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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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4/11

まずはお金

街に戻ってアキトは仕事の報告を行い報酬を受け取る。


「飯と宿は何とかなりそうだ」


アキトは銀貨の詰まった袋を見せて三人を安心させる。


「やった!早速何か食べましょ!お腹ペコペコよ」


「そうだな、酒場飯を食うか」


旅に慣れてるアキトの先導で酒場の店主と交渉を始めて四人分の食事を受け取りテーブルを一つ囲んで遅めの昼食を取り始める。

パンに生ハム、サラダにスープとそれなりに揃った食事に黒鴉は「ふーん」と鼻を鳴らす。


「いい感じじゃない!もっと質素かと思ってたわ」


「パンは硬いからスープに(ひた)して食うんだぞ」


アドバイスを受けてフランスパンより硬い白パンに三人は苦戦しながら食事を取るのであった。

四人は多少の満足感に旅も悪くないと思いつつあったがアキトが更に仕事をしないとなと言い出して黒鴉は肩を落とす。


「まだ討伐するの?」


「お金に余裕を持たせておきたいしな。お前的にはいい宿借りたいだろ?」


現実的な事を言い出すアキトに翔も黒姫も納得して頷く。


「その通りだ、預金はあった方がいい」


「ですね。姉さん、頑張りましょう」


黒鴉は前向きな仲間達にちょっと溜め息を漏らすのだった。


食後の運動と言わんばかりに狩りに駆り出される一行。

際限なく現れるモンスターを倒していると翔はふと疑問に思う。


「こんなモンスターどこから出てくるんですか?」


「巣が近くにあるんじゃねえか?」


アキトが適当に答えると黒鴉がいきり立つ。


「じゃあ巣を破壊しちゃいましょう!」


それを聞いてアキトは止める。


「それは仕事の範疇を超えてる、ほかの人の飯の種を奪っちゃいけねぇ」


「何よそれ、放っとけってこと?」


「そうだ。依頼に無いことはしちゃいけないぞ?」


それがルールだとアキトは語り腑に落ちない黒鴉はフンとヘソを曲げるのであった。


夕刻になり仕事を報告する一行。

雑魚退治とはいえ連戦に次ぐ連戦でお疲れムードな翔達三人にアキトはゲラゲラ笑っていた。


「はぁ、お風呂入りたい」


黒鴉が呟くがアキトは笑って「そんなもんない」と笑う。


「な、何ですって!?汗臭くって仕方ないわよ!」


「濡れタオルが宿にあるだろうからそれで身体を拭け」


女性二人は「えぇ…」と困惑して翔は「へぇ」と感心する。


「だけど原始的というか何というか…」


「水は貴重だからな。こういう世界じゃ水道がしっかりしている街の方が珍しいぞ?」


黒鴉はこういう世界と聞いてムッとする。


「じゃあこんな古臭くない世界もあるって事?」


「あるぞ、現代的な場所だってある」


「そっちの世界のほうがいいわ!」


ワガママ言うなとアキトは笑うのだった。


宿に入り二部屋借りて男性女性で部屋分けする。

翔はアキトと同じ部屋で色々と質問したくて時間を貰って質問を行う。


「落ち着いた所で気になったんですが、救世の旅って基本的に何をすればいいんですか?」


「何を…うーん、特に何も?旅をしながらその巨悪を探し出して倒すのが目標って言うか…」


「そんないい加減な目標でいいんですか?!」


アキトはツッコミを受けて難しい顔をする。


「割とテキトーなんだよな、まぁ?分かりやすく魔王がどうたらとかあれば楽なんだけどな?」


「魔王…ですか」


唐突にファンタジーゲームな言葉が出てきて頭が痛くなる。アキトは茶化すようにゲラゲラ笑いそういうものなんだと説明しながら背中をタオルで拭っていた。


「魔王だけじゃないぜ?悪の組織だったり邪神だったり超級ダンジョンだったり…異世界人だったりな」


「…異世界人?」


「ああ、力の使い方を間違えた危険な外来種的な?…まぁ?俺達も一歩間違えればそうなる訳だが?」


割と真面目な話を笑い話のように語るアキトに翔は呆気にとられる。


「そんな真剣な話を笑い話にするなんて…」


「お前らなら大丈夫だと思ってたんだが…聞いて怖くなったか?」


「二人にも話すべきだ…」


黒姫と黒鴉にも知ってもらうべきだと翔は考える。


「そうだな、だが知った上で身動きが取れなくなることもある。分かるな?」


実際、今翔の内心で揺れ動く精霊などの力の使い方を指摘されて翔は息を飲んでしまう。


「いざという時止められる自制心があればいい、黒鴉なんてどんなに説明されても現地民が悪辣な対応してブチギレかねないからな」


「それは…そうだけども…」


アキトは今の翔はまだまだ若いなと微笑みながら多くを語る事はしないで後は自分で考えろと少し突き放したのだった。


一方女性部屋、黒鴉は愚痴を呟いていた。


「どーしてこう雑な感じなのかしらね!もっとシャワーとか欲しいわ!」


「姉さん、いつまでも愚痴を吐かずに早く世界を救う事を考えましょう?」


「目標がアバウト!一体何が世界を救うよ!?敵が何なのかすら聞いてないわよ私達!」


黒鴉の叫びに妹は困り顔をしながら「確かに…」と納得してしまう。


「明日アキトに文句言うわよ!絶対…!…いやご飯時にでも言いましょう!」


「姉さん、あんまり強く当たっても仕方ないですよ?」


「いいえ、そこはしっかりしておかないと!」


しかし黒鴉の願いは叶わずアキトからは暫くどこ吹く風の旅をすると言われてしまうのであった。

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