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殴リアイ 前編

今回は二つに分けます!

私には分かる。

自分に起こる戦いの予感が。

元々私達半竜人は戦いをして生きる存在だった。

戦い無しでは生きられない存在だった。

戦火の匂いがしては戦いにありつける。

だから、戦う日が何となくわかるんだ。

適役は私しかない。



〜魔王城 森 竜達の住居〜

「……よいしょっと。」

目覚めはかなり良い方!

「起きたか。」

彼の背中で目を覚ます。

ぐるりと首を曲げてこっちを見る。

ダーリンは寝る時そんなに動かないから背中でいっつも寝てるの!

案外寝心地が良くて…。

「ふぁあ……うん!おはよ!…あちゃー天気悪いねー。」

「…そうか。相手は誰だ?」

唐突に始まる心の内の読みあいっこ。

「うぇっ!?唐突すぎ!?なんで知ってるの!?まだ何も言ってないでしょ!」

「何十年も過ごせば分かる。お前が戦いの匂いを感じた時は第1に天気を気にする。普段のお前など起きても我の背中で暴れ回るだろう。」

呆れたような声でよそを向く。

なんとびっくり、癖がバレてしまいました。

「あはは…んとね。相手はわかんないけど、匂いを感じた。」

全てお見通しだ。

流石にダーリンには何も隠し通せない。

「止めても行くのだろう?生きて帰ってこい。」

「えへへ、ありがと。もうちょっと顔見せてよ!」

「何故?…まあよい。」

違う方向を向いていたファフニールはそれなりに長い首を曲げてこちらをもう一度見た。

「自分の背中を見るのは首に負担がある。」

「そうだね!…ぎゅーっ!へへ!どう?行ってきますのハグ!」

竜と半竜人には体の大きさの差が激しい。

だからハグは気持ちいい。

「…なんの意味があるのかわからんが。」

「それじゃ!ここの留守番とかは任せたー!行ってきまーす!」






〜魔王城 謁見の間〜

今回は緊急招集、魔族の領地内で敵襲。

「皆、よく集まった。早速要件を言う。森の街の集落の一部が襲撃された。即座に救護に向かわせたがその集落はほぼ壊滅状態だ。今すぐにでもまた誰かに行ってもらわねばならない。」

最近になって人間側からの攻撃が激しくなってきている。

さすがに私達も応戦し、攻めねばならないが。

…私はそんなことで平和を望んでいる訳では無い。

必ず、別の打開策があるはずなんだ。

「敵もまだ潜伏していると見られる。イルミナには森の街全集落に向かって避難指示を。避難先は均等に数を分けてくれ。血の国、和の国、魔王城の3つだ。ある程度の舞台も向かわせる。」

「となると敵を潰しに行かなきゃならないな。」

「だけどこの前みたいに大勢で行くのは推奨しないわ。情報も聞き出さないといけないし、こちらに来るかもしれない。防衛に戦力を回した方が損失は少ない。それに潜伏している敵の数も把握出来ていないわ。」

そうなると追撃に向かわせられるのは多くても2人だが。

「恐らく、ですがこの前の襲撃と同じ魔力を感じます。他の魔力は感知できず。あの力、私でさえ押されそうになるほどでした。また罠かも知れませんし…。どう致しましょう。」

あちらから来るとも言いきれないな…。

ここはどうするか…。

「なら私がいくよ。」

「カーマイン。…大丈夫か?」

あまり見せない表情をする。

いつもおちゃらけて朗らかなあの顔はなく、ただ真剣な表情。

「心配する気持ちは分かるけど…。なんだか私がやらなきゃ行けない気がするの。それにセフィロトちゃんでも辛そうなんでしょ?なら私が行かないと!」

胸に手を当てて私の目を見る

「わかった…。だが…無理はするな。優先すべきは皆の安全、そして自分の命だ。皆の安全が確保出来た段階で撤退してくれ。」

「分かった。…私の力、久しぶりに全力で行かないとねっ。」

翼をはためかせた。

いつもとは違う。

「頑張ってねカーマインさん!大体の構造は覚えてる?一応また教えておくね!」

「ありがと!いちおー確認するから後でお話ね!」

「なら、前線はカーマインに任せよう。漆、ミナリは避難の手助けを頼む。多少なら軍員を回せる。セリルは物資の管理を。足りなくなったら直ぐに運送できるように配備しろ。」

「分かりました。」

セリルが走っていく。

「セフィロトと雹華は付近の警戒を頼む。」

「直ちに。」

「通達はわしが行う。何かあったら伝えてくれ。」

「私はここに残る。皆、頼むぞ。」








〜森の奥〜

急がなきゃ行けない。

戦うことは確実。

私の感がそう言ってるんだから。

それでも先は安全の確保。

誰もいないような所へ敵を誘導。

もしあの時襲われたっていう敵なら尚更。

「…っ。」

少し奥で森が燃えている。

まだ一部ではあるが。

しかしそこに何かがいるのが分かる。

翼をより一層はばたかせて速度を上げる。

そして地に足を付ける。

目の前には青い髪の少女が。

羽織のようなものを着ていて服は着ずにサラシ。

下は和風のスカートのようなもの。

袴…だっけ?

動きやすさが重視されているようで切れ込みがある。

「こんにちは!そこの…人?」

「…何か用か?」

視線を一切向けずその場で棒立ちしている。

「貴方、ここらの侵入者でしょ?」

「だとしたらなんだ?」

冷たい反応、私は好き。

「ここら辺は無断侵入は禁止なの。罰則があるわけじゃないけど魔王様からの命令でね!来て貰える?」

「…分かった。頼む。」

「なーんだ!案外いい人じゃないのよー。こっちだよ!」

少しずつ城とは違う方向へ。

「…私を連れて何をするつもりだ?」

「ちょーっと人間側の事情を教えて貰うだけ!それしたら解放するよ!」

「…」

再びまた歩み始める。

人間の足取りがだんだんと重くなっていく。

「…。」

息1つ上げず、踏み込む音すら聞こえず、顔色1つ変えず。

音速とも言える速さで人間に殴り掛かる。

狙うは腹部。

「ッ!」

辛うじて人間は腕で防ぐ。

「意外だね。普通の人間なら腕折れちゃうんだけどなー。」

「ッ…と。馬鹿みたいな顔して末恐ろしいことを言うな貴様は。」

腕に傷は全くなくむしろ綺麗だった。

「馬鹿みたいな顔!?ふん!いいもん!思い知らせてやるから!」

「そっちが殺る気ならこっちも迎え撃つまで。…雷纏い。」

恐らく魔法。

噂通り雷の魔法を使う。

見たところ雷を纏っているだけみたいだけど。

それでも危なそう。

「…ッァ!」

カーマインに負けず劣らずの速さで背後に移動、肘で力いっぱいに突く。

「ぅがぁっ!?」

恐らく背骨に直撃。

半竜人の骨とはいえ強靭ではあるがもちろんヒビが入ったり折れたりもする。

「ッ…それがどうなのさっ!」

前に倒れそうになるが踏みとどまって顔面に裏拳。

人間とは腕の作りから違う。

硬い鱗で出来た素手が私の全力で当たるのだ。

怪我をしない方がおかしい。

が、それも虚しく傷はない。

「…ッ。真っ向からの殴り合いは好まない。私は私のやり方で行かせてもらう。…水帝 丸連弾(すいていがんれんだん)!」

周囲に水球が飛散する。

「…水の魔法…かぁ。まぁ、こーいう戦いには正々堂々もないからね。私は外道なやり方、けっこー好きだよ?」

何が起きるか分からないため空中に避難。

見たところこの人間は空を飛べないはず。

「そっちは魔法は使えないようだな。遠くから攻撃するまでだ。」

雷魔法が放たれる。

得意ではないができるだけ魔力の流れを読んでどこに放たれるかを予知し、避ける。

持ち前の速さがこちらにはある。

「魔法はなくとも…こっちには元々備わってるものがあるからねッ!」

私には冷気を生成する器官がある。

水蒸気を凍らせて氷を作って…吐く!

「━━━━━━ァ!」

口を大きく開き、開けた口に生成される氷の塊。

それを人間に向かって発射。

竜に関わりのある種族はもうひとつ特別な器官がある。

何かを吐き出す時に勢いを付けるための空気を貯める器官。

ただ吐くだけでもかなりの勢いだから攻撃もできる。

「ッ…ウザったい。水連弾ッ!」

外れてしまった。

今度は空中に水球を。

そして出されたものはすぐさま破裂。

弓矢のような勢いで水が飛び散る。

「いッ…たぁ…。」

鱗のある部分はもちろん丈夫ではある。

しかしそれでも守れている場所は腕、足のみ。

腹部、頭部などには鱗がない。

竜人では無いが故のひとつの弱点。

「ッ…いったいなぁッ!」

人間の元へ急降下。

そのまま豪速でかかと落とし。

「っァああッ!」

ギリギリの反応で腕で受けるが流石に厳しい。

痛みに耐える顔が見える。

何せおぞましいほどの速さで強靭な半竜人の足が降りかかるのだ。

普通なら粉々に砕け散っておかしくない。

「…貴方、人間じゃないね。」

「…だったら…っ何だァッ!」

「ぐぁっ!?」

腕で受けられたのが問題だった。

そのまま足を捕まれ振りかぶってそのまま地面に叩きつけられる。

「ガハッ!?」

背中から全面強打。

頭が少しぼんやりする。

「人間なぞとうの昔に捨てたッ!雷帝 紫電花火(しでんはなび)ッ!」

馬乗りになって首を絞められる。

彼女が魔力を貯めると紫色の雷が拡散。

至近距離で雷を食らう。

「ァア゛ア゛ぁっ!!?」

雷。

1番相性が悪い。

鱗なんて関係なくダメージが入りやすい。

体が内側も外側も焼ける。

「ガァッッア!!!」

獣のような雄叫び。

力では私が確実に勝っている。

自分の得意なやり方で押し込めばいい。

首を絞められている?

関係ない。

爪をたてて顔を左手で掴む。

爪や鱗や色々食い込む。

流石に血は出る。

血が出るなら、殺せる。

……ダメ。

殺しはダメ。

「ぐぁっあ!?…っが!」

でも、コテンパンに。

「まだ…未熟だね。これから痛いよ。」

顔だけを掴んで持ち上げる。

そのままもう片手で首を掴み、持ち変える。

身長は私より低い。

この身長差、力の差。

下手しない限りは勝てる。

「はな…っせ!」

「…私わかるんだ。殺気とか。私がお城に連れていくって言ったその瞬間。少しだけだけど感じたよ。魔王様に対する殺気。すごく抑えられてたけど、野生の勘の前には無駄だったね。…いくよ?」

空中から突き放す。

そしてバランスが取れないところをみぞおちに1発重い打撃。

「━━━━ッァ!?」

痛みで声が出ていない。

息もまだ整えられていない様子だ。

でも、慈悲はない。

追い込みをかけるようにソバット。

腹部に今度は私の脚が。

軽く遠くに吹き飛ぶ。

壁などは何も無かったためそのまま地面に落ちる。

半竜人は並の力でも木をなぎ倒す位はある。

…少し前のがまだ効いてる。

私へのダメージもかなりあったようだ。

「…ぁ…っふー。加減はしないよ。参ったって言うまで。」

体を落ち着けるダニも一旦距離を取り冷気を吐き出して氷の結晶を彼女の近くで生成。

聞こえは弱そうだが一瞬で生成するため刺さることもある。

加えてして運が良ければ腕なども凍る。

「ッぁ…ッ…。はぁー。…う、っと。」

フラフラの状態ではあるが何とか避ける。

…私も平気でいるけど電撃がかなり響いてる。

呼吸も乱れたまま。

一旦落ち着くために和解を持ち掛ける。

「ハァ…っねぇちょっと!ほんとに…殺したくはないの。」

「ッ…は…ぁ…っぐ。…うる…さい。お前ら竜族みたいに1度人間に媚びへつらった糞種族が何を言う…ッ!」

「…人間の感覚がするのに人間を嫌うのは何故?」

「言っただろう…っは…。人間を止めた。雷纏い…轟雷撃ッ!」

「…っぐ。」

今度はあちらの拳が私の腹部に。

想定以上の速さに反応できなかった。

的確に腹だけを狙ってくる。

「…はっ。どうした?外道なのが好きじゃなかったの…かっ。…ふぅー。っは。」

どちらも息が整わない。

「もちろん…好きだッ…よっ!」

顔面を掴んでそのまま頭突き。

身長差があるから後頭部へズドン。

「いっ…だぁ……っ!」

痛さのあまり頭を抑え後ろによろめく。

しかし反撃の意思は変わらず。

雷を纏ったまま回し蹴りを顔面にお見舞される。

「━━━━━。」

力が抜ける。

気絶までは行かないがこのまま倒れて動け無さそうだ。

案の定地面にバタンと倒れる。

しかしそれは彼女も同様。

力が尽きたのか後ろから倒れ込む。

「ぁ……っは…。クソが……。」

「貴方……一体なんなのさ。」

「………しばらくお友達ごっこに付き合ってやる……よ。っはー……ふー。」

「はぁーっ。ぐぁ……、へへ、いいね。」

どちらも虫の息だ。

「私は……淵河 水澪(ふちかわ みお)。人間の王に使えた愚かな生き物。蛟だ。」

「漆と」

「カーマインのぉっ!」

「補習室ー!」

「いやぁガチタイマンじゃねーかよ」

「私すごいねー!あ!ここは本編と一切繋がりがないから嫌だなーって人は飛ばしてね!メタい話とか結構するよ!」

「淵河 水澪。…この前襲ってきたやつがこいつだな。」

「そうだねー。案外服とかダサいよね。和服に上着ないでサラシなのに和服っぽいスカートに羽織って……。」

「戦う時は大抵腰に巻くらしいが」

「…誰がダサいだ。」

「みおちん!?!?」

「その名前もやめろ。…これしかないんだ服は。ほおっておけ。」

「あー話を戻すが今回はなんか深い過去がありそうな竜、だな。」

「いろいろあったんだよー。ほんとに。」

「そこんところの話は次らしいけどな。」

「…私は帰るぞ。」

「カーマインは見た目は朱色だが氷を使うよな。」

「まー私も炎つかいたかつたよねー!」

「氷で外郭を強化できるとか?」

「そうそう!凶器になっちゃう!」

「なんで今回使わなかったんだ?」

「さあ?多分殺しちゃうからじゃない?」

「たしかにな……っと。今回はもう終わりみたいだな。…俺レギュラーかよ。漆でした。」

「カーマインでしたー!次はあの可愛い子!?」

「キラキラしてるよな」

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