第8話 無茶苦茶な論理が武器に通用する時Ⅱ
「生産偏ダヨ!」
今日は休日なので、昼食を済ませた後、『リンカーズ』をセットし、潜行開始する。
「さて、と…」
此処数日は戦闘スキルを鍛えていたが、そろそろ新たな武器を作りたいという衝動に駆られ、生産職の方に目を向けてみる。
現在フィーネが取得しているスキルは『鍛冶術』Lv1『調薬術』Lv1『細工術』Lv1の三つ。
早速宿屋を出たフィーネは初心者用携帯炉をと数種の金属鉱を購入すると、『鍛冶工房タンレン』で軽くチュートリアルを受け鍛冶セットを入手した後に工房部屋を三時間単位単位でレンタルをした。
「さて、いよいよだな」
フィーネは先ず、銅鉱石を木炭を入れ赤々と熱した炉に入れ、鍛える。
素早く、そして丹念に何度も折り返し鍛えていく。
こうする事によって不純物が取り除かれたインゴットは、普通にインゴットへと成形させるよりも高純度の金属のインゴットになる。
日本刀の刀鍛冶の技術を見事に取り入れ応用させた手法であった。
カンカンと叩いて行く内に不純物が取り除かれ、きぃんきぃんと澄んだ音に変化し、それを冷ますとひとつのインゴットが出来上がる。
ブロンズインゴット 最高品質 評価10
丹念に、折り返し鍛えた事により品質が向上した銅のインゴット。
「C以来だったけど腕は衰えていないな」
これを何度か繰り返し、Lv10となった所で鉄鉱石に切り替えて鍛える。
「そろそろ時間だ」
時間を忘れて最高品質のインゴットを量産していた時にNPCのガンテツ親方から声が掛った。
「もうこんな時間か…そうだ親方」
「何だ?」
「初めての成果を見せたいんですけど…」
「そんな所か。 じゃ見せてみろ」
一旦インベントリに収納したブロンズとアイアンのインゴットをひとつずつ渡す。
「……馬鹿な…お前、本当に初心者なのか!?」
「或る意味…かな? と言うよりこの事は他言無用にしてください…」
「お前程の天才を、そう易々と赤の他人に教えてやるる物か! そうだ、後で此処に来い! お前の腕に会ったもんを揃えてやる!」
「え…あ、はい。 有難うございます!」
「よし、では今夜にでも工房の方に一度顔出してくれ」
「解りました。 では」
鍛冶工房を後にしたフィーネは、今度は『ドラッグストア・ナイチンゲール』へと赴いていた。
「じゃあ時間になったら一度声を掛けに来るわ、それまで自由に調剤してなさいな」
と鍛冶工房の件と同じ様にチュートリアルを受けた後、此処でも高品質のポーションを量産していた。
後は、街道で入手した火薬草を乾燥させて、粉末状にした後、木炭とモンスターのフンを調合し出来上がった物を見てみる。
黒色火薬 低品質 評価1
色々な爆発物を作る上で必要不可欠な粉末火薬、そのままでは使用不可。
(駄目だな。 こういう物は『錬金術』と合わせて使用した方が良いな)
などと考えながら今度は乾燥ポムーボの実・トックスの果実水・みずがねを合わせて調合してみる事にした。
雷管 低品質 評価1
爆発物の起爆剤として使用する、このままでは使用不可。
「んー、これも『錬金術』の類で作成した方が良いな。 ExPが入ったら『錬金術』と『合成術』を取ろう」
時間が余ったが此処で他にする事は無い。
このまま『細工術』の工房に再び篭り、その後宿屋で浮上開始して昼の作業を終えた。
夕食を終え、ひとっ風呂浴びた小雪は再度潜行開始し、最初に訪れた『鍛冶工房』に再び足を運んでいた。
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