呼び声
かなり頑張りました。
私の目には、全てがつまらなく映っていた。
「つまらない。」
教室の喧騒も、テレビのニュースも、街のトレンドもとうに飽きていた。いや、飽きがくる程の執着は無く、只、人の好きな物に興味を示せなかっただけだ。
人は私を異端と言った。
私は食べ物を美味しいと感じる事はなかったし、絵画を見ても、色がそこに置いてある、という風にしか受け取れなかった
「つまらない物をつまらないと言って何が悪いのか」
「何故楽しい物を私にも教えてくれないのか」
「面白いと思うのならそっち側の世界を教えてくればいいのに。」
と、長い事そう思っていた。
然し、本当に何も感じない。こうなると本当に人の子なのかと疑問が湧いてくるほどに。
ジュクジュクとこの世界に対しての嫌悪感が出て来る。
『嗚呼、この世界は本当につまらないな。』
………こんな事をずっと朝のホームルームから考えている。
人から共感を得られないと生きていけない生物とはよく言ったものだ。私は人から共感なんてものされた事がない、故に性格がねじ曲がってしまった。
チャイムの音が鳴り終る。一気に現実へ連れ戻された。
考えに耽っている間にもう二時間目が終わっていた。次の授業は理科。理科室での実験なので早めに移動しなければならないが、周りを見渡すともう殆どの人が理科室へ行っているようだ。
読みかけの小説と理科のノートを用意して、立ち上がろうと力を入れる。
ふと周りを見ると、教室で騒いでいた男子達が居なくなっていた。廊下にも、誰一人として居なかった。
本能的に危ない予感がする。それと同時に
「「「君はこの世界に飽いているのかい?」」」
声が聞こえた。はっきりとした声、そして鼓膜を響かす重く暗い声で。その声は一つではなく複数だ。
何か行動をしなければならないと思った。だが体が硬直してしまって動けない。
「「「それならばこっち(こっち!)へおいでよ、つまらない(つまらない?世界を捨てる(捨てるんだ」」」
さっきよりも声が壊れたラジオの様に歪んでいる。
つまらない世界だとは言ったが他の世界に行きたいと言った覚えはない。
酷く目眩がする。
ふらり、と足元が歪む。いや、本当に歪んでいるのか?
もうその区別さえ付かない程に、酷かった。
がん!と机と私がぶつかって音が鳴る。
痛みは感じない。
あ、 と思った瞬間には床に全身を打ち付けて、
最後に見た光景は掃除のあまりされていない薄茶色の教室の床だった。
☆
目を覚ますと、奇怪な風景が広がっていた。
1000文字も書いたの初めてです。