表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死への旅立ち  作者: 緋鏡
2/2

 手を取って歩き出し数時間が経った。

 電車を乗り継ぎ、都内から離れ、着いた場所は海のよく見える駅だった。

 ところどころがさびれて静まり返るホームをアナタが歩く。

「どこに行くんですか?」

「旅は道連れ、世は情けって言うじゃない♪」

「使い方違うと思いますが?」

 知ーらないと子供のように言ってまた歩きだしてしまった。

 歩き出した時はまだ市内だったのだが進に連れて山に入り、波の音が大きくなってくる。


「ここだよ」

 着いた場所は木も何もない崖っぷちの名前がよく似合う所だった。

「何故ここに?」

 問いかけても構わず崖の先端に歩いて行く

「子供の頃、まだ私が病気じゃなかった頃にね…お兄ちゃんと一緒に見つけたんだ」

 先端五メートルほど前の所で振り返りこうも言う。


「そして私の死に場所になるんだよ?」


「僕には死ぬなと言っておきながら自分は死ぬんですか?」

「そうだよ?だって君はまだ先がある。でも私はこのまま生きても先はない。ならいつ死のうとも変わらないじゃない?」

 自虐する笑みを浮かべこちらに返してくる。こちらがどうすることも出来ないのを知りながら。

「自殺する人は誰かに止めてもらいたいらしいですが。アナタが僕を連れて来たのはそれが理由ですか?」

「さぁ?でも近くにいたのが君なのは確かだよ?」

「なら僕はアナタを止めるべき何でしょうね…」

「君の好きにしたら?私は死に際を誰かに見てほしかっただけだから」

 なる程と勝手に納得してしばし考え込む僕。相変わらず自虐な笑みを浮かべるアナタ。

「分かりました。死ぬのはアナタに任せます。でもアナタが死ぬなら僕はそれより先に死にます」

 その言葉に何故か衝撃を受けて動揺するアナタ。対する僕は清々しいほどの笑みを浮かべている。

「ダメ!死ぬのはダメ!」

「自分で死ぬって言ってた人が言わないでください」

「だって…そう!死ぬのは恐いよ!?痛いし、冷たいし、寂しいし」

「そんなの一瞬でしょう。その位我慢しますよ」

 可笑しな展開なのは自分で分かっている。止めるはずの自分が死ぬといい。死ぬはずのアナタが止めようとする。

 だがそんなあべこべな感じが面白くてつい笑ってしまう。

「人が説得しようとしてるのに何笑ってるのよ」

 睨む瞳が怖いので笑みは控える。それを確認したアナタは胸をなでおろし、再度こちらを見る。

「第一何で私が君の死に際を見なくちゃいけないの」

「そっくりそのままお返しします」

 あの頃の君は可愛かったのに…と遠い目をされても何も反応しない。只、歩きだしてみる。アナタの下へ。


 着くのを待っていたのか、そばに着いたとたんこんな言葉を掛けてくる。

「で?死ぬのは諦めてくれた?」

 いいえその前にやってみたい事があって…言い終わる前にアナタを胸の中に収める。僕の喉よりも下にある頭を腕で抱えて抱き心地を味わう。

「君は毎回唐突にするね?こっちの事情は考えてもくれないの?」

 顔を仄かに赤くして抗議するのを僕は嬉しく見ている。

「これで思い残す事は無いです。サヨウナラ…」

 アナタが言葉を認識するより前に僕は蒼く澄んだ海に落ちていった。


 誰かが僕を呼んでいる。

 死んだ僕を呼ぶんだからやはり三途の川というのはあるのだろう。

 先ほどよりも呼ぶ声が強くなる。

 誰だろうと思った所で自分は目を瞑っていたのを知る。

 声を出そうとしたとき喉に何か詰まっているのを感じる。

 息をしようとしたとき呼吸をしていない事に気づく。

 色々思い出してから目を開け、詰まっている物を吐き出し、呼吸をする。

「ようやく起きた…」

 何故か全身濡れたアナタが僕のそばに座っている。地面の感触が土ではなく砂と感じ。太陽の位置があまりヅレていないみたいなので時間は経っていないのを知る。

「――何で先に死のうとするの!あれほど死んじゃダメって言ったのに!」

 泣いているのか目から透明な物が溢れ出る。

 逆に聞きたい、何故死なせてくれないのか…

「ごめんなさい」

 だがアナタの泣き顔を見たらそんな事言えなくなり、結局謝ってしまう。

「もう死なないって約束して?」

 顔を見せたくないのか上を向いてそんな事を言う。

 否定する事なんて出来ず頷く。

 その後近くのコインランドリーで服を乾かし病院に戻った。


 病院に着くやいなや唯さんは親に泣かれ、後に僕と一緒に主治医の先生に怒られることとなった。

 そして僕と唯さんが合う時は監視と称したサボリの病院関係者の人が着く事になった。

 それでも僕と唯さんの仲は変わらずに過ぎていった。


 それから数ヶ月たった冬、唯さんは息を引き取った。

 死に顔が美しかった。


 あれから数年僕は変わらずに生きている。

 今でも生きる理由は見つからない。でも死ぬつもりはなくなった。

 今の僕を見たら唯さんが何て言うかは分からない。でも、僕はアナタに出逢えて良かったと思える


これだけしか無いのに連載にしてすみません。あとがき書くの下手ですみません。もう色々と生きててすみません…何て事は言いませんけど、あとがきってどんな事書けば良いんでしょうか?書かなきゃ良いだけなんですが、誰か教えてくれる優しい人がいたら教えてください。お願いします。そんなこんなの緋鏡でした〜

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ