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異世界転移犬のおうちに帰ろう大作戦  作者: よしもん
第1章
11/12

3日目経過

昼頃の太陽が高い位置にある時間帯、

道の右手側に大き目の川が後ろに向かって流れていて、左手側には原っぱが広がり所々木々が立っている、その間に沿うように道は続いている。


王国を出てはや3日、3人と1匹はその道をのんびりと歩いていた。


ボイルが両手を頭の後ろに組みながら呟く「あーあ、魔物も出ねーし思ったよりも楽勝だな」


ピスの方も笑いながら「本当だね、これだったら日程よりも速く着いちゃうかも」と言った。


すると後ろを歩いていたチップスが2人の言葉にツッコミを入れる

「昨日までビクついてた奴らが何言ってやがる、ボイルなんか城を出て街道にはいったあたりから剣を抜き身で構えながら歩きやがって、往来の人を切るんじゃねえかってヒヤヒヤしたわ! それに2人とも初日の夜営の時、周り見ながらブルブル震えてたじゃねーか!てか余裕があるんなら少しくらい荷物を持ってくれねえか、 俺だけこんだけ荷物があるんだからよ!シューはちゃんと持ってくれてるぞ、すこしはシューを見習え!」


見てみるとチップスは食材や調理器具の入った大きなリュックサックに肩掛けカバンを左右に掛けて持っていた。


チップスの足下を歩いているシューの体にはちっさな荷物を布で包んで背中に背負いお腹の方で括っている。

ちなみにシューの方から言い出したのである。


「初めての旅なんだからしゃーねーじゃん。それにそれっておっちゃん荷物じゃん、

俺ら関係ねーじゃん」と荷物が着替えの入った肩掛け鞄と腰に付けた剣のみのボイルが、


「そうだよ、自分の物は自分で!でしょう」

と同じく着替えと、後数冊の本の入った肩掛け鞄と杖を手に持つだけのピスが言うのを聞いたチップスは頭に四つカドを浮かべながら、


「へーこの鞄の中に入ってるのはお前さん達も食べる飯の食材なんだがなぁ、これが俺のだから持たねえって言うことはお前達は飯が要らねえという事でいいんだな⁉︎」

とキレ気味に言った。


すると2人からブーイングが起こる。


「な、なんだよそれ! 横暴だ‼︎」とボイルが、


「そうだ、そうだ!卑怯だー!」とピスが叫ぶ。


チップスの方も、

「へん、卑怯で結構! お前さん達はクソ不味い干し肉とかでも食ってればいいさ!俺とシューは俺の作った美味い飯を2人で食うからよ!」と言い、ぷいっとそっぽ向いた。


2人はブーブー言うがチップスは態度を変えない。

次第に2人はお互い顔を向き合い、溜息を吐いた。


「わかったよ、持〜ち〜ま〜す〜!、待たせていただきます‼︎」とボイルが言い、2人はチップスの持つ両方の肩掛け鞄を1つづつ持った。


「いやぁ、肩が軽くなったわ!、2人ともありがとう‼︎ ハハハハハ 」とチップスは大袈裟に肩を回して歩きながらそう言った。


後ろをにいるボイルは「あんたが言ったんだろうが」と殴りかからん勢いで腕を振り上げてるのをピスは羽交い締めで「まあ、まあ、まあ」と諫めている。


そんな感じでわいわいと歩いている。

次第に辺りは暗くなってきた。

一本の木の下でチップスから「そろそろここら辺で夜営にするぞ。ピス、飯にするから火をつけてくれ。ボイルはいつも通り見回りをだ」と2人に言った。


2人は、はーいと言って、ボイルは辺りを見回り始める。

ピスは「シュー、おいで〜」

とシューを呼ぶ声にシューは、はーいとピスの元に走ってくる。


ピスはやって来たシューの頭を撫でた後、

「また、頼むね」と言いシューに向かって手の平を向けて火の魔法を唱えた。

「ファイヤー!」

火系魔法の初歩魔法ファイヤー。

手の平から火を出すだけの簡単な魔法である。

それを受けたシューの背中が焚き火みたいにメラメラと燃え出した。

しかしシューはなんとも無しに平然としている。

ピスはシューに「大丈夫? 熱くない?」と聞くと、シューは「はい、熱くないです」と答え伏せの状態になる。


「火を付けました〜」とピスはチップスに告げると「おう、わかった」とチップスは答え、調理の準備を終えてピスのところに来た。


そして立ち止まり、目を瞑り、溜息を吐いた。


そして言った。「いつ見ても肝を冷やすなそれ。 シュー、本当に大丈夫か?」


それはそうだろう、小さな犬が火祭りになっているのに犬自身は平然としているのだから。


最初、ピスがチップスに見せた時は驚きの余り叫び声を上げ、ピスの制止を聞かず、火を消そうとしたり、それで「動物になんてことをしやがる」とピスは殴られたりで、シューの帯魔の能力、つまり魔力を体に帯びるてもダメージを受けない体だと言う事を聞いてもらうのに大変苦労した。


シューはメラメラ燃える火を背負ったまま、

「はい、大丈夫です、熱くないです」と答えた。

それを聞いたチップスは「そうか、じゃあ使わせてもらうわ」と調理を開始した。



3人が食べた後で焚き火と化しているシューにもどうにか食事をあげて、3人と1匹は食事を終えると、3人は夜の見張りの順番の確認と今後の旅の工程の確認をし、明日も早いので早々に睡眠を取ることにする3人。

見張りの順番は前半2人と後半2人に分け、前半をチップスとシューが、後半をボイルとピスが担当する事にした。



「…早速寝てるんじゃねえよシュー」

と呆れたチップスが顔にてを当てて呟く。


「途中の休憩でもしっかり寝やがって一体どれだけ寝ればきがすむんだ?」


ボイルもピスも王国を出ての旅は初めてという事で、前は冒険者をやっていたチップスも長い事離れていたのこの3日、体を慣らすためにちょくちょく休憩を挟んでいた。


シューはその休憩になるとすぐさま眠りに就き、休憩が終わるとすぐさま目を覚まし3人に付いて来る。


「なんだかんだ言ってもやっぱり犬だな」

と焚き火と化しているシューを眺めて呟く、そして木を背にして先に寝ている2人を見て

「まるで子守だな」とクックックと笑いながら呟いた。

そして先程入れておいた目覚まし用のお茶の入ったコップに口を付けた。



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