戦闘1
チップスの見張りで何時間か過ぎた頃、
辺りの空気が変わる。
チップスの目つきが鋭くなり手元に置いていた剣を手に取り辺りの様子を伺う。
それと同時にシューが目を覚まし辺りに向かい唸り声をあげた。
すると辺りから動物の複数の唸り声が聞こえる。
するとシューが辺りに向かって吠えだす。
チップスは寝ている2人を起こすため叫ぶ。
「おい、2人とも起きろ! 辺りに何かいるぞ‼︎」
「え、何かって…? 」
「もしかして魔物‼︎?」「え、魔物!⁉︎」
寝ぼけ眼で起き上がるボイルが、一足早く目を覚ましたしたピスの言葉に体を起こし武器となる剣を取り鞘から抜いた。
ピスも自分の杖を手に取る。
「ピス!こいつらが何なのか知りたい、この辺り一帯を照らせるか?」
チップスが口早に指示を出す。
「は、はい、大丈夫です‼︎ 目を伏せて下さい‼︎」
それ受けてピスは肯定しフードを被り右の手の平を空に向ける。
「ライト!」
呪文とともに手の平から照明弾のように光が空へと上り破裂する。
辺りに光が降り注ぎ昼間の様な明るさになる。
急な明るさに目が眩みピス以外の2人は顔をしかめ手の平で光を遮る。
目が慣れ辺りを見回すと大きな黒い犬達が目が眩みうずくまっていた。
その数ざっと20匹。
「おっちゃん、こいつらは?」とボイルが剣を構えつつチップスに質問をした
「こいつらはブラックドッグと言って、1匹1匹の強さはそれ程でも無いんだが集団で襲って来るんで面倒な奴らだ」とチップスは言った。
「全部で20匹はいるよ‼︎ どうしたらいいの⁉︎」とピスが叫ぶ。
「20匹か…、こいつらの実戦訓練にゃあもってこいか…。 よし、お前さん達でこいつらを追っ払ってみろ」とチップスは言った。
「えっ、僕達2人で⁉︎こんなにいるけど僕達で追い払えるの⁉︎」とピスが驚く。
「馬鹿野郎!、お前さん達は王宮の騎士隊と魔法隊だろ!この程度軽く蹴散らせ!」
とチップスは一喝する。
「いいじゃねえか! 戦いたくてウズウズしてた所だ‼︎ やってやろうぜ‼︎」とボイル笑みを浮かべやる気満々に叫ぶ、しかし初めての実戦に緊張のせいか震えている。
「ようし、よく言った! こいつらは集団で襲ってくがよく見ると2匹が1組で時間差で攻撃してくる、1匹目がフェイント、2匹目が本命の攻撃だ。1匹目を躱して2匹目の攻撃に注意しろ。そろそろお喋りの時間は終わりのようだ、気を引き締めろ‼︎」
とチップスが話を切り上げる。周りではライトからの目眩しから立ち直った黒い犬達が臨戦態勢に入りつつあった。
「来るぞ!」チップスが叫ぶ。
それと同時に黒い犬達は3人に向かって四方から襲いかかってきた。