みなもバスターズ
「いたたたたた! いたいのです炎歌ちゃん……!」
「準備運動なんだからしょうがないよ……」
そしてクラスマッチの日がやってきたのです。
このクラスマッチでQ組に勝利しなければ、みなもは“緑茶使いの能力者”、炎歌ちゃんは“牛丼使いの能力者”に……。
何がなんでも勝たねば……です!
いつぞやのクラス会議にて。
「目指すは優勝だぜぃ!」
「「「おーーー!!」」」
クラスの無駄な団結力が気持ち悪い、そんなある日のこと。
「みんな気合い十分だねー……」
「ほとんど炎歌ちゃんのせいなのです……」
炎歌ちゃんの“炎使いの能力”の漏出によって周囲の士気も相乗され、本当に優勝せんとする勢いに、さすがのみなももたじだじなのです……。
「でもさみなもちゃん。みんなこんなにやる気なんだし、もしかしたらQ組どころか学年優勝狙えるかもね!」
「そうなったらまた打ち上げなのです」
「志乃森センセーの奢りでね♪」
さすがに不憫なのです。
「で、女子ドッヂボールはとにかく全員でみなもちゃんを守ること!」
「なぜみなもを?」
みなもは大した戦力にならないので、守るだけ無駄なのです。そう言おうとすると、教卓の上(教壇ではなく)に立っていた雀ちゃんはみなもの横まで歩みより、みなもに耳打ち。
「みなもちゃんは病人なんだから、なるべくボールには当たらない方がいいでしょ?」
そう言って雀ちゃんはどや顔ウインク。
その「してやったり☆」みたいな顔をやめるです今すぐ……!
担任の先生がいないのをいいことに再び教卓の上に上がった雀ちゃんは、少しだけ雑談ムードに入ったクラスメイトたちの注目を集めるために、教卓の上で立ち上がり、右手を頭上にあげたのです。
男子の目も気にした方がいいのです……。
「優勝はともかく、確実にQ組には勝つぜぇー!」
「どうしてQ組なの?」
「そ、それは……」
ちらちらとこちらに目線を向ける雀ちゃん。全力で目をそらすみなも。
「そ、それは、あれだ……。実はQ組に勝たないと死ぬっていう病気にかかっちゃったんだよ……」
言っちゃったのです……。これでさらに面倒な展開に……。
「何それ意味が分からない……。雀ちゃんがかかったの?」
「いやっ、それは……」
再びみなもに目を向ける雀ちゃん。背けるみなも。
「その……………………炎歌が……」
「あたし!!??」
ざまあないのです。
あと雀ちゃん、そのどや顔ウインクを今すぐやめるのです。
「そうだったんだね炎歌ちゃん……。私、頑張ってQ組に勝つよ……!」
「う、うん。あたしも草葉の陰から応援するよ……」
早まるななのです……!
「とにかくみんな、アタシたちは訳あってQ組に必ず勝たなきゃならない。今こそ、我が2年O組の力を結集させる時だ。そうだろ?」
クラスメイトたちは無駄に真剣な面持ちで無駄に真剣に雀ちゃんの言葉に耳を傾けていたです。それが炎歌ちゃんが今、ひたすら真顔な事と関係があるかどうかは別として、信頼できると感じたのは紛れもない事実でした。
「アタシたちはもう2年O組であって2年O組じゃあない」
雀ちゃんは、これまた無駄に真剣に、言い放つ。
「チーム名は……みなもバスターズだ!!」
~OP~
なぜみなもがリーダーみたいな感じに!?
春ですね(夏です)。