第5話 その後の展開
「私は節度あるリア充です」
「有難うございます!」
「いやいや、別に」
巫女装束の女性PPCは丁寧にお辞儀をする。
「あー…すまんな? 新規だから解らなかっただろうけどあいつ等『案山子』ってβ時代でも有名な極悪集団だったから。 同じテスターとして嘆かわしいってか恥ずかしいわ」
「そ、そうだったんですか…」
先程出くわしてしまった彼等の様なPCを思い出したのか、女性PPCは顔を暗くしてしまう。
「まぁ何はともあれ、同じ不遇ジョブとして助けずにはいられなかったってのもあるけどな」
「…え!?」
どうして解ったの、と言いたそうに眼を見開いて驚いた。
「腰にあるの、『式符』の入れ物でしょ? だから貴女は『式札操師』だって思ったのさ」
実力もさる事ながら、女性PPCはフィーネの観察力に驚いていた。
ただえさえ人口の少ない『札使い』系は、発見するのはそう容易ではない。
それでも目の前の少女?は自分のジョブを言い当てられたのだ。
しかもその少女?は『札操師』では無い。
動揺など隠せる筈も無く、女性PPCの思考はぐっっちゃぐちゃにこんがらがっていた。
「んん…。 あ、僕は“フィーネ”。 しがない『銃術士』さ」
「…あ、わ…私は“伊予”と、申しますっ。…あ、あの……」
「良いよ?」
「――へ?」
「フレンド登録。 あ、もしかして街案内だった?」
くすくす、と悪戯っぽく笑う。
「良い…の?」
「伊予はしたくないの?」
「フィーネさんは意地悪です」
「フィーネでいいよ。 もうお互い知らない仲って訳じゃないもん」
「じゃあ…フィーネちゃん、フレンド登録…お願いします!」
内心、良い子だなーと思いながら伊予に送る。
「あ、有難うございます…ってフィーネちゃん、男!?」
ステータスを確認して本日何度目かの驚き。
「あー…それは種族のせいだと思いたい」
フィーネは半ば諦めた様な口調で言葉を濁した。
実際フィーネの姿は中学生くらいの少女の様な、可愛い容姿である。
幼い顔立ち、赤ん坊の様に柔らかな肌。
しかし、凛とした魅力のある大人の女性という、女性専用の装備ときたら何処からどう見ても幾ら本人が男性と言った所で信じては貰えない。
寧ろ、信じろと言う方が度台無理な話である。
「その……か、可愛いは正義だと…お、思います!」
寧ろ貴女の方が、と言える筈も無い。
「と、取敢えず…βで新たに追加されたり修正されたりしてると思うから一緒に見て回ろっか」
最早この連鎖からは逃れられないと悟ったフィーネは伊予と共に一緒に始まりの街・【ファルシオン】を見て回るのであった。
勿論、彼女の要望通り手を繋いで。
また何か在りましたら削除&修正していきます。