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2 暴力系ヒロインを復権するには?

 思いついただけ書きました。

 今回は『暴力系ヒロイン』または『理不尽系ヒロイン』と呼ばれるヒロインたちについて書いてみます。


 用語の概略はというと、主に『主人公に対して暴力を振るったり、理不尽な対応を取るヒロイン』のことを指しています。


 普段はつっけんどんだけど実は主人公が好きだったり、たまに素直にデレる『ツンデレ』。

 好きな人を前にすると緊張して黙ったり、本心を隠すあまり正反対の態度を取ってしまう『好き避け』。


 これらの萌え要素は、暴力系・理不尽系ヒロインと相性が良いように思います。(自分勝手で理不尽なだけのヒロインもいるかもしれませんが)


 偏見ですが、昭和的な価値観ですよね。

 現代では犯罪やハラスメントになって通報されてもおかしくない行為に及ぶキャラクターが、ひと昔前の作品には大勢存在します。


 まあ、フィクションですので現実のルールを破っていたとしても何とかなります。

 犯罪小説などでは法律破られまくりですからね。


 とはいえ、『ラブコメ読者』の共感や賛同を得られるかどうかは別の話で、一定の批判や受け入れがたいという意見もあるそうです。




 さて、私がここで考えたいのは『暴力系・理不尽系ヒロインを復権するにはどうすればいいか?』です。


 その解決方法として、二つの仮説が浮かびました。(二つしか浮かびませんでした……)


 まずは一つ目。


『ヒロインに正当性を与える』


 暴力や理不尽をやめる、という選択肢はありません。

 なぜなら、それはもう暴力系・理不尽系ヒロインではないからです。


 以下に、正当性の例を箇条書きにしてみました。


・主人公に落ち度がある。

(主人公よ、それはお前が悪い)


・環境や世界観を暴力ありきの設定にしてしまう。

(やらなきゃやられるのは常識)


・ヒロインにきちんと釣り合った罰を与える。

(勧善懲悪ざまあ! 暴力系ヒロインに罰を!)


 暴力系ヒロインの場合は、主人公に正当性を持たせることでヒロインの評価が落ちてしまいます。

 主人公を悪者にしないことを優先するあまり、『不可抗力でラッキースケベ』なんて展開にするのは避けた方がいいでしょう。


 反対に主人公の方が、しっかり下心を持ってヒロインにスケベなことをしたら話が変わります。

 ヒロインとしては、不誠実な行いにはらわたが煮えくり返ることでしょうし、ヒロインが乱暴なのが悪いとも言い切れません。


 以下、『主人公がヒロインに襲い掛かって止むを得ず撃退する』だとか、『ヒロインは任務で主人公を暗殺しなければならない』、それかいっそのこと『ヒロインを悪役にしてしまう(それはヒロインなのか?)』という手でバランスを取ります。

 こうなると主人公の性格が絞られますが、暴力系ヒロインを生かすというテーマには沿っていると思います。


 勧善懲悪は、ただ悪者に罰を与えるだけではいけないのです。

 それは、罪に釣り合った相応しい罰である必要があります。

 ヒロインの暴力や理不尽には、正当な理由が必要です。


 一方で主人公に対する罰だとしても、暴力がやりすぎの場合があるので注意しなければなりません。

 冷たい目を向ける、反省するまで口を利かない、何度か大目に見て我慢する、などの対応を視野に入れてもいいかもしれません。(作者のメタ的視点になりますが)


 このあたりのバランスが取れなかったことが、暴力系・理不尽系ヒロインへの批判を招いたのではないでしょうか。




 暴力系・理不尽系ヒロイン復権のための解決方法、仮説その二。


『ヒロインに求められる要素を増強する』


 先ほど触れた勧善懲悪理論では、悪人には相応しい罰を、善人には相応しい報酬を、というのが鉄則でした。

 一方こちらは、免罪符理論のように『ヒロイン要素』を強めることでマイナス部分を補ってしまおうということです。

 つまり『ただしイケメンに限る』のように『ただしヒロインに限る』をやるのです。


『可愛さ』『優しさ』『共感』『尊さ』『癒し』『罪悪感』『主人公のことが大好き』


 正の萌え要素が強ければ強いほど、ヒロインは魅力的に見えてくると思われます。

 男主人公とヒロインの心が通じ合っている場合や、関係性が読者側に分かっている場合は、多少の不和やトラブルがあっても和解が目に見えているので補償されやすいのではないでしょうか。




 ヒロインとしての魅力と暴力の正当性があれば、批判や拒絶は緩和できる……。

 しかし、もう少し慎みが欲しいところですね。

 暴力や理不尽が目立つだけの女性キャラなら、萌えやラブコメというより犯罪や人間ドラマ、いじめをテーマにした小説のほうがしっくりきます。


 シンプルな暴力系・理不尽系ヒロインが減少したのは、(作者が創った)ヒロインのキャラクター人格にも問題があると思いますが、時代や社会情勢の変化によるところも大きいかもしれません。


 または、読者が感情移入する主人公側が、かつてはメンタル強者で打たれ強かったためにボケとツッコミのような掛け合いとして成立していた節もあると思います。

 ヒロインと主人公、社会環境の相性によっては、上手くいかなくなるのも不思議ではありません。


 最新のものだと、令和の暴力系・理不尽系ヒロインは『メスガキ』ヒロインではないでしょうか。

 可愛いから許せる、プレイの一環だから、最後に『わからせ』ができるから、などなど理由は色々あることでしょうが、そこそこ人気があるようです。




 最後に注釈を加えておきますが、ここで書いた内容は、暴力系・理不尽系ヒロインを復権するにはどう書けば良いか、という点についてです。


 ヒロインが暴力を振るうのは、ヒロインの性格上の問題ですが、作者のキャラクター造形のせいで理不尽な存在になってしまっていることも忘れないようにしなければなりません。

 興味深いテーマだと思ったので、浅学ながら書かせていただきました。


 では、また次回で会いましょう。

 高橋留美子作品の一部主人公たちや、ルパン三世なんかがスケベ男として分かりやすいかもしれません。


【追記】

 面白そうだったので考えてみましたが、個人的にあまり復権したいという情熱がないことに気付いてきました。

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