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月夜見が何かを企んでいるようです(笑)
月夜見との生活も1ヶ月を過ぎました。
月夜見は相変わらず夕方起きて朝寝る生活……夜を統べる神だから仕方ないですけどね。
僕の両親ともうまくやってます。
お母さんなんか
「よみちゃん来てから裕一郎が明るくなったわ!」
って喜んでます。
僕の中でも、何かが変わってきてるのかもしれません。
一つ言えるのは、月夜見とお風呂に入っても、ドキドキしなくなりました……だって毎日ですから。
そんなマンネリになりつつある夜……
「そろそろ寝なくちゃ」
「もう、そんな時間か」
「じゃ、寝るね」
僕がベッドに入ると、続いて月夜見もベッドに入ってきた。
「あ…れ?寝るの?」
「おう♪」
「夜を統べる神が寝ちゃっていいの?」
「大丈夫!大口真神に任せてある!」
おお…ぐち…まがみ?配下の神様かな?
「何で僕に合わせてるの?」
「え……いや…まあ、良いではないか……」
なんか変だな、今日の月夜見……
ああ……また甘い匂い……凄く気持ち良く寝られそう……
「……」
「…いちろう」
「裕一郎!」
「ん……」
「裕一郎、朝だぞ!起きろ!」
「んぁ……おはよ……」
「おはよう」
「月夜見……朝から元気だね……」
「裕一郎がだらしないだけだ……わしは目覚めはいつでも良いぞ」
「凄いね……ふあぁぁ……着替えるから先に下降りてて」
「分かった!」
月夜見はとんとんっと階段を降りていく。
「先に顔洗ってねー!」
下から月夜見の声。
「バカにするなー!」
制服を着て1階に降り、顔を洗ってから食卓へ。
「遅いぞ」
「先に食べてれば良かったのに……」
「一緒に"朝ご飯"を食べたかったのだ」
「そう……ありがと」
食べ終えて、そろそろ学校に行こうと玄関に…
!?
何で!?玄関に犬が!?
「どうした?」
「い……犬が……」
「ああ、こいつか」
月夜見はその犬に近付いて頭を撫でた。
「こいつが大口真神だ」
「この方が月夜見様が言うとった……」
「そうだ、裕一郎だ」
喋ってる!?……でもお爺ちゃんみたい……
「は……初めまして……森田裕一郎です……」
「おお……良く出来たボンじゃの……」
「ねぇ月夜見」
「何だ?」
「凄いお爺ちゃんだよね」
「真神原の長老だからな」
「そうなんだ……」
その間も頭や体を撫で続ける月夜見。
「あんまり撫でちゃダメだよ。犬は撫でられるだけで体力消費するから、老犬には辛いよ」
「そうなのか!?」
「優しいのう、おぬしは……だが、わしとて神の端くれ、この程度でバテているようでは月夜見様には仕えておれん」
「そ…そうですか」
「心配してくれて、ありがとう」
穏やかな顔で頭を下げる大口真神。
「じゃあ……僕も撫でていいですか?」
「おお……わしで良ければ、存分に撫でなされ」
僕は堰を切ったように撫で始めた。
「僕、犬が大好きなんです♪」
「そうかそうか……おぬしは撫で方がうまいのう」
「裕一郎、撫でているのは良いが、学校とやらに行かなくていいのか?」
「あ!ヤバ!行ってきます!」
タッタッタッタッ…
「さすが月夜見様が見込んだ若者……」
「いや……これはわしも予想はしてなかったぞ……」
「あら!よみちゃんの犬?」
「そうだ、立派だろう」
「私も犬が好きなのよ〜……撫でていい?」
「いいぞ」
「この御夫人は?」
「ああ、裕一郎の母上殿だ」
「ボンの犬好きは、母上殿の血か……」
「みたいだな」
「よみちゃん、犬とお話しちゃって……犬語分かるの?」
「まあ、付き合いが長いからな……」
「凄いわねぇ!私にはワンワンとしか聞こえないわ……あ、片付け途中だった!また後でね、わんちゃん」
「やはり……」
「あのボンは、わしの言葉を理解していたようですな」
「裕一郎……やりおるな♪」
近所の柴犬のお爺ちゃんからヒントを(笑)