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蒼星月下の怪異譚  作者: 和泉 鋏華
10/10

閑話〜謎時空なぞ字喰う〜

残暑見舞い申し上げます。帽子屋黒兎です。みなさまお久しぶりでございます。構成メンバーの一部が受験生だったりする関係で長らく時間が空いておりますが、閑話です。

「夏だ!」

「海だ!」

「「海水浴だ!」」

「待ってください、私たち、この村に着いたの割と遅くでしたよね! どーなってるんですか時間軸! 真昼間じゃないですか!」

「ちっちゃいこと気にしててもバストは大きくならないぜぇ? マイシスター?」

「五十葉さん?男ですからね?」

「白ビキニとかきてる時点で色々手遅れだと思う」

「やめてください。私が今着てるのは確かに水着ですがちゃんと海パンですからね!?」

場所は九十九村謎時空。どこにもなかったはずの休憩時間で、わたしたちは船の残骸のない浜で海水浴と洒落込んでいた。

「まったく、だいたいここって漁村ですよ?いつこの浜に船が来るかわからないじゃないですか」

「あー、いや、それはないと思うぜ?」

はぐはぐの言葉に反応したのは、浜に屋台を出してるおじさんだ。

「どういうことですか?」

「おっとぉ、タダってわけにゃあな?」

そう言いながらおじさんはかけられた何枚かの木の板を指差す。わたしとことはは波打ち際できゃいきゃいはしゃいでいる。

「……やきそばを、みっつで」

「まいどあり。ほら、異国の難破船があるだろ?」

「ええ、誠旗のではないかと思いますが」

「お、博識だねえお嬢さん。そう、誠旗の船だ。あそこの船はたまーにだが、そのままこぼすと海を害するものを積んでたりするんだ。まぁ、浜なら影響も薄いだろうって浜釣りしてる奴はいるが、船での漁はお上に禁止されたんだ、ま、あと二、三日の辛抱だろ」

「なるほど、重油なんかのことですかね」

「ほんと博識だな、学者センセがそう言ってたよ」

話をしている間も手を止めずにやきそばを作り上げたところで、わたしははぐはぐの手からそのやきそばを奪い取る!ついでにことはも奪い取る!

「あっ、こら!二人とも!すいません、お題もまだなのに」

「気にしなさんな、それにしても、はっはー、元気いいね、嬢ちゃんたち、何かい「い、言わせませんよ!おじさん!存在抹消されたいんですか!?」」

あ、危なかったー。はぐはぐが反応してなかったらあのおじさん、世界的謎の力で消されるところだったよ。と思いつつわたしはやきそばを食べる。あ、ほらことはー、今は腕とか脚とかむき出しだから落とさないようにねー?

「はーい」

あ、はぐはぐがこっち向いた。手を振っておこう。だめだ、こっち来た。

「……二人とも、私に何かしましたか?しましたよね?あのおじさん、頑なに私の二人称を『嬢ちゃん』から変更しないんですけど」

あー目がすわってる。こりゃ白状するしかないか。

「くーちゃんの水着にちょっと細工したんだー♪」

「まず、ことはの幻術でその海パンを履いてる間ははぐはぐは白ビキニを着た女の人に見えます」

「でねー、ひーちゃんの情報操作で手触りを再現してます。つまり、くーちゃんが男なのはその海パンを履いてる間はぜーったいにばれません!」

開き直って二人でドヤ顔をしてやる!ドヤァ……

「二人して何遊んでるんですか、しかも私で……まだどこかに私たちの助けを待ってる人がいるかもしれないのに……」

「くーちゃん、人はね、一人でかっ「言わせませんからね!ゼッタイ!」」

あ、おっちゃんがことはにサムズアップしてる、アロハシャツ着て。

「それにねー、女性の水着姿を褒めないヤツは男の風上にも置けないからそいつは女なんだって、水着屋のおばさんが言ってた」

「あー、いってたねー。じゃぁ確かにはぐはぐは女の子だ。いっそこのまま女の子になる?」

「嫌ですよ、まぁ、そこは私の落ち度だと思いますけど。二人とも紺のスクール水着じゃ……」

「「改造しました(してもらいました)が?」」

「そうですね、なんか、言葉さんのはワンピースみたいになってますし、ヒガンさんのは、バニースーツみたいになってますね。よくお似合いなので気付きませんでしたよ」

(……ぐ……だよ……)

「どう思います?ひーちゃんさん」

「そうですねーことはさん、まぁ、褒めてくれたんですし、海パンを脱いだら戻るのは許しましょうか」

(お……だ……い……は)

「それ、水着の間は女性でいろってことですか」

はぐはぐは諦めたようにため息をついた。


「くーちゃーん! あーさーでーすーよー!」

「はっ!ここは……」

「船の上だよ、はぐはぐ。いくらなんでもあさによわすぎるんじゃない?」

あ、ホッとしたみたいに息をついた。

「すいません。性分なもんですから」

ま、蛇だからね〜。

「あ、そうだ、はぐはぐ、まだ焼きそば食べてなかったよね。はい」

「あ、ありがとうございま……す……!?」

ふっふっふー、混乱してる混乱してる。

さて、どこからが夢でどこまでが本当でしょーか?

というわけで水着回でした。いいですよねー、私は海どころか水場は風呂くらいにしか行ってないんですけど、この夏の間。

それでは皆様、暦の上では秋となりますが、夏の忘れ物が割と甚大に残っています。今後も方々で天候も崩れると思いますが、命大事に。

個人的には麦茶に砂糖と塩を混ぜたものが屋外活動にはいいと思います。これを美味しいと行った奴は是非ともさっさと休ませてください。熱中症九歩手前くらいかもしれないので。

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