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第一話:旅立ち

「何故自分はこんなところにいるんだろう?」


どうもここへ至る経緯が思い出せない…

深い眠りから目覚めた後のような感覚だ。


辺りを見渡してみると古い遺跡のような造りで、

自分が居る場所には魔方陣のようなものが描かれていた。


「なにこれ怖い…」


記憶がない上に得体の知れない場所にいるという事に恐怖した。


何かの実験か?それとも拉致られたか?


思い出せ…家で飯を食べた後、確かどこかへ出かけるところで……これ以上は思い出せない。


不安感半端ないが、ここでじっとしていても始まらない。


自分がどのような状況なのか知らなければ…


「ふぅ~………冷静になれ…とりあえず状況を知る必要があるな。」


現状を把握すべく、慎重に行動しながら探索を開始することにする。




探索開始からおよそ30分あたりが経過しただろうか。

この遺跡は随分前から廃れた場所のようで人が出入りしているようには感じなかった。



遺跡の外は森が生い茂り、妙に静かだ。



いつまでも遺跡にいるわけにもいかないので、

不安を感じつつも遺跡の外へ踏み出してみる。



するとどこからともなく小さい人の形をした妖精?がやってきて、それと同時に脳に直接語りかけてくるような声が聞こえてきた。



『Hey!そこの人間!出てくるのが遅いよ!』



「おわぁ!!」



突然の出来事に腰を抜かしてしまい、座りこんでしまった。



『なさけないな~、こんなやつに仲間を救ってもらう力なんてあるのかな~』



仲間を救う?一体何を言っているんだ?それになんだこの生き物は?



「そこの妖精!なんだか事情を知っているようだが自分にも分かるように説明してくれ!」



『そこの妖精とは無礼だな、僕にはゼロという名が神から与えられている。』



『まぁ簡単に説明すると、君は神様から使わされた

特殊な能力を授かった人間で、捕えられている僕達の仲間を救ってもらう為に呼び出された存在なんだよ』



仲間救ってもらう前提で話進められてるのにイラッとくるが、ここで目くじらを立ててもしょうがない。



「すまないゼロ。自分は神様から使わされたっていうけど、この遺跡にくるまでの間の記憶が無いんだ。神様に色々聞きたいことがあるから会う事はできるだろうか?」



『それは無理だね~、こっちから神様とコンタクトはとれないし、神様からも滅多にこちらに干渉してくることもないからね。』



『ただ、人間に目が覚めたら伝えるように言われて

る事があるんだ。』



「なんだ?」



『各地に捕えられている精霊を解放し、

魔王の力を封じし時、汝に記憶を返し、

我の元へ至ることを許す。』



…とりあえず言う通りにしないことには始まらないか。

精霊解放とか魔王討伐とかお前がやれと言いたいとこだが、言っていても仕方がない。



「よし、じゃあゼロの仲間達を救いに行くとしよう。」



『話が早くて助かる。聞いていなかったけど君の名前はなんていうのかい?』



「名前も思い出せないんだよなぁ…」



『じゃあ君の名前は召喚されたってことでサモンね。』



「安直だな…まぁいいか。」



『さぁ、ぐずぐずしてないで行くよ!』



「その前に一ついいかな?」


『?』



「立ち上がれないからもう少し待って…」


『…』





あれから時が立ち、森を進んでいる間にこの世界についてゼロに色々聞いてみた。



いくつか要点をまとめると、この世界は自分が元々いた地球という世界ではなく、剣や魔法などのよくあるファンタジーのような世界で、名をマナアースというそうだ。



魔族率いる魔王側と人間側で対立していて、魔王側が現在攻勢のようだが一部の勇者などにより押し止めているようだ。



勇者が複数いるということに、自分の知っているファンタジー作品では珍しい部類だな。と思いつつも、神様から授かった特殊な能力についても聞いてみた。



自分の能力は精霊の力を引き上げ、自身もその精霊の力を宿すことができるということだが、詳しい事は分からないらしい。



ゼロは無を司る精霊で、魔王に捕えられた精霊達がいない分世界のマナが減っていて、力が十分に発揮できないようで妖精の姿なのだという。



『そろそろ森を抜けるよ。森を抜けたら結界の外に出るからちゃんとしてよね。』



「その前に自分の能力について試しておきたい。」



『それもそうだね。じゃあまずは僕と契約してその力を魅せてもらおうかな。』



契約と聞くと思わず身構えてしまうな。



「契約というけどどんな事を契約したりするの?」



『ただ契約した精霊の力を行使することを許可するってだけだよ』



『精霊によっては対価を要求したりもするけど、

僕は仲間を救ってもらえるんならそれだけでいいから特にないよ。』



少し抵抗はあるが、能力を使う為には契約せざるを得ないか。



「じゃ契約頼むよ。」




『汝、我と契約せし足りえる者、名をサモン、汝を我の契約者として認める。』



すると左手が光だし、甲の部分に紋章のようなものが刻まれた。



『これで契約完了…って何この力!』



「どうかしたの?」



『僕の力がかなり底上げされているような感じがある。これがサモンの能力の一つか、ここまでとは思わなかったよ。』



どうやら精霊の力を引き上げるというのは本当のようだ。

では精霊の力を宿す事もできそうだ。



「ゼロ、自分に精霊の力を宿すことはできるか?」



『僕がサモンの身体、細かく言うと器に入ればできると思う。』



「身体に入るって、大丈夫なのか。」



『僕ら精霊は実体を持たないから身体に入ることは難しくない。』



「じゃ、ゆっくりお願い。」



そう聞くや否やあっというまに自分の身体の中へゼロは入っていった。



「ばっ!お前、ゆっくりっつっただろが!」



『まぁまぁ、なんともないでしょ?』



なんともなくはないが、自分の内から凄い力を感じる。



これで自分は何ができるんだろうか?



『僕の精霊の力を使うことができると思うよ。』



!?…なんで思った事が分かるんだよ。



『それは身体を共有してるようなものだから考えてることも分かるのさ。』



思った事が筒抜けとか嫌だな…



『僕は気にしないよ』



こっちが気にするわ!



必要な時以外は精霊を宿すのは控えておこう…



とりあえず、ゼロはどんな力が使えるの?



『僕は無の精霊だからそれに関連するような事なら大抵は使えるけど、力が引き上げられているとはいえ、本来の力は発揮できないから大層な力は発揮できないね。』



例えば音を消すとか、対象を消すとか?



『音を消すくらいならできるけど、対象を消すとかはその対象が自分より弱いとかじゃないとできないね。』



ふむ、色々試すことが必要だな。



しばらく能力の検証をして森を出ることにした。





森を抜けるとそこは寺のような場所で、後ろには祠のようなものがあるだけで森なんてなかった。



「あれ?今来た森はどこに消えたんだ?」



『僕らがいままで居た場所は精霊結界の中で、

その出入り口がこの祠なんだ。』



「へぇ~、またいままで居た場所に戻りたい時とかは戻れるのか。」



『戻れるけど何もない場所だから戻ることもないだろうけどね。あと、精霊結界に入るには通常、精霊の力がないと入れないから君だけだと入れないよ。』



「なるほど、だから基本結界の中は安全なんだね。」



「ぐぅ~~」


お腹空いてきたからそろそろ飯が食べたいな…

村が近くに見えるからそこで何か食べるものあればいいな。



「腹が減ってきたから近くの村に行きたいんだけどいいかな?」



『そういえば人間は食事しないと生きていけないんだったね。別に構わないよ。』



始めてこの世界の人に接触することになるかもしれないから、まずは能力使ってどんな村か偵察するか。



「ゼロ、まずこの世界の事とか詳しく知らないし慎重に越したことはないと思うんだ。

だから能力を使って偵察したいから力を貸してくれ。」



『いいよ。君の能力なら僕はただサモンの身体に入っているだけでいいし楽だしね。』



そしてゼロはサモンの身体に入っていった。



何度か試したが力が溢れてくる感じが凄いな。



『それはそうだよ。力が減っているとはいえ精霊の力を宿しているわけだからね。』



とりあえず無の精霊の力で、

人に認識されないような力を使っていれば

問題ないだろう。



こうしてサモンは村に向かった。

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