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第12話 無茶苦茶な論理が武器に通用する時Ⅵ

「生産偏、ぱーとしっくす」

 潜航開始ログインしたフィーネは宿屋をチェックすると『ブローニング』という『銃術士ガンナー』の女性PPCが宿屋の前に立っていた。


 「もしかして姉ちゃん?」


 「こゆっきん? やっほー、お姉ちゃんだよ☆」


 「キモい。 というかR.N.(リアルネーム)はマナー違反だけど?」


 「う…。 ま、まぁそれはそれとして昨日はどこに他の? 全然見当たらなかったんだけど」


 「工房に籠ってた。 それは兎も角フレンド交換」


 「おっけー」


 軽くフレンド登録をすると、ウイスパーを起動させる。


 『もしもし、ニケ? 用事が終わったから『和み亭』に来てくれないか?』


 『おう、丁度潜航開始ログインしたから少し待っててくれ』


 「お待たせ」


 『和み亭』から例の鞭剣使いであるニケがひょっこりと顔を出した。


 「じゃあ役者も揃った事だし移動ししよっか」


 「というか説明求む」


 ブローニングが、いまいちニケが気に入らないのか膨れっ面である。


 「新見(にい)だよ」


 「どうも」


 「え、新見にいちゃんなの?」


 「ここではニケと呼んでくださいね」


 「ぶぅ…納得いかないけど仕方ないわね」


 「夕方箪笥を見たら下着がごっそり無くなってたんだけど…納得のいく説明をお願いね?」


 「え…それはそのー…」


 「躾け足りなかったのかな? 母さんに頼んで折檻のグレードを上げて貰おっかな?」


 ブローニングの顔面が蒼白になる。


 「って、朝釘を刺されたばかりだから覗いてる訳無いじゃん…覗きたかったけど」


 「相も変わらず変態すぎる姉だな」


 全く、残念だと苦笑するばかりである。


 「それより検証を済ませよう。 ここだと人目について目立つから【オルセナ街道】まで行こうか」


 「そうだね。 早く見せたいし」


 町を出て、一行は【オルセナ街道】まで移動した。

 フィーネは『探索』スキルで他のPCが周りにいないことを確かめてからインベントリから例の物をニケに送った。

 早速装備して確認をする。


 魔導技巧マギアミック鞭剣ウイップソード“ミミック” 最高品質 耐久度100 Str+150 充填MP100 これまでにない機能を持たせた鞭剣。 内部魔力を動力としてギミックを発動させる事が可能。


 「これは…性能は兎も角、剣の範疇を超え掛けてるぞ? ある意味ロボットのアームパーツとしか思えない…」


 「何これ、かっこいい」


 姉もその形に興味を持ち出した。


 「しかも内部魔力使用とか、最早オーパーツの部類じゃん」


 これは一重に魔導核がバッテリーの役割を担っているからである。


 「バッテリーは交換式だから無くなったら予備のバッテリーを遠慮なく使用してくれて構わない。 充填されたの沢山持ってるし」


 「凄すぎだろ」


 「まあとにかく検証検証」 

 

 街道から外れた森の中を進むと、まず出迎えてくれたのはコモンウルフの群れだった。


 「獲物発見」


 と腰のホルスターから銃を抜くと構える。


 「姉ちゃんストップ」


 それを止めに入るフィーネ。


 「今はニケの武器の検証が優先。 姉ちゃんと僕は取りこぼしをタゲるんだ。


 「ちぇー…まぁいいや。 さくっといっちゃって」

 

 よし、の掛け声でじゃらりと剣の刃が垂れてれるとそれを振り回した。


 「『鉈牙羅蛇ナーガラージャ』!」


 ヘビのように刀身をくねらせ、獲物の首にに巻き付くと、回転しながらすしゃりと切り落として一匹目を屠る。

 続け様に『亜那坤蛇アナコンダ』と『禁俱虎武羅キングコブラ』で次々にポリゴンの光に変えていく。

 武器性能が高いために一撃で仕留めてしまうため、吠える事が出来ない。

 しようとしてもする前に封殺されてしまう。

 鞭モードから剣モードに戻し、剣技ソードアーツで屠っていく。


 「変形・魔導技巧マギアミック盾拳シェル・シールド“ミミック”」


 最後の一匹になったのを確認すると剣を収納し、鍔を180度回転させるとアームカバーが迫り出し、巨人の拳に似たシェルナックルの形に変わる。


 魔導技巧マギアミック盾拳シェル・シールド“パンドラ” 最高品質 耐久度100 Str+110 Dex+120 充填MP85 これまでにない機能を持たせた盾拳。 内部魔力を動力としてギミックを発動させる事が可能。


 「『インパクトブレイク』!」


 拳がコモンウルフの横腹を襲う。

 衝撃波が柔らかい腹部の内部……臓器を破壊され、ぐちゃぐちゃという音を立てながら宙を舞い、そのまま光の粒子へと還って逝った。


「どう?」


 「使い心地は良い。 能力値を見ても現時点で最高の武器には変わらないな、現に『一撃必殺』スキルがアンロックされたし。 そこから見ても下手したら最低でも10ミリオンCzは下らない」


 「あー…やっぱり?」


 「どゆこと?」


 これにはブローニング疑問に思う所でもある。

 ブローニングには寝不足の原因として、一昨日の夜、つまりニケと別れた後の事を説明した。


 「初心者用で初めてやって、最高品質量産とか……そりゃ確かに呼び出される筈だ」


 「フィーネちゃんが寝ぼけて言ってた意味が漸く解った気がする」


 βでは殆どPPCと関われず、仕方なくソロで努力を積んだ結果異常とも取れる腕の域に達してしまった訳である。

 強い武器を自分で作成し、それを自分で使用する自給自足スタイルが実を結んだ結果がこれである。

 素直に称賛するしかない。


「あれ、なんかスキル合成できるみたい」


 所持スキル一覧を確認すると、『精密作成術』Lv25と何故かレベルが20にまで上がっている『合成術』と『錬金術』と『調薬術』(実は焼刃土作成や宝石合成等で上がったわけだが……)そして言わずもがなMaster化した『鍛冶神』で新たなスキルに生まれ変われるらしい。

 フィーネは迷わずExPを消費し、合成すると『魔導式機工学術マギクラフト・アルケミィ』Lv1へと進化を果たしていた。

 同時に『探索』スキルを取得し確認しながらセット。


 Skill  :『銃術』Lv15『千里眼』Lv20『魔導式機工術』Lv1『盾拳術』Lv3『潜入』Lv10『剣術』Lv1『探索』Lv1『伐採術』Lv8『魂撃(種族特性・控え移動不可)』Lv20


 SesS   :『黄泉送り』


 という結果となった。

 此処最近、『マイソロ』が始まって以来成長率が著しいと感じたフィーネ。

 運営側からも、特に何も連絡が来ていないので連絡はしていない。

 『魔導式機工学術マギクラフト・アルケミィ』も同様で、こればかりはこれから起こるであろう不安を拭えない。

利便さは時として同等以上の危険さを孕む可能性があるからである。


 「どうしたの?」


 ブローニングが取得した脅威のスキル能力にフリーズしたフィーネの肩に触れた。


 「ひっ!? ちょ……急に驚かさないでくれ…」


 神妙な表情で、ブローニングを怒りの篭った眼差しで睨み付けた。

 その様子は、漏らした悲鳴など気にも止める事は無く、何処か真剣そのものだった。


 「な、何よ。 わ、悪かったから…吃驚させちゃって」


 幾らスキル詮索が厳禁でも、こればかりは公開させる訳にはいかない。

 それこそこのゲームバランスが崩れかねないからだ。


 「ううん、何でも無い…変な事言っちゃ手ごめんね?」


 (いけないな…臆病になっちゃ駄目だ)


 そう、心の中で誓うのであった。


 「『探索』にP反応が出た。 以前の鞭剣に変えておいて」


 「フィー…ネ? …ああ、解った」


 疑問に思いながらも、ニケは一旦ミミックをインベントリに仕舞い、先程まで仕舞っておいた鞭剣を装備する。


 「さ、寝不足になる前に宿屋で浮上開始ログアウトしようか」


 「そうだな、七月の月末は試験やレポートがわんさか迫って来るし」


 ニケもこれには賛成の様だ。


 「あ、そうそう、僕が寝てる間に何かしたら母さんに一から調教し直す様に依頼するからね…お・ね・ちゃ・ん?」


 忠告とばかりに、にっこりとこの上ない笑顔でえげつない台詞を送り付けると、ブローニングは真っ青になり、身震いする。


 「そうそう、それでこそお姉ちゃんだヨ」


 「あは、あははははははは…………」


 朝起きても一日中感情の篭っていない笑いが止まらず、母と小雪に怯える淡雪なのであった。

淡雪が小雪に負けず劣らずの銃マニア、なので名前をそれに因んだものに。

アーケードのガンゲーも特異な様で、¥100で全クリするような猛者だったりもします。


それと銃の正しい知識を持った人が『銃術師ガンナー』を務めるとかなり強力なジョブに化けます。

癖は銃<弓<魔法といった形ですが、やり方次第では少ない癖で魔法以上の火力を生み出す事が出来る訳でございます。

そこら辺の所、『マイソロ』プレイヤーは小雪達を抜かして解っていない状態ですが…。


また何か在りましたら削除&修正をしていきます。

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