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蒼星月下の怪異譚  作者: 和泉 鋏華
3/10

第二話 狐 〜釣法諜報〜

3人の一人、狐のルーパと申します〜

投稿遅い上に文才皆無ですが、暖かい目で見てほしいです(;´Д`)

「それにしてもひーちゃんも物好きだよね〜」


道すがら、五十葉はそう切り出した。


「どういう事ですか?」

「だって、拷問なんか私に任せてくれればすぐに終わっちゃうのにさ、ふぁぁ〜。わざわざ自分でやってるんだもん」


確かに精神に干渉する彼女の能力は、苦痛と快楽。飴と鞭を与える事には特化していると言っても過言では無い。しかし


「あの人は拷問と言うよりも、『情報を得る事』が好きなんですよ」

 

正確には情報を「糧にしている」と言うべきなのだが。

 

「ふーん、良くわかんないや。」


そんな事を話していると、いつの間にかヒガンが隣にいた。


「あ、おかえり〜ひーちゃん」

「お疲れ様です」

「ただいま戻ったよぉ」


そう言うヒガンの顔は、なんとなく憮然としていた。


「あれぇ、大した情報も持ってないどころか拷問の序盤で死にやがったよぉ…」


あまり面白くない結果だったようである

と、そこで五十葉は道端の木の枝に留まる一匹の白い小鳥に目を向ける。

 

「…ん?誰か見てるの?」

 

もちろん辺りには人間は居ない。が、それは『近くに居ない』というだけである。小動物を用いて視覚情報を入手する術式など、ある程度の術者であれば無理難題ではない。しかし、対象はあくまでもただの小動物でしか無い。気付けという方が無理な話なのだが…

しかして、二人が首を傾げると五十葉は小鳥に指先を向け、

 

「精神接続『混濁塔こんだくとう』」

 

と、静かに唱えた。

「精神接続」の文言が表すとおり、これは術者を視認している対象の視覚、聴覚情報を強制的に共有させるというものであるーーー

 

場所は変わり、『繚乱府』中枢の「仁賀奈城」

ちなみに『繚乱府』とは、彼らの旅する国を実質支配する幕府である。

その城で目を瞑り、ブツブツと何事か唱えていたものが、ふと目を開き、近くで胡座をかく、全身真っ赤で異様に華美な洋装を纏うものに話しかける。

 

「鳳雛様、例の行列ですが…消滅いたしました。」

「消滅?全滅では無くて、か?」

「ええ。死体一つ残らず、文字通り『消滅』…いえ、本人だった肉塊は一応残っているようですが…」

「フン。やはり、『あの三人』か?」

「恐らくは…」

「恐らく?えらく不確定な物言いだな?」

「ただいま直接確認出来たのは『閃首忘影』のみでして。『幽幻執行』や『百花龍嵐』は…いや、たった今残り2名も確認いたしました。どうやら、間違いないようです。」

「そうか。」


鳳雛と呼ばれた男は、実に自然な動作で腰に差した刀を振るった。

現代であれば「フランベルジェ」と呼ばれるような、炎の如く歪な形のその刀は、狙い違わず報告する男の命を刈り取った。

 

朱色が散る。

 

信じられないと言った顔で事切れる男の亡骸に鳳雛は

 

「『幽幻執行』まで視認したとあれば、お前は十中八九奴の『目』となっているだろう…まあ、代わりは用意してやる。」

 

既に聞こえない耳に今更の如く吐き捨てる。

 

「…もう少しか?まあ、今すぐではなくていいだろう。」

 

その言葉は朱に染まる畳に吸い込まれて、誰にも届く事は無かった。

物語は少しづつ、着々と着実に、廻り始めます。

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