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まさかの詰みなし


「………。」


ルカは目を覚ます。


「ここは…ここか」


目の前には血と泥が混じり合た見覚えある場所。

何とか間に合ったと言うか成功したと言うか。

泥に塗れた体を起こし起き上がる。


「よっこいせ」


両腕を伸ばし新しい脚の感触を確かめて見る。


「とりあえず元通りなのか?」


ルカは意識を失う直前に腕と脚を元に戻すために得体の知れない化け物に触れ代価として支払っていた。

飛び跳ねてみたり指を動かしてみたが問題無さそうだった。


五体満足の体に戻ったルカが最初にした事は落ちていた短剣を拾いそれを使って地面に穴を掘ることだった。

穴を掘り終えると自分を抱えて走って逃げていた相手の残された体を拾いその穴に埋め手を合わせた。

見ず知らずの誰かは知らない相手だったが何故か手を合わせた途端、涙が溢れてきた。


その涙は心の底から感謝と悲しみから出た涙だった。

きっと自分の身をていしてでも自分を逃そうとしてくれたのだからかなり親しい間柄だったのだろうが、今の自分の記憶では何も思い出せない。

そんな自分を歯痒く思うルカだった。


「今はこれしかしてあげられないけど必ず立派なお墓を建てるからそれまで我慢して下さい。…助けてくれてありがとうございました」


ルカは手を合わせそして深々とお辞儀をし短剣を持ったまま歩き出す。


「俺はどこに向かえばいいんだろうか?」


何の指示も目的も告げられていない今、ルカはこれからどうすべきか悩んだ。


「とりあえず逃げて来た方に戻るのはやめておこう」


あんな化け物がこの世に1匹だけとは限らない。

そんな相手のいた場所に戻る事はできない。

ならば、別の道らしい道を探してみよう。


ルカは歩く。


…歩く。

……歩く。

………歩く。


「本当にここどこなんだ?誰1人人間らしい相手を見ていないが」


かれこれ2、3時間は歩き続けただろうか。

誰にも出会わない。

出会ったのは空を飛んでる鳥や木の上でこちらを見下ろす猿っぽい動物に虫くらい。


「地図とかマップとかGPSとかあれば楽なんだけどそんな物あるわけないし…」


代価さえ支払えば失った手脚すら元に戻ったんだから結構何でもありなんじゃ…。

ルカはすぐに行動する。


「地図やマップ、GPSなんかの場所を特定出来る物が欲しい」


《代価をお支払い下さい》


ルカの思い通りいつものセリフが出てきたが、支払う金がない。

持ち物と言えばこの短剣と衣類だけ。

駄目もとでその場の木に触れてみる。


《それはあなたの所有物ではありません》


拒否られた。


化け物は代価として認められてこの木は認められない。

ルカはその違いを考える。


化け物は自分で倒したからありなのだろうか?

それとも誰の所有物でも無かったから?

この木は…この土地の所有者の物だから?

それとも…。


この力の使い方がいまいちピンとかない。

そもそもあの化け物を倒すのに1000億も使ったと考えれば地図とかも数億円はしないまでも数十万、数百万円してもおかしくない。


ルカは色々諦め1人ゆっくりと歩き出す。

それからしばらくしてルカに急展開が訪れた。


「いたぞ!」

「おっ、人だ!…ってなんかこっち走ってきてるだけど!!」


ルカは反射的に逃げた。


ルカを追う兵士らしき格好をした人間が数十人が剣を構えてこちらに向かって血相を変えて向かってきたら誰でも逃げる。


「お待ち下さい!ルカ様!」


ルカの名前を呼んできた。

もしかして知り合いなのか。


ルカは呼び止められたので後ろを振り返り走るのをやめたがある程度の距離をとりつつ相手に質問する。


「あなた達は誰ですか?」

「ルカ…様。我々をお忘れですか!?」

「えー、あー、…ちょっと色々あって記憶が…はい…」


「まさか、記憶喪失では」

「なんで事だ…。しかしあれだけの事があったのだ。子供にはショックが強すぎて忘れたくもなるのは仕方ない…」

「しかし、ご無事で何よりです」

「グラン騎士長は…と言ってもわからないでしょうけど左目を怪我した人はお近くにいませんでしたか?」

「あっ」


ルカは思い出す。

自分を守ってくれた死際の相手を顔を。

確か左目に傷があったはず。


「すみません。その方なら私を化け物から逃そうとして…」

「そうですか…」


ルカの前にいた大人数人が泣き崩れた。


「そうですか、我々が防げていれば…。しかしグラン騎士長もルカ様が無事なら喜んでいるはずです。皆の物!泣くな!立て!我らが尊敬するグラン騎士長に剣を捧げよ!」


その言葉を聞いた兵士達は空に剣を高く上げ勢いよく地面に突き刺すと1本下がり剣に向け敬礼した。


「さっ、ルカ様お戻りになりましょう」

「はい…それであなたがたは誰なのでしょうか?」

「申し遅れました!私はミュゼール・エト王の近衛騎士団

グラン隊副騎士長、バハ・ロマヌと申します」


「自分のお名前は覚えていらっしゃるのですね」

「いえ、その片目のグランさんって方が死際に私の名前を呼んだので」

「全ての記憶が…。お身体が無事なら記憶もそのうち戻るかもしれませんし。王も腕の良い治癒師を手配してくれるはずです。さっ今はこんな所に留まらずすぐにミュゼール領に戻りましょう」


なんかよくわからない展開になってしまった。


馬に乗せられ何となく騎士の方たちに流されるまま何処かに向かうルカ。


そして初めて目にする街が遠くに見えてくる。


「あそこに私の家があるのですか?」

「何をおっしゃいます。ルカ様のご自宅は街の向こう側に見えるお城ですよ」


「城?」

「ルカ様の名前はミュゼール・ルカ様。ミュゼール・エト王の御子息。ミュゼール国王、第1後継者なのです」


国王?御子息?

後継者って事は跡取り息子?

それはいいとして、そんな身分でなんであんな目にあってたの?

ショックの大きい事件って何?

何が起こって片腕、片脚をうしなったの?

本当にこのまま連れて帰られて大丈夫なの?


ルカは頭の中で自問自答を繰り返す。


とりあえず何かあれば代価を支払って…なんとかなるだろうか??


とりあえず金目の品が今すぐ欲しい。

出来れば現金が。


「すみませんが少しばかりお金を貸してはいただけませんか?」

「構いませんが何か必要であるなら私達が後でお届けいたしますが」

「あ…なら、大丈夫です」

「今は王がお待ちです。急ぎましょう」


馬の背が揺れさらに速度を上げ王の待つ城へと急いだ。


「ミュゼール・ルカ様のお戻りだ!」


白に着くなりワラワラと人がルカを取り囲み剣と衣服を剥ぎ取られ大きな浴場に連れて行かれ隅々まで磨かれた。


「そこはいーから!」

「???…はい」

「お風呂ぐらい1人で入れるから」


全員を外に出して静かで広い風呂に浸かりながら思う。


「死にかけから次期国王って…どうなってるだよ」


けど、お金とかもーどうでもいい。

何しろ後の国王が自分なのだから。


浴場から上がると煌びやかな衣装を着せられデカイ扉の前に連れてこられた。


「さっ、王がお待ちです」


扉が開くと色々な人達が赤い絨毯の脇に並びニコニコとこちらを見て微笑み送ってきた。


ルカは絨毯の真ん中をゆっくりと歩き階段上に座る王らしき相手の前に直立した。


「よくぞ無事帰ってきた」

「…はい!」

「どーした?なにをそんなに緊張しておるのだ?ルカよ」

「えー…その…」


「エト国王様。申し上げ難いことがあります」


ロマヌ・バハが片膝をついてルカの横に出た。


「なんだ?バハよ」

「はっ。ルカ様を救出したのですがどうやら記憶を失ってしまっているようなのです」

「…それはまことか?」


エト国王はルカに言葉をかける。


「はい…実は名前や全て何も思い出せません」


「そうか…」

「すみません」


ルカはエト国王に頭を下げて謝罪した。


「下がってよい。今日はルカをゆっくり休ませよ。それと近国内含め隣諸国から名の知れた治癒師を集められるだけ明日、ルカのもとに集めよ」


エト国王は椅子から立ち上がりルカに近づくと肩を叩いた。


「よくぞ戻った。息子よ」


小さな声でルカに囁き扉から出て行ったのだった。


お久しぶりです。

コロナの影響で大変な思いをされている方々の些細な暇つぶしになればと思います。


嘘つきな猫です。


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