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君は風にのせられて  作者: 山神 悠
1/6

プロローグ

 ーーピピピ。ピピピ。


 部屋に目覚まし時計の音が響き、僕は手を伸ばし、ベットの側の机の上にある目覚まし時計を手探りで見つけ出し止める。それから僕の重いまぶたが開き、ベットから起き上がる。


「はぁ、もうこんな時間かぁ」

 

今日から新しい生活が始まるのと同時に、春休みが終わってしまうと考えると自然と溜息が出る。

部屋の扉を開けて、リビングに向かう。


 リビングに行くと、朝ごはんが準備されている。僕は、イスを引いて、イスに座った。


「いただきます」


 起きたばかりで、頭がぼーっとしながらも、ご飯を食べ始める。


 ご飯を食べているとキッチンにいた母さん

もイスに座って、僕と一緒にご飯を食べ始めた。


「父さんも見たかっただろうね」


「別に見なくてもいいし…」


 父さんは、仕事の都合で、海外を飛び回っている。家に帰ってくるのは、一年に数回だけだ。どうやら、今はイギリスにいるらしい。


「父さんから昨日電話があってね、高校生活楽しんで、だって」


「あっそう」


 僕は、ご飯を流し込むように食べる。


「ごちそうさまでした」


 ご飯を食べ終わると、僕は、洗面所に行き歯磨き、洗顔を済ませると、部屋に戻った。


 部屋に戻った僕は、クローゼットから真新しい制服が取り出し、鏡を見ながら着替える。


(今日からかー)


 どうしてだろ、僕は、毎年、四月になると、憂鬱になる。まるで、四月の悪魔に取り憑かれたように。今年は特に進学という新しい環境に不安を感じている。




 僕は、高校に行く準備を整えると玄関に行く。靴を履いていると母さんが玄関に来た。


「不安があるかもしれないけど、きっと大丈夫だからね!」


「ハイハイ、行ってきます」


「行ってらっしゃい!」


 笑顔で送り出す母さんを背に僕は玄関の扉を開ける。


 家の外の世界は、春の暖かい日差しが町を照らし、花の香りが町を包み込む。


 僕の横を車が通り過ぎていく。きっと、一人で歩く僕は、周りから見ると、寂しい人だ

と思われているに違いない。


僕は、昔から物静かで、友達は少ない。中学の時は部活に入らなかった。だから、中学の時もほとんど友達がいなかったから休み時間は一人でいることが多かった。


 僕は、今年、家の近くの学校に進学した。僕がこれから三年間通う学校は有名なヒーローの生みの親の母校らしいが、それ以外は特に何も無い普通の学校だ。


 学校に近づくに連れて、友達と学校へ向かう人達が増えていく。僕は、そんな中を一人歩いていく。


 正門を通ろうとした時、目の前を友達と話す女の子に僕の目が止まった。彼女の微笑む笑顔は春の野原に咲く花のようで、彼女の茶色く、長い髪が春の風に吹かれ、揺れている。


(この人、どこかで…)


 おそらく、初めて会う人だろうが、なぜだか、どこかで彼女に会った事があるような気がした。


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