第三話 幽霊の特権①
太陽が昇っていくにつれて、木陰がゆっくりと動き、それに合わせて猫たちもゴロゴロと動いていく。
「ふああぁぁ~...ったく、幽霊になっても暑いもんは暑いな」
「とはいえ浮いていると蒸し暑さはないですね …変な気分ですが」
「まー他にもいい方法があるぞ」
「いい方法?なんのですか?」
「涼むためのだよ」
「え、レオさんそんなことおれにだって教えてくれなかったじゃないですか」
「フクに教えると何かあったときに隠れれないと思ってたんだよ」
「...何する気だったんですか?」
「大したことじゃねえよ ちょーっといたずらしようと」
「ほんとにちょーっとですか?」
「ちょーっとだ、ちょーーっと」
「あの...、結局涼むのにいい場所って...?」
「そうだったな 全く、フクが横やりをいれるから」
「...おれ悪くない気がするんですけど」
「で、そのいい場所だが...下だよ」
「下?」
「下?」
「そう、下」
「下って...地面しかないじゃないですか」
「その地面の下だよ」
「あー...なるほど」
「フクは分かったみたいだな」
「僕はさっぱりです」
「お前がこれまで聞いてきた人間の言葉から幽霊が何を出来るか、考えてみろ」
「...人を脅かす?」
「まあそうだけどな 幽霊ってのは直接触って人を脅かすか?」
「いや...触れれないことが多いはず......あ、」
「分かったみてえだな」
「ええ、地面に潜るんでしょう?」
「そのとおり ま、百聞はなんとかってことで行くか」
「...なるほど、陽の光を避けれるのでいいですね」
「まーあんまり下に行きすぎると暑いけどな」
「これ、ずっとここにいたい...周りの景色を抜かせば」
「...確かに周り全部土っていうのはいただけませんね」
「そこは諦めだよ諦め」
「でもこの狭さ...なかなか悪くないかもしれません」
「んあぁ...だなあ...」
「おや、ずいぶん眠そうですね」
「ちょっと朝飯食い過ぎてな...」
「朝飯...そういえばこっちに来てからすっかりお腹が減らないんですけど...」
「あぁ...まぁ...なぁ...まーそーゆーのは起きてからでいいか?眠みぃ...」
「まったく...レオさん...」
「...もちろん、いいですよ おやすみなさい」