エピローグ《始まりはそばから》
はじめまして。趣味でガキの頃から小説書いてます。けど、小説は読まないという無知ヤローです。是非とも、人生に疲れたときに暇潰しにでも読んでください。文章とかもグダグダです。では、どうぞ。
[アレルギー]
アレルギーとは、特定の物質(抗原)の摂取や接触に対して抗体を作 り、再び同じ抗原が入った時に病的な過敏反応を起こすこと。特定の物事に対 する精神的な拒絶反応。
どっかの国語辞典から引用
1、エピローグ 《始まりはそばから》
「お待たせしました。海老天そばです。」
アルバイトだろう。 若い女の店員が一杯のそばを机に置く。
椅子に一人で座っている男は、少し身を引きながら軽くお辞儀をした。そして、
「いただきます。」
そういうと男はそばを食べ始めた。ただ夢中にずるずると音をたてながら。
【うまっ!】
男はそう思いながら、そばを食べ終えた。
【やはり、ここのそばは最高だ!】
汗を拭い、一息つくと水を飲み始めた。
周りの客の話し声が聞こえてくる。
「お前、ここにきてなんでカツ丼オンリーなんだよ!」
「だって、俺、そばアレルギーなんだよ!」
その会話を聞き、
【あいつ、可哀想だな。そばアレルギーなんて、人生の八割損してるぜ。】
水を飲み終え、ふふっと微笑むと、伝票を持ってレジへ向かった。
レジにはさっきの若い女の店員がいた。
黙って伝票を差し出す。
「お会計、380円になります。」
にこやかに笑う店員を無視するかのように400円をレジに出す。
「20円のお釣りです。」
そっと、お釣りを差し出す。男のお釣りをもらう姿勢も身が引けている。
「ありがとうございました。またのご来店お待ちしてます。」
店員に見送られ、男は店を出た。
《そば一幸》
ありきたりな蕎麦屋だが、男はこの店が大好きであった。
【やっぱり、そば一幸の海老天そばは最高だな。安い、うまい、うまい!につきるわ!うまいはわざと二回言うくらいに!】
満面の笑みをこぼしながら、男は帰り道を歩く。
この男、学生服をきており、中肉中背。見た目も決してかっこよくはないが、不細工でもない。一応この物語の重要人物のため、後は彼の主観から自己紹介をしてもらおう。
【僕の名前は信州健太、どこにでもいる高校二年生だ。部活は帰宅部。頭も良くなければ、運動できるわけでもない。もちろん、イケメンでもない。ただただ、そば一幸の海老天そばを愛し続ける少年だ。】
なんとも面白くもない自己紹介の途中、目の前から女子高生の集団が歩いてくる。
【うおっ!】
健太はとっさに、電信柱の影に隠れる。
「でさー、まじそいつがさー、」
「わかるわかる!」
なにやら、ぺちゃくちゃおしゃべりしながら、集団は健太に気付かず、通り過ぎていった。
【あぶねー。】
女子高生が過ぎ去ったあと、健太は一息つく。
【あっ、別に集団の中に好きな人がいるとかそんなんじゃないから!】
誰に言い訳しているのか?そういうことらしい。
【僕は昔から極度の女性恐怖症、というか拒絶に近い症状があるんだ。あんなのとまともにすれ違ったら、せっかく食べた海老天そばが出てくるぜ!】
そういうことらしい。信州健太は幼い頃から、異性との接触を良しとしていなかった。いつからかは定かではないが、異性と軽く接触しただけで、めまい、頭痛、吐き気、腹痛は当たり前。たまに過呼吸とかにもなってしまうほどだ。その体質のせいというわけではないかもしれないが、彼女はおろかまともに女友達すらいない。悲しい青春を送る帰宅部であった。
【今はまだ駄目だな。しかし、大人になればきっと大丈夫。今はまだ心が未熟だという神からの試練であろう。】
そんな都合の良いことを考えながら、そばの味を思い出しながら、一人歩き続ける。
‘バンッ!’
健太はいきなり背中をおもいっきり叩かれた。
「いてぇ!!」
思わず、健太は声をあげた。
【これはいつもの最悪な】
そんな事を思い、後ろを振り向く。
「よっ!今帰り?」
そこには制服姿の女子高生がいた。
見た目、とても美人であり、ボーイッシュな女の子だ。活発的な印象を感じる。
【やっぱり、こいつかよ。最悪だぜ!】
健太とは、なんだか深い関係がありそうな人物なので、後は健太に紹介してもらうことにしよう。
【こいつの名前は信濃あおい。僕と同じ高校二年生。僕とは幼なじみというありがちな関係だ。こいつは乱暴で男好き。見た目は美人かもしれないが、全くどうでもいい存在だ。一応、紹介しておくと、こいつは女友達がいない。ただのひとりも。いつも近づく女を無視したり、けなしたりしている。その代わり、男友達は死ぬほどいる。いつも男に囲まれて楽しそうに生活しているのだ。一体何人の男と付き合ってきたことか。まあ、どうでもいいことだ。】
と、いうことらしい。健太はあおいを無視して歩き始めた。
「おい!こら!無視するな!」
健太に駆け寄るあおい。
「こんな美少女が話しかけてるのにシカトする気なの?」
少しキレ気味のあおい。
「うるせえなぁ!いつもシカトしてるだろ!よってくんなよ!」
健太はあおいが嫌いみたいだ。何故かは本人にお任せしよう。
【あいつは男に囲まれまくってるくせに幼なじみという理由でやたら俺にからんでる。しかも、あいつにからまれると拒絶反応が半端ない。今も少し頭痛がするくらいだ。】
「なんで、いつもシカトなのさ?幼なじみじゃん!」
近づくあおい。
「おい!マジ近寄んっ」
「わぁ!」
‘バタン’
あおいはつまづき、健太に覆い被さった。
「いてて。大丈夫?健太?」
「いってーよ!」
幸い、健太もあおいも怪我はない。
しかし、あおいは健太に覆い被さったままで身体の各所が健太に触れている。
「おい、どけよ!って!」
叫んだ瞬間、健太に異変が起きた。
【頭がぐるぐると回るような。意識が。打ち所悪かったかな?なんか気持ち悪…】
「ちょ、健太!しっかりしなさいよ!健太!!」
薄れいく意識の中、あおいの声が聞こえたのかどうかは定かではないが、健太は倒れたまま意識を失った。