発覚!? 忍び寄る炎歌
「そっちはまだ全然焼けてないのです。あと20秒なのです」
「みなもが焼いた肉うめぇ!」
みなもはこう見えて肉を焼くのが得意なのです。
一人焼肉で鍛えたのです。
と、いうわけで。文化祭の打ち上げで焼肉屋にやってきたみなもは、鍋奉行ならぬ焼肉奉行をしているです。
もちろん、焼くのは希望者が食べる分だけ。
「みなもぉもっとどんどん焼きな! 全てをアタシが喰らってやるぅ!」
「みなもも食べるのです……」
ちなみにこのテーブルについているのは、くじ引きで決まった、みなも、枕木炎歌ちゃん、紅葉橋雀ちゃん、夕波梓ちゃん、桐橋浩氏くん、坂崎十語くんの6人だ。
「おいおい雀ちゃん、僕の食べる分も残してくれよ?」
「早いモン勝ちでい!」
「あうう……桐橋くんそれ私が育ててたお肉ぅ……」
「す、すまん……」
「みなもちゃん。お水入れよっか?」
「あ、貰うのです。…………ありがとうなのです」
みんなで焼肉を楽しんだのです。
「お会計63720円になります♪」
「はい……」
「はぁ……食べ放題コースだったのが唯一の救いだよ……」
「63720円でみんなの信頼を買ったと思えば安いもんなのです」
「なるほどー……」 優しいみなもは肩を落とす先生を適当に慰め、店の外に出ました。
「それではこれにてお開きとします。帰るまでが打ち上げだからなー。もう遅いし、寄り道は控えるように。以上、解散!」
「これからどうする?ゲーセン寄ってく?」
「みんなで桐橋んち行こうぜ!」
「さんせー!」
「えー……まじで来んの……?」
「本当にぼくは信頼を買えたのだろうか……」
知らないのです。
みなもは一人で帰ろうと駅に向けて歩き始めましたです。
しかし――――。
「みなもちゃん、ちょっといいかな」
声の方に振り返ってみると、そこには炎歌ちゃんがいたのです。炎歌ちゃんが、暗闇から、手招きしていたのです。
「?」
みなもは帰路から進路を変え、炎歌ちゃんに着いていきました。
たどり着いた先は―――、公園。
郭丘公園。
「何の用です?」
炎歌ちゃんはどこかいつもと違った様子で向き合っているです。
「あの、さ。なんかこんな事訊くと変な人と思われるかもしれないんだけど……」
「? 思わないのです」
どんなことを訊いてきても炎歌ちゃんは最初から変な人なのです。
「みなもちゃんさ、“自分は他の人と違う人間だ”って……思ったこと……、ある?」