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根源に眠れし漢の浪漫

時間かかってもいいから一話ごとの文字数を増やそうと心がけたいと思います

「殲滅状況はどうなっている?」


「徐々に減らしてきてはいますが、やはり”源泉”を潰さなければ、大きく減らすことは不可能でしょう。」


「まだ”母体”と衝突するのは早い。前線がこちらに寄らなければ今のところは問題ない。”あれ”には時間がかかるものでな。して、兵の状況は?」


「こちらは順調に増えてきています。しかし、初陣で命を落とす者や、生還しても辞退する者の少なく無いようです。」


「電子に魂を売った者どもに命なんてあってないようなものだ。とにかく今は数を増やすことを考えろ。雑兵などいくらあっても足りんのだからな。」


「わかりました。では、プランに変更はないということでよろしいですね?」


「ああ。」


「それと、少し気になる話題が上がってまして…」


「話題?」


「先程、オーバーフローを観測したのはご存知ですか?」


「勿論だ。だがあんなもの、こちら側から遠距離で小突いていけば消滅するだろう。それがどうした?」


「それが…こちらが連鎖型電撃砲台を準備する前に、既に消滅してまして…」


「どういうことだ?奴らが攻撃するのではなく様子見をして帰ったと?」


「違います。外地俯瞰カメラを確認したところ、何者かに殲滅されたようでした。映像から殲滅者の詳細を特定したところ、この人物が挙がったんです…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うっひょォォォォォォォォおおおお!!!!」


自然を感じさせない無機質な空間に益荒男の雄叫びが響く。


叫びの源である男「花音甫安土」は喜びの歓声を上げていた。それは、つい先程大量の「バグ」を相手にし、一掃した余韻に浸っていたというのもあるが、理由の7割は目の前の()にあった。それは、スラッシュを倒した際に得られた大量の残骸だった。男なら誰しも、大量のジャンクを見たら興奮するものだろう。ましてそれが、今まで見た事のないような謎機械生命体の残骸であるなら尚更だろう。


抱えきれないほどの素材を見てホクホクする安土に灰髪のティーンエイジャーオペレーター(実年齢は知らん)は言葉をかける。


「まさかあの数を1度で仕留め切るなんて…安土様はすごいです!それで、安土様はどんな改造(カスタマイズ)を施すおつもりですか?」


ジャンクの山を見て爛々と輝かせる安土の目に疑問の色が浮かぶ。


改造(カスタマイズ)って…なんスか?」


そういえばなんも説明してなかったと同時に、その事を知らないのになぜあんなに嬉々としてはしゃぎ回っていたのか…とグレイは顔を引き攣らせた。


そんなの当たり前だろう。たとえそれがどんな用途で使えるのか、たとえそれがただの産廃でも、何かしらの幾何学的な人工物が大量にあるだけで人間という生き物は嬉しくなって興奮するのだ(個人の感想)。


そんな安土の考えを当たり前だがグレイが読み取れる訳もなく、引き攣らせた顔をいつものにこやかな笑顔に切り替えて安土(アホ)に説明をする。


グレイによる脚色が加えられた説明があまりにも長かったので要約する。


まず、人形はそのスペックが許す限りの改造を施すことができる。そしてその改造は撃破したスラッシュの素材を用いることで自分の思うような姿に変えられる。ただのバグから機体改造ができる素材なんて落ちるのかと思ったが、目の前にある大量のジャンクとグレイの説明がそれを示した。


どうやら目の前に見えるのは奴らの素材というか奴らが残したデータの破片らしい。それを集めて人形にハッ付ければ機体の姿を変えられるとの事。なので極論を言ってしまえば超巨大要塞に大量の砲台をくっつけた移動式殲滅平気をつけることも可能ではあるらしい(果たしてそれは人形なのかどうかは置いといて)。


ただそれにはもちろん相応の素材と素体のスペックが必須となる。素材に関してはひたすらデバックという名のバグ処理を行えばいいが、肝心のスペックはどうするのか。


なんと戦術人形(タクティクス・ドール)というのは成長するらしい。戦闘を重ねてデータを蓄積していくごとに機体のスペックが上がるとの事。ゲームで例えてしまえば、敵を倒して経験値を貯めつつ素材を集める。集めた素材でより良い装備を作る。ただし装備を扱うには相応のステータスが必要。この一連の流れを行う事で改造ができる。


また改造を行った際はしばらく人形に乗って戦闘を行うことができない。流石に設計してはいすぐ完成とまではいかないらしい。ただかかるにしても基本は3日以内には完成するとのこと。まあおそらく戦闘の疲れやらなんやらをその3日間で回復してリフレッシュしてこいということなのだろう。


「という感じで、改造の説明は以上となります。改造する際は、安土様ご自身で改造なさるか、我々に任せるか、どちらに…って、聞く必要もありませんね。」


あまりにも愚問。そう思いながら安土(バカ)は喋る。


「男の浪漫はここからが本番なのよ…!」


若干よだれを垂らした男の眼前に、大量のウィンドウが映し出される。

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