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繋がり

作者: 小宮 眞羽

今日もメールの受信を見る。

また連絡ないのかと、そっと閉じる。

彼と連絡が取れなくなって一週間目の昼。

空は秋晴れ。気持ちは曇り。


「今日も、か」


つい出た言葉の冷たさに、自嘲がもれる。

事情を知っていながら毎日確認してしまう自分に、呆れすら覚える。


「携帯代払えなかったら仕方ないっての」


待つしかない事実が余計に苛立つ。

何もしてあげられない、何も言ってあげられない。

遠距離恋愛で一番の繋がりは連絡だと思う。

なかなか会えないから、お互いの事を話す手段というのは大事だと思う。

自分の携帯をベッドに投げ、気分転換にホットコーヒーを淹れよう。


「あ、」


キッチンに向かい、インスタントコーヒーの袋を覗いて気づいた。

この前、イライラのあまり全部使い切っていたのだ。

なんで忘れてたんだろう、いつもは絶やさず買っていたというのに。

一週間前までは忘れるなんてことなかったのに。


「嫌だな、あの日で止まってるみたい」


日常はいつも通り流れていたはずなのに自分の中の時計だけ止まっていた。

こみ上げるものを抑えるために、冷蔵庫へ飛びつき買い置きの緑茶を一気飲みした。

冷たい緑茶が喉を締めつけ、咳が出る。

頬を伝う涙は咳のせいだ。


「さびしい」


さびしい、寂しい、寂しい。

言葉に出てしまった。

我慢してきたのに言葉にしてしまった。

もう止められない。寂しい。

大人気なく声を出して泣いた。

みっともない姿なんて、彼に見せられるわけ無い。

今、吐き出してしまわないとバレたらオシマイだ。


「こんな電波の繋がりなんて、嫌よ」


私は届かないであろう彼にメールを打った。

別れを告げる言葉をのせて。

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