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異世界転移犬のおうちに帰ろう大作戦  作者: よしもん
第1章
6/12

訓練

すーぴー、すーぴー、


ある日の昼過ぎ、お城の裏庭の木の根元でとても気持ち良さそうに昼寝をしているシュー。


そこに朝の訓練を終えたところのボイルがシューを見かける、格好は薄着のロングTシャツのような服に腰で紐を縛る麻のズボンだ。首にタオルを掛けている。


ボイルが近づくと目を覚ますシュー。


先日、泥棒を捕まえるためと思いっきり蹴られた事に警戒しているようだ。


ボイルが触ろうとすると歯をむき出し

ガルルルルと威嚇する。


「なんで、威嚇すんだよ?」


とボイルが引きながら問う。


「また、蹴られたら嫌なのです!」


と返すシュー。


「悪かったって言ってるだろ。あん時はあーするしか思い付かなかったんだよ、それに終わった後飯食わしてやっただろ、それで機嫌直せよ」


と改めて謝罪しなだめるボイル。



「それとこれとは話は別なのです。」

と警戒を解かないシュー。


ふと、ボイルは思いついた事をやってみる。


1、手に持っていたタオルをシューに向けて揺する、


2、シューがガルルと唸りタオルに噛み付こうとする、


3、噛み付かれる前にタオルを引く、


4、1〜3を3、4回繰り返す。



「ほらほら〜噛み付いてみろ〜」


バカにするようにシューをおちょくるボイル。

シューの方は頭にきたらしく標的をタオルからボイルの脚に切り替える。


次にタオルを引いた瞬間、シューはタオルでは無くボイルの右脚に噛み付いた。


「痛ってええええええ〜〜〜!!!

何すんだーーー⁉︎」


痛みに驚きしゃがんで手で脚を抑えようとするボイル、


そこへ次に脚を抑えようとした手に標的に変え、そこへ飛び付き、がぶりと1噛み、


「うっぎゃぁぁぁぁっ!!!!」


次に噛み付かれた手を抑えようとシューが口を離した瞬間手を引き上げうずくまる、その時、頭が前に垂れる。


そしてシューはその頭に向かって飛び付き、噛み付いた。


がぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!



「ぎぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」




数分後、頭に犬を装備したボイルが医務室の扉を叩き、昼飯時、午後の見回り、全身包帯ぐるぐる巻きで町中を回り町や城のみんなに笑われる事になる。


その日は2人とも口を利かなかった。





次の日、昼休み、同じく木の根元で昼寝をしているシュー。


そこにまたしてもシューに近づく包帯まみれのボイル。


気配に気付き目を覚まし体を起こすシュー

警戒し唸っている。



「昨日はよくもやったな」



好戦的な笑い顔でボイルが言った。




「先にやってきたのはそっちです。」




とシューは返す。




「ああ、そうかい。じゃあこれならどうだ!」

と大きい猫じゃらしのような物をポケットから取り出し、右手でシューの目の前で揺すった。


もう騙されないぞと標的を初めから他の方に定め飛びかかるシュー。


それを読んでたのか右手を引くボイル。


次に前に出ている左脚に噛み付こうとするシュー。


今度は右脚を標的にするが避けられる。


左脚、右脚を交互に噛み付こうとするが後ろに下がり見事に避けられる。


そして数分後、シューが息を切らして、


「もう、止めたです……」


と言って、城の方に帰って行った。


「よっし!勝った‼︎」


と小さくガッツポーズをするボイル。




次の日、朝の訓練、ランニング時、シューが遠くから吠えながら砂埃を上げて猛スピードでボイルに向かって走って来る。

「わんわんわんわんわんわんわん!!!!」


「はっ⁉︎ なんだなんだ‼︎? わわわわーー‼︎!」


びっくりして全力疾走で逃げるボイル。


それを見てシューは、犬の本能全開で逃げるボイルを追いかける。


「わんわんわんわんわんわんわん!!!!」


全力で走る犬に人間が勝てる筈も無く、すぐに追いつかれる。

そして足がつんのめって盛大にこけてしまい、思いっきりお尻に噛み付かれた。


ふふんと満足気なシュー。


「くっそ〜〜〜‼︎‼︎」と、

すごく悔しそうにしているボイル。


昼休み、またしても猫じゃらし攻撃でシューに勝つボイル。


そういった攻防がしばらく続いた。



「うっわ、木が‼︎ やっベーなこれ!」


数日後、シューの方は好戦的になり猫じゃらしを出さなくてもボイルに噛み付くようになる、避けた所にあったのちょっと太めの木の枝に噛み付いて粉砕する程、攻撃力もちょっと洒落にならなくなってきたので、木剣が噛み付きを防ぐようになる。

硬い樫の木で出来ている木剣に歯型が残るほど強くなっていく噛み付きに常時、メット、小手、腰当て、脛当て、木剣を装備する様になり、走り辛いがランニングの時でも外さない。



「わんわんわんわんわん!!!!!!!!」


「させるかーーーー!!!!!!!!」


また、ランニング時、シューが追いかけて来た時、シューの噛み付きをバックで走りながら防御を行ったりした。




いつもの朝の攻防時


「なんかイライラするです!」


シューの方は、次第に噛み付けなくなり、ちょっとイライラする。


ふと、この世界に来た時の事を思い出す。


王女2人に引っ張られて体が伸びて、離されて、飛んで、壁を跳ねる。



「ちょっと、やってみるのです。」


何かを思い付いたシュー、獲物を狙う様に体勢を低くしお尻を引く、すると前脚が徐々に伸びてくる。


後脚を蹴り前に駆け出そうとするシュー。


しかし、前につんのめって、思う様にいかなかった。


「わっははは! 何してるんだお前?」


笑うボイルを前に再び同じ体勢に持っていくシュー。


もう一度駆け出す、そして、つんのめる。


何度か繰り返す内コツを掴んだのか、段々、

前に飛び出す様になる。


そしてもう一度、体勢を低くしお尻を弓矢の様に引き絞り、前脚を伸ばす。


「なんだ⁉︎…、 なんか嫌な予感が……、」


ボイルは危険を感じ、いつものシューの攻撃範囲の倍程の距離を空けた。



シューは前脚でボイルに狙いを定め、そして引き絞った後脚を離なした!


その瞬間、ボイルは悪寒を感じ横に跳んだ!


そして、シューと自分のいた所の直線上を見る。


そこには、いつもシューが寝ている木。その木の幹にシューが噛み付き、幹の3分の1を砕いていた。


それほど大きく無いにしても体を休めるほどには大きな木。


そのちょうど自分の喉元があった所の延長線上、そこにシューの歯型があった。


自分がそこに居たらと青ざめるボイル。


「……な、なぁ、もう辞めないか……、俺ももう何もしないからさ……。また肉も食わしてやるよ。」



「わかったです、もう辞めるです」


ボイルの提案を受け入れるシュー。


心の底からもうちょっかいかけるのは辞めようと思うボイルであった。





その頃からボイルは剣の腕が上がり騎士内でも上位に入っていた。


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