で、どこ行くのよ?」


「そうだな、大きな首都を目指そうと思う」


「妥当ね。どうやって行くの?」


アキトは任せておけと馬車の集まる門の前までやって来る。


「馬車ぁ?!」


「まぁこれしかないか」


黒鴉は呆れるが翔も黒姫もアキトの選択に納得する。

アキトが保護者として四人分の手配を行っていた。


「ここより大きな都市に向かう馬車は…っと、御者さんよろしく頼みます」


アキトは銀貨を渡して四人分の席を用意してもらう。三人を呼び、忘れてた事があると言い出す。


「出発までにちょっと用事思い出したから馬車の中で待っててくれ」


「ちょっと、不安になること言わないでよね」


「すぐ戻る」


アキトはダッシュで街の市街地に消えていく。一体何を忘れたのかと三人は話をし合う。


「宿に忘れ物とか?」


「刀は…(たずさ)えてたわよ?」


「では何でしょうか…?」


三人で小首を(かし)げる。

十数分後アキトが小袋を幾つか抱えて戻って来た。


「何よそれ?」


黒鴉は怪訝な顔をして尋ねる。翔も黒姫も興味を示してアキトはニヤつきながら黙って馬車に乗り込む。


「ちょっと、何ニヤついてるのよ。気持ち悪いわよ」


「携帯食料だよ」


三人揃って「携帯食料?」とマジマジと袋を見つめる。黒姫が下から眺めて尋ねる。


「中身は何ですか?」


「干しベリー、干し肉、乾パン」


翔は保存食かとツッコミを入れようかと考えて苦笑いしていると黒鴉が先にツッコミを入れる。


「保存食かっ!」


「保存食だぞ。それに長旅になるしな」


「まるで次の街まで数日掛かるみたいな言い方…」


アキトは真顔で何を言っているんだと言いたげな顔をする。黒鴉はハッとして顔をひくつかせる。


「ちょっとマジで言ってる?」


マジとアキトは頷いて御者に確認を取る。


「御者さん、次の都市まではどのくらい掛かりそうだ?」


「今日の夜には到着するよ」


「お、早い方だな」


朝から夜まで馬車を走らせる事になると言われて三人はちょっと驚く。


「な?飯要るだろ?」


アキトはニヤリと小袋を見せびらかして必要な物なんだとゲラゲラ笑うのであった。


馬車に揺られる事数時間後。翔達のお腹が鳴りアキトの用意した携帯食料を食べる。


「モグモグ…悪くないわね」


グルメな黒鴉も満足する味に翔達も唸る。


「小腹満たしには丁度いいだろ?」


アキトの微笑みに応えることなく黙々と食べていた一行、団欒(だんらん)したいアキトだったがひりついた空気感が伝わってきて表情がキリッとしたものに変わる。


「アキトさん?どうかしましたか?」


「まだお前らには分からないか…空気が変わった」


三人にはピンと来ないのかキョトンとする。


「来るぞ」


「…何が?」


弓矢が放たれて馬車が慌てて停止する。


「山賊だー!」


御者の声に合わせてアキトが一人馬車を飛び出し翔達が遅れて馬車を出る。


「勢いで飛び出しちゃったけどどうするのよ!?」


「た、戦うしかないだろ!」


三人は困惑していたがアキトは投擲物含めて一人で一気に山賊を鎮圧していく。

弓兵には的確に投げナイフを投擲し眉間に命中させて斬り込んでくる山賊を袈裟斬りにし斬り伏せて無慈悲に無双し倒す様に三人は少しドン引きする。


「アキトってちょっと冷血漢な所あるのね…」


「でもいずれは自分達でやらないといけないんだよな…」


人と真剣に殺し合う事に未だに覚悟が足りていない事を自覚させられてしまうのであった。


山賊を一人で片付けきったアキトは一息ついて翔達を呼びつける。


「見てただろ?これがこういう世界での日常だ、外道を人間と思ってたらこの先生きていけないぞ」


「正当防衛…ですか」


「高尚な言い訳は不要だ、ってか翔や黒姫は未来人斬ってるだろ。今更なんだよ」


正論を吐かれて翔は「うぐっ」となってしまう。しかし問題は黒鴉の方だとアキトは腕組する。


「な、何よ…?」


「お前人切れるか…?」


「ば、馬鹿にしないでよね!それぐらい戰で…!」


対人戦はした事あるからと叫ぶがアキトはやれやれとそれ以上は追求せずに馬車に戻る事にするのであった。

馬車の中では微妙な空気になっていた。最初に黒鴉が口を開く。


「何か喋りなさいよ…」


「取り敢えず休め、俺は疲れた」


アキトが三人の心労を気遣って腕組して寝ようとする。


「もう!浜松、なんか言ってよ」


「え?俺?…うーん、話題がねぇよ」


翔は困った顔をしてしまい次に振られそうな黒姫は顔を逸らす。黒鴉は口を尖らせて渋々次の街まで休みを取るのであった。


ーーーーー


夜、星明かりに照らされた一行は大きな城のある都市に辿り着いていた。


「到着しましたぜ旦那ぁ」


御者に声を掛けられて翔達は馬車を降りる。アキトは大きく伸びをした後(いたわ)るように腰に手を当てる。


「んー、よく寝た!」


「嘘つきなさい、ずっと起きてたくせに」


黒鴉は呆れた顔をしてアキトを睨む。翔と黒姫も腰が痛くて眠れなかったと苦笑いする。


「なんだ、休めなかったか?仕方ないなと宿目指すぞ」


アキトに先導されて一行は夜の街に消えていくのであった。

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