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ガラス玉の見た夢  作者: 透明で強固な液体
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個としての遺志

 





 始まりがあれば終わりがある


 ガラス玉に永遠は無い

 いつか必ず砕け散るその時が来る






 それは時に緩やかに纏わりつき  容を崩してゆく


 長く永く転がり続けたガラス玉は削れ、傷つき、容を変えてゆく

 それでも転がり、次第にゆっくりと動きを止めるその瞬間まで


 転がって出来た轍に沿って転がる者を引き連れて

 転がる方向や速度の合う者と並行して

 転がるうちに2つで進む事にした者と共に


 築き上げたガラス玉はゆっくりと  容を崩してゆく





 それは時に急速に訪れ  形を保てなくなる


 ガラス玉は転がる環境や地形は同じでも一つ一つ違う傷が付いている

 個によっては傷つかないよう慎重に転がる者もあれば

 傷を厭わず転がり続ける者もいる


 その瞬間まで積み重ねてきた傷によって唐突に始まる崩壊

 いつ始まるかもわからず、どのくらいで始まるかもわからない


 積み重ねた傷が繋がった時ガラス玉は  形を保てなくなる





 それは時に唐突に、そして緩やかに  カタチを放棄する


 意思エネルギーにより転がるガラス玉はその力で自らを破砕出来る

 平坦でも、荒涼としていても

 輝いていても、くすんでいても


 変わらずその意志エネルギーで自壊していく

 その理由は当の本人にしかわからない事象によって


 蓄積したその意志でガラス玉は  カタチを放棄する




 遺す者の意思

 遺さない者の意思


 個としての遺志





 火を消しても熱や煙がすぐに消えてしまう事が無いように


 ガラス玉も消える時何かを残してゆく

 砕け、割れ、溶けだしたそれらは降り積もり、堆積し、かたまってゆく

 残された轍も深く、広い物になってゆく


 社会とは先人たちの遺志が創ってきたものなのだろう










 素材としては同じガラス玉なのだ


 なるほど、転がっていくと傷が付くはずだ


 もしかしたら磨き上げることも出来るのかもしれないが僕には難しい



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