第四話 幽霊の特権②
三匹の猫が目を覚ますと、目の前には土が広がっていた。
「うおっと!あー...びっくりした」
「ん~?うわっそうだった!」
「おっと...寝る場所には適しませんね、やっぱり」
「だな、まずは上に行くか」
「よいしょっと...もう夕方か」
「なかなかきれいな景色ですね」
「だな...まぶしいけど」
「...ですね、まぶしいけど」
「あ、そうだ、レオさん」
「ん?なんだ?」
「寝る前に聞いたことなんですけど、お腹がすかないのはなんでなんでしょう?」
「あーなんか幽霊の特権みてえなもんらしいぞ 前には1ヶ月なにも食わないで過ごしたやつもいたらしいしな」
「1ヶ月ですか...なんだか変な感じですね」
「まあその1ヶ月食わなかったやつも結局腹がすいたってわけじゃなく、食いたくなったから飯を食ったっていう話だけどな」
「食べたくなって食べる...なかなか贅沢ですね」
「贅沢って言ったらあれ、見てみろよ」
「あれ...?あのなにか...たくさん積んであるやつですか?何か香ばしい香りがしますが...」
「そう、あれ全部超高級のキャットフードなんだと もちろん着色料、保存料、グレイン全てフリー!」
「...一体誰が用意したんですか?あんなに」
「そうだな...ミケ、お前がいつも食ってたキャットフード思い浮かべてみろ?」
「え?...えっ!?」
「な、出てきただろ?」
「なんで...急に足元にキャットフードが?」
「これも幽霊の特権ってやつだな 考えたものはなんでも出せるんだと」
「...なんだか、思っていた以上にすごい世界ですね」
「そりゃな …すごい世界っていえばそういえば死んでから人間を見てねえな」
「確かに...この森の先には何があるんでしょう?」
「そういや行ったことねえな...行ってみるか?」
「...おれはやめときますよ」
「なんでだよ?フク?」
「そりゃそうでしょうよ 死んだときだってレオさんがちょっと冒険に行くって言って...」
「大丈夫だろ 今度は死にゃしねえはずだ」
「...その自信はどこから来るんですか...」
「猫の勘がそう言ってる」
「その勘が当たった試しがないからなあ...」
「失礼な奴だな~ほら!行くぞ!」
「あっちょっと!...もう...!」
「しょうがない、行ってあげましょう?フクさん」
「...そうですねえ...行きますか...!」