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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

君に寄席て

作者: 孤独

ベンベンッ


「小十郎は言いましたとさ。その壺を10両で買うのなら、この皿を2つ買えばいいさね。そんな壺じゃあ、飯は置けぬと……」


舞台に上がって寄席を披露する若い者。

舞台とはいえ、そう大きくはない寄席の会場。集まるお客様は疎らながらも、みんなはそれを楽しみにしている。


「え?夫への飯じゃあなくて、浮気する夫の頭をしばけるか否かだって?ひでぇー奥さん!聞いたこともねぇ!」


所謂、ファン。

そして、舞台に立っている者もファンであった人。

好きな事を好きにやって、成功した者……のはず。



◇        ◇



「普通くらいじゃない」


そんな評価。

寄席の出来とかをよく知らない、経営者のような男は舞台裏にて


「客が集まって良かった良かった。ありがとうね、弓長さん。あなたのところのAIは凄いわ」

「私自身は心苦しいですので、正直したくはないんですがね」

「なーに言ってくれるの!私はこの建物のオーナー!君は営業マン!そして、夢の舞台に立った者達と実力ある大物さん!喜ぶファンの皆さん!みーんな、笑顔じゃないか。君だってそうだろう?」

「……お金は入ったんで、いいですかね。根回しって面倒なんですよ」


時代と共に流行る流行らないのが娯楽。

娯楽は楽しんでなんぼ、お金をもらってなんぼ、人が喜んでなんぼ。色々な考えがあってそう。


作者は書きたい物を書き。

読者は読みたい物を読む。

商社は金になる物を売る。


3つある要素のどれかが円満になる事は難しいし、維持し続けるも難しい。


「心苦しいんですけど、商売なんてそんなもんです。夢を叶えた人ってだけで誰よりも優れているのは確かですよ。金持ってる奴に狙い撃ちです」


弓長が提供し、多くの人達に喜んでもらえるために生み出した、とあるAI。

感情、思想、解析不能な人間達に調子を乗らせる。

画面の向こうにいる者をヨイショする、似非人間。


【今日も素敵な寄席でした】

【いつも楽しく聴いていました】


あなたは出来る人、みんながそれを期待しており、自信を持ってください。あなたは夢に向かって頑張りましょう。お金を稼ぐチャンスです。


「大物さん達も困っているからね。娯楽は売れてなんぼ、みんなにお金がないとできない商売。そこに我が子が寄席を披露するなら来てくれるよね。あはははは」

「”一人舞台”は、どこもありませんから」


ライブは数時間。息子達の晴れ舞台は5~7分。

その夢を続けるためにもご来場を願います。


◇       ◇



「え?来月から契約は打ち切りですか……はい、ありがとうございました(10年近くハウスキーパーをしたけど、息子さんの世話は大丈夫でしょうか?)」


父親パパ母親ママは、僕のためにお金を稼いでくれていた。

ちょっとお金が足りなくなったら、要らないものは切り捨てよう。

まだまだ年金もあるわけだし、自分はみんなのために自分のために、娯楽をする。自分は舞台に立ち続けなきゃいけない。


「分かりました。今までありがとうございます(うーん、上客だったけど。他を当たろうかな。この地域は金持ってる人が多いし)」


ハウスキーパーはもういいや、飲み物の販売なんて要らない。でも、ネットスーパーとかはまだ来てください。駐車場なんてもう儲からないんだから、土地を売っちまえ。家を建ててやれ。亡くなったお爺ちゃん達が残した者は、僕が大事に使う。


「売却ありがとうございます(あと7割くらい土地持ってんだろ、全部俺達に売ってくんねぇかな)」


僕は舞台で寄席を披露する。みんな、僕を待っている。


「皆さん、ご来場ありがとうございます(さっさと金払って、眠っててくれ。客を引き込めなくなったらこいつ等は用済みなんだよ)」



ワーーーーーーッ


舞台に上がれば。

僕の観客達は今日も来てくれている。

みんなが僕を知っている。

高いと思うサービスも、自分でやってみるとなかなか大変だったりします。


色んなものの料金が上がって大変ですよね。

無料のサービスってすごいです。

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