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徒然みなもの非日常  作者: でぃあぼろ
第1章:みなもアドバンス
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緑茶使いの能力者、覚醒

 「今日は疲れたのです……」

 自宅に戻り誰にともなく呟く愚痴は、玄関の一枚鏡を通してみなもに更なる打撃を与えたのです。

 どうしてこんなことになったのか。

 緑茶使いの能力者? 訳が分からないのです。

 みなもはリビングに到達するまでに3回は溜息をつき、そこで喉の渇きを思い出したのです。

 「はぁ……」

 またもや溜息。幸せが逃げまくりなのです。

 冷蔵庫で冷やしておいた麦茶をコップになみなみ注ぐのです。なみなみ。

 というかそもそも、今日一日“緑茶使いの能力者”になったところでみなもには何の影響もないのです。

 なぜならみなもは―――、緑茶が嫌いだから。

 あんな苦いお茶は飲めないのです!

 操るべき対象物が無ければ操れない! しかも、あったところで使わなければいい話。

 そう自分自身に言い聞かせ、みなもは、コップに注がれた麦茶を一気に半分ほど飲み干――――

 「!? げほっごほッ! かは! …………はー。はー。はー。」

 これは……。

 みなもが嫌いな―――“緑茶”の味!?

 これが―――緑茶使いの能力!?


 まずいのです!!

 すぐ炎歌ちゃんに報告なのです!!

 そう思い受話器の前まで来ると、すると突然電話が鳴り始めたのです!

 炎歌ちゃんからです。

 『みなもちゃん大変!!』

 「ど、どうしたです!?」

 『あたし……急におにぎりが食べたくなって……。コンビニでおにぎりを買ったんだ』

 「…………」

 『家に帰っていざビニール袋から“おにぎり”を取り出してみると……』

 「…………」

 ごくりと唾をのむ。大体の予想はついてしまうのが恐ろしいのです。


 『“おにぎり”が…………、“牛丼”になってたんだ……!』


 「…………」

 そしてその大体の予想は。あろうことか、完全的中。

 『みなもちゃん? もしもーし』

 みなもはみなもの体験を余すことなく伝えましたです。

 『やっぱりみなもちゃんも……』

 「一日持ちこたえられるか心配なのです……」

 『こんなのが毎日続いたら精神崩壊しそう……』

 「です。……じゃあ、その後の報告は、また学校で」

 『わかった。じゃ、また明日』

 「です」

 切。

 「はぁ……」

 みなもはまたもやため息をついてしまったのです。本日5回目なのです……。



 その後。

 「手を洗おうにも緑茶だと全然洗われている気がしない……」

 「あうー……、お肉の肉汁が緑茶の味……」

 「緑茶風呂なのです……」

 とにかく、みなもに触れる全ての液体(みなもが液体だと認識したもののみ)が緑茶に変わるのです。

 この能力……無駄に調節が難しい。

 みなもはこれ以上能力が使用されるのが怖く、いつもより2時間も早く、7時に寝たのでした。


 翌日。

 「……散々だったのです」

 偶然登校中に炎歌ちゃんと出会いましたです。

 「大変だったんだね……」

 「炎歌ちゃんは何かあったですか?」

 「みなもちゃんほど頻繁ではなかったけど、晩ごはんが牛丼になったよ」

 「はぁ……」

 「あと、ほっぺたに付いたご飯粒が牛丼に変わってた」

 「ご飯粒が!?」

 「うん……。たぶん、あたしが“お米”と認識したものが牛丼に変わったんだね。お茶碗に入ってる状態だとその一塊を“お米”だと認識するけど、一粒だけ孤立したら、その“一粒”を“お米”だと認識しちゃうから……」

 「なるほど……」

 「そうならないためにも!」

 炎歌ちゃんは突然みなもの方に体を向け、みなもの手を取ったのです。

 「一緒に指令を遂行していこうね! みなもちゃん!」

 「お、おうなのです……」

 「よっしゃー! 『みなもチーム』! ここに結成!」

 代表はみなもですか……。

 みなもは呆れながらもどこか少しだけわくわくしながら、校舎に入ったのです。

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