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異世界転移犬のおうちに帰ろう大作戦  作者: よしもん
第1章
8/12

魔法隊に見学

ある日の午後、いつもの食堂のいつもの席で昼食を食べているシューとボイル。

そこへボイルの耳に聞き慣れた男の子が話しかけて来た。


「やあ、ボイル。元気?」


声の方に目をやると青い髪の同年代の幼馴染が昼食のお盆を持って立っていた。


「おお、ピスか! ああ、俺は元気だ‼︎ お前は元気か?」


「うん、僕の方も元気だよ。あ、そこの席いいかな?」


「ああ、いいよ」


彼の名前はピスタチオ、通称 ピス。同期の魔法隊で貴族の出、下町出身のボイルとは遊び友達でイタズラ仲間。よくイタズラしてはこっ酷く親達から叱られていた。仕事をするようになりボイルは騎士隊、ピスは魔法隊に所属してからは会う事も少なくなったが、たまに会えば近況を報告しあっている。


ボイルの許可を得て、前の席に座り、テーブルにお盆を置いた。

ちなみに彼の昼食は白身魚のフライ定食、白身の魚のフライが2枚にサラダに切れ込みを入れたコッペパン2つのセット。

そのフライにテーブルに置いている調味料をかけて食べる。


「こんにちは、シュー君も元気?」


床で食事をしているシューにも挨拶をするピス。


「ペロッ、こんにちはです! 僕の能力を測る道具を持って来た人ですよね、お久しぶりなのです‼︎」


一時食べる事を止め口の周りを舐め取って挨拶を返すシュー。

その時に、能力確認の時魔道具を持って来たローブを着てた人物の1人を思い出して言った。


「‼︎ 、なんで分かったの?」


驚き、そして不思議に思い聞き返すピス。


「匂いが同じだったので分かったのです」


と分かった訳を答えるシュー。


「へえ、流石はワンコだね。そうだ!後で魔法隊の方に見に来ない?」


シューの鼻の良さに感心するピス。ふとシューに魔法隊の見学に誘う。


「魔法隊にですか? ボイル君良いのですか?」


ピスの誘いにボイルの許可を取るシュー。


「俺は良いけど、散歩はどうすんだ?」


OKは出したがいつもの昼の散歩をどうするか聞くボイル」


「ああ、それだったら僕がシュー君を散歩に連れて行くよ」


ボイルの代わりに散歩の当番を買って出るピス。


「じゃあ、今日はシューを頼んだ。シュー、また後でな。 あ、これも持って行くぞ」


ありがとうです」


と、昼食を食べ終えたボイルが、同じく食べ終えてたシューの皿を回収すると、シューが礼を言う。そしてボイルは受付横の食器置き場に持って行きそのまま見回りの仕事に行った。


「じゃあ、すぐに食事を済ますからちょっと待ってて」


「分かったです」


そして20分後、昼食を食べ終えたピスはシューと一緒に魔法隊の詰所へと向かった。


詰所に着くと、ピスはドアを開けるとシューの方を向き、シューを迎えるように言った。


「ここが魔法隊だよ‼︎」


中には長机と椅子があり、椅子に座って休憩しているローブを着た人達がいる。


飲み物を飲んでる人、お喋りしてる人達、それぞれがそれぞれのことをしている。


その奥に扉があり、そこに付いていたプレートには、隊長室と書かれている。


ピスはその扉にノックする、すると奥から「入りなさい」と声が聞こえた。


「失礼します、ピスタチオです。シュー君を連れて来ました」

ピスは断りを入れて扉を開ける。


中に居たのは王宮魔導師のカシュー、彼は魔法隊の隊長も兼任しているようだ。彼は何やら調べ物をしていたようで机の上には本がいっぱい積まれていた。


顔を上げ、こちらを見て言った。


「おお! シュー君、よく来たね。何もお構い出来ないが、ゆっくりして行くといい」


カシューがシューを歓迎する。


「これから色々、案内致しますね」


ピスが案内を買って出る、


「ああ、よろしく頼む」


カシューは案内をピスに託した。


部屋を出るピスとシュー。


「それじゃあ、これから案内するね」


先ず、ピスが。案内するのは占い部屋。


占い部屋は魔法隊の詰所の隣にある、六畳ほどの小さな部屋で窓はない。


部屋には机と椅子が3台、入り口から見て左右と奥に1台づつあって、机の上には水晶球が置いている。そこに1人づつ椅子に座ってる。


ピスがノックしてシューと一緒に部屋に入る、仕事中の人達に説明して見学させてもらう。



「ここは占い部屋だよ。ここでは3人の魔法使いが交代で国の天気や危険予知等を占う部屋だよ。魔族がやって来ると占ったのもこの部屋だよ」


「へえ、色んな事が分かるとこなのですね!それでザッハ君はビクビクしてるんですね!」


シューは感想を言った。


「ザッハ君て王様の事? そうだね、うちの隊の予知は優秀だからね

来るのは確実かな? ただ、まだ日にちが遠いせいか日時がまだ確定しないんだよね。

ここ1〜2年くらいなのは間違い無いはずなんだけど」


ピスが自慢めいた説明をする。



「まあ、ここの紹介はこれぐらいにして次に行こうか」


仕事中の人達にお礼を言い退出するピスとシュー。


次に案内するのは図書館。


この図書館は城の者だけでなく国民にも自由に使える様、城門の外にある。

中には国の歴史や文献の他、児童書や一般大衆の読む娯楽本まである。

勿論、国民に閲覧出来ない魔法書や重要書物は奥の扉より向こうに仕舞ってある。




城から出て図書館に入るピスとシュー。


「ここは図書館だよ。ここは城の中だけど国民の人達にも本を読める様に一般開放してるんだ」


と図書館について歩きながら説明するピス


「奥には君を呼び出すキッカケになった文献もあるんだよ」


「へえ、僕はここの本で呼び出される事になったんですね」

と、シューは応える。


本棚に着き、一冊の児童書を手に取り懐かしそうにパラパラとめくる。


「そうだ! シュー君は人の言葉は喋れるけど、文字は読めるの? これちょっと見てみて‼︎」


ふとした疑問で手にした本をシューに見せる。


シューは本を見た。


「海って塩辛いのって、昔の人の魔道具が今でも動き続けているからなんですね! 僕、初めて知りました!」


シューは本に書かれている事を口に出した。


それを聞いて微笑むピス。


「まあ、これは子供用に描かれてるから本当は違うけどね。やっぱり文字も読めるんだ!」


「はい、分かるです」


「じゃあ、何か読みたいものとかある?」


「無いですね!じっとしてるのは嫌なのです!」


ピスの質問に即答するシュー。

じっとしてるより動き回る方が好きな様だ。


「そっか、じゃあ次に行こうか、次は魔法練習場だよ。ここの本を読んで覚えた魔法を試したり、レベルアップした魔法とかを調べたりする所だよ」


「分かったです! 行くです!」


シューの言葉を聞き図書館を出て行く2人、


魔法練習場は城内の渡り廊下の先にある体育館と同じくらい大きな石造りの建物。





練習場に着き扉を開けるピスとそれに続くシュー。中はいくつかの部屋に扉で区切られそれぞれに番号が書いてある。

その内の1つに入る、扉に掛かっている木札をひっくり返し使用中に変える。


中はバスケットボールコートの半分程、高さは3〜4メートル程の広さで壁には何やら模様の様なものが描かれている。中央付近には案山子の様な物がありこれを実験台にして魔法を練習する様だ。


「ここは部屋が6つあってみんな同じくらいの広さなんだよ、壁描かれている模様は魔法練習の時に外に被害が出ない様に魔法を打ち消す為の物なんだ。試しにやって見せるね!」


そう言うと、手の平を壁に向けて魔法を放った。


「ファイヤーボール!」


壁に向けて魔法の火の玉が飛んで行く、壁に当たると吸い込まれる様に火の玉が消えていった。


「こんな感じかな!」


「‼︎ すごいです‼︎ 手から火が出たです‼︎」


ピスのデモンストレーションに驚き興奮し跳ね回るシュー。


シューの言葉に気を良くしたピスは説明を続ける。


「それでね! あの真ん中にある的に魔法を当てて練習したり、試したりするんだよ! 僕も

良く練習したりしに来るんだ、見てて」


今度は案山子に手の平を向けて魔法を放った。


「アイスボール!


ウィンドカッター!


ストーンバレット!


サンダーアロー!」



次々と初級魔法を放つピス。

それを見てさらに興奮するシュー。


「へえええええええ! すごいです!すごいです!これが魔法なのですね‼︎ 」


「まあ、こんなものかな!」


シューの興奮する姿を見てすこし自慢げなピス。

しかし、次のシューの言葉に顔を凍らせる。


「僕とどっちが強いのですか?」


言っている意味がわからないピスは困惑する。


「……どう言うことだい?」


「ですから、僕とその魔法ではどっちが強いのでしょうか? 」


「それって僕と勝負するって事? 」


「はい、そうです! 」


シューの言ってる意味を理解し慌てるピス。


「ダメダメダメ、危ないよ。異世界のお客さんにそんな危険な事出来ないよ‼︎ 」


「大丈夫です、僕はスキルで痛く無いのです!」


シューが自分のスキルの説明をする。

ピスはシューが来た時の事を思い出しすこし考える。


「じゃあ、すこしだけやってみる?」


「はい、やってみるです!」


そう言うとシューは部屋の真ん中に行き、体勢を低くし獲物を捕らえる時の状態にする。


ピスは手の平をシューに向けて準備完了を告げる。


「こっちはいいよ」


「こっちもいいです」


「弱い目で行くから、無理しちゃ駄目だよ!」


「普通に撃っていいですよ!」


手加減抜きでと言われたが威力を抑え気味に魔法を放つ。


「じゃあいくよ。


ファイヤーボール!」



「ワォーーーーン‼︎」


火の玉はゆっくりとシューの方に向かう。

シューの方も溜めていた前脚を駆け出す様に前に飛び出す。



直後、火の玉とシューはぶつかる。

ピスは顔を背け、爆発に対して抵抗する姿勢を取る。

しかし、暫くしても爆発は起こらない。

不思議に思い正面向く。

すると、シューは火の玉に包まれ燃え上がっていた。


慌ててシューに駆け寄るピス。


「シ、シュー君⁉︎ 大丈夫‼︎⁉︎ ごめんよ、やっぱり生身で魔法とぶつかるのは無理があったんだ‼︎ 僕はなんて……」


バカなんだ 、と言おうとした時、火の玉が喋り出す。


「思った通り、痛く無いです!」


と跳ね回る。


唖然とするピス。


「シューくん…、大丈夫なの…?」


なんとか口に出し問いかけるピス。


「はい、大丈夫です!痛く無いです‼︎ 」


と走り回るシュー、しばらくすると体から火が消えて煤1つない真っさらなシューが姿を表す。


「本当だ、傷どころか煤1つ付いてない……」


信じられないと言う顔でしばらくシューを見るがシューのスキルに帯魔と言うものがあった事を思い出す。


「帯魔ってこれのこと…、なのかな? 後で隊長に報告しなきゃ…」


と思い、走り回るシューを茫然と見ているピスであった。




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