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蒼星月下の怪異譚  作者: 和泉 鋏華
2/10

第一話 蛇 ~旅人出発~

こんにちは!蛇担当の茶鶏と申します♪前回の投稿から少し間が空いてしまい申し訳ございません!以後気をつけます!

「よし…綺麗に片付いた」

 

 そう呟く彼の辺りには先程までの戦闘とも言えない蹂躙によって臓物や鮮血が散らばっている───なんて事は無くただ鎧や刀が散乱しているだけだった。

 

「くーちゃん、お疲れ様~」

「はい、お疲れ様です」

 

 そう言って声を掛けてきたのは旅仲間である 邪答院けいとういん  五十葉ことはさんだ。五十葉さんは、真っ黒な服装に腰まで伸びた長い紫色の髪、そして最大の特徴は頭の上でピョコピョコと動く“狐の耳”だろう。彼女はただの“蛇”から妖怪を喰らい成り上がった自分とは違い生まれながらに力のある狐“妖狐”であり、名のある一族だったらしいが…あまり詳しくは聞いた事はない。

 

「それにしてもよく思うけどさ、くーちゃんって本当にゴミ掃除得意だよね~」

 

 彼女が言うゴミ掃除とは、死体の処理の事だろう。私達の周りに落ちている鎧の持ち主達は全員仲良く地中に埋めておいた。

 

「自分で散らかした 死体ゴミは自分で 処理そうじをする。当たり前の行動ですよ。それに…」

「それに?」

 

 私は他のニ人と違い人を殺すのは好きでは無いが、悪人なら話は別。人の頭を踏む?ワンアウト、人妻や年若い娘を無理矢理連れて行く?ツーアウト、それを止めようとした男を斬り捨てる?スリーアウト、 抹殺対象くそやろうに認定だ。

 

「あんな醜いモノ、掃除して当然の事ですよ♪」

  

 五十葉さんに言葉を返し、もう一人の旅仲間を探すが、辺りには見当たらない。

 

「あ、くーちゃんなら偉そうな人を連れてどこかへ行ったよ~」

「なるほど…それもそうでしたね」

 

 あの人はどんな手を使っても情報を得ようとする重度の“知りたがり”である。今もどこかであの鼠のような出っ歯と膨らんだ腹が特長的な大名から情報を文字通り絞り取っているのだろう。

 

「あと『先に出発しててすぐ追い着くから』だって」

「?……なんで出発」

 

 するの?と言いかけて気づく“目”だ。先程まで平伏し屈辱に耐え、非人道的な行いに怒りで肩を振るわせていた人々が、今こちらに恐怖を宿した目を向け固まっている。

 

(まぁ……こうなるよね)

 

 自分の絶対的強者が呆気なく全滅したのだ。それも人間では無い不気味な存在によって。

 

「逃げないの?」

 

 私がそう優しく微笑みながら聞くと、顔を青ざめ蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

 

「私の笑顔はそんなに怖いのか…」

「……口元が原因じゃない?」

 

 口元が原因?と思いながら頬に手を当てるとその意味を理解する。そりゃあ逃げ出しますよね。耳元から三日月のように裂けた口でニッコリと微笑まれれば誰でも怖いよねぇ!?

 

「…結構怒ってた?」

「えっ…まぁ…それなりに…」


 これは嘘。本当は滅茶苦茶怒っていた。そして感情が荒ぶったせいで“化け”る事を少し忘れ、蛇としての特徴が表れてしまったようだ。

   

「…それはさておき、五十葉さん?」

「ふぁぁ……何?」


 彼女は眠そうに口に手を当て欠伸をしながら聞き返してきた。

 

「この後はヒガンさんの言うとおり此処を発ちましょう。ですがその前に…」

「その前に?」

 

 足下に転がる今は誰の物でも無い物を見て。

 

「…散乱している小判を拾ってから行きましょうか」

「…分かった」

 

 二人で小判を拾い終わり村を出る頃には空は赤く染まっていた。 

さてさてこの旅の次なる場所はなんでしょう?


10/26 数カ所修正

10/28 読み追加

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