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ガラス玉の見た夢  作者: 透明で強固な液体
4/7

個としての意思

 




 ガラス玉は転がる

 物理の法則に従い、位置エネルギーを纏い転がる

 その力が無くなるまで転がり続ける






 しかし不思議な動きをする事がある


 何故か物理に反し坂を上る者が存在する

 それは風でもなく、熱でもなく、意志と言うエネルギーを纏い転がる


 低く低く転がるだけなら何と言う事はないはずなのに

 ぶつかりながら、よろめきながら



 ある者はただただ上を向いて


 ある者は周りを気にして


 ある者は下を見下ろしながら



 登り切れる者はどれくらいいるのだろうか

 意志と言う力を失った時それは始まる


 それまで積み上げたほどに

 登れば上るほどに転がり落ちていく不安は大きくなり


 ちょうど 意志 と 不安 の天秤がそろった時

 ガラス玉は運動を止める


 昇れなくなったのか

 登らなくなったのか

 上るのを終えたのか



 あとは転がって落ちない事を祈ろう

 転がり落ちないためには 転がらない と言う意志エネルギーがいる


 はたして上り続けてきたガラス玉は止まる事が出来るだろうか?







 上る者があれば下る者もいる



 ころころと任せ転がり気付かぬうちに降りていく

 倫理は緩やかに解け曖昧になり置き去りにしていく


 そして気が付けばもう戻れない所に転がっている




 昇れないことはないのだろう

 しかし、登らなくなっているのだ


 登らないこともないだろう

 しかし、上るのを止めたのだ



 しかし昇る事は出来る

 前者など比べ物にもならないような 意志エネルギー があれば



 上を見ず、割れるまで転がり続けるガラス玉も一定数あるのだが







 もう一つ



 動かず、ただそこにある者もいる




 上るも下るも転がった先でいつかは止まる

 しかしそれは動き続けた結果、自転している


 その動きを止めるまで転がり続けたエネルギーを纏い

 自転し続けるそれは止まってはいるが静止しているわけではない



 しかし完全に静止してしまった者もいる


 傷が付いたり、曇ったり、くすんだりしたガラス玉にはそう言う事もあるのだ

 勿論、キラキラと輝いて見える者であったとしても



 今の科学では否定されている事のようなのだが

 僕の昔の常識では  『 ガラスは液体 』 だった


 今のところはそう言うことにしておいて




 自転しているのなら形は保てる、勿論超高速回転では飛べるかもしれないが


 しかし、停滞していては重力に引かれ駄円につぶれてしまう


 つぶれてしまえば転がれない








 ころころころころ


 もしかしたら私の意志は気体なのかもしれない


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