上へ参りま〜す
ああそうさサボったさ!二か月も更新をサボったよ!なんなら直近まですっかり頭の中からなくなったさ!だから何だよ!文句あんのか?!あぁ?!(本当にごめんなさい)
〈瞬足〉
戦術人形内のエネルギーを使用することで脚裏のスラスターから高濃度の推進剤を噴出し、加速するスキル。最大速度は通常走行時の1.5倍であるが、長時間の使用においては燃費がすこぶる悪いため基本的に瞬間的な加速のみの使用となる。
〈炸裂弾幕〉
両手の平の穴から広範囲に散布する高熱弾を発射するスキル。この攻撃は戦術人形内のエネルギーが尽きるまで打ち続けることが可能。
軽く見積もって数千いる敵の集合体の中心に単身で、かつ初陣で突っ込むとかいう馬鹿な行動をとったのにはちゃんとした理由がある。スキルの構成的と敵の配置的にに敵陣の周りを〈瞬足〉で旋回しつつ、〈炸裂弾幕〉でじわじわ削るというのがセオリーだろう。だがそこで問題になるのが数だ。この戦法の性質上〈炸裂弾幕〉を多用することで敵を一掃することが可能だが、それゆえ戦術人形本体のエネルギー消費がとてつもない。そのため複数戦の戦法といえど1000単位の敵には有用な戦術ではない。
(この数の奴らをちまちま削るのはまず不可能…だったら作戦はこれしかない…!)
「釘打ちっ!」
安土が放ったその技は、先程彼の頭で却下されたはずの作戦には登場しない技であった。この技は釘が2本しか補充することが出来ない上に単体対象の攻撃であるため雑魚戦で使うことは現実的でない。もちろん安土もそれをわかった上での発動。
「てめえらまとめて相手するにはこうでもしねえとやってらんねえんだよ!さぁさぁ楽しい楽しい人力飛行の時間だぁぁーーー!」
戦術人形から放たれた右手の拳はスラッシュではなく、荒れ果てた広大な大地に打ち付けられた。
〈釘打ち〉
スキル使用後、右手の拳で対象を殴った際に手の甲に内蔵されている釘を高威力で射出する。対象の質量により釘を射出した際の敵の吹っ飛び具合が変化する。釘は2個内蔵されているため、1回のスキル使用につき連続で2回まで発動可能。
このスキル説明を読んだとき、安土の頭の中に一つの疑問とが浮かんだ。それは、「もし打った対象が"動かない"敵、もしくは”物”だった場合、対象を吹き飛ばすほどのエネルギーはどこに行くのだろうか?」という疑問である。もしエネルギーが別のところへ発散せず、エネルギーを与えた者と与えられた物の間でのみエネルギーのやり取りが行われるのだとしたら?
その疑問は、安土を一つの賭けに駆り立てた。そして、その賭けは勝ち筋へと変わった。
拳を叩きつけた直後、安土によって制御されている戦術人形の巨躯は空の彼方へ打ち上げられる。
「ビンゴぉ!やっぱりなぁ!〈釘打ち〉打った対象がこの大地だったら、吹っ飛ばされんのは俺のほうだよなあ!んでもって質量は計り知れねぇ!おめえら小粒ども全員視界に入れるほど上空まで飛ぶのは朝飯前なんだよぉ!」
とんでもない状況にハイになってる安土とは反対に、地上のスラッシュは安土をただただ眺めている。しかし双方表情おろか姿も粒にしか見えない。
その後スラッシュ全員を視界内に抑えた安土の戦術人形は下方のスラッシュに向けて両手の平を構える。
「横から攻撃して削り切れねえならよ、上から一気に貫きゃあ一網打尽だ!とくと味わいな!俺の暇つぶしに犠牲になるかわいそうな”バグ”ども!」
「「「「「〈炸裂弾幕〉ぉ!!!!!!!」」」」」
掌が閃光に煌めく。煌めきから放たれし弾丸は一瞬にして分裂、そして降下し、スラッシュの塊に雨となって降り注いだ。地上が大爆発しながらはるか上空から弾丸に遅れて落下するひときわ大きい鉄の塊。中では一人の人間が気持ち悪いくらいの笑顔を浮かべていたという。