リズ式魔王二種・青の魔王
キールたちのいる側から強烈な風と魔力が流れてくる。それを背中に受けながらシルビアは青の魔王が張る障壁に苦戦していた。
「固い、それに――劣化しない?」
先ほどから何度もプロメテウスに障壁の未来を喰わせているのだが、一向に破れる気配が無い。
青の魔王の表情も、相変わらず何を考えているか分からないままだ。
一向に攻撃をしてくる気配が無い事から、あまり攻撃技を持っていないのではないかと推測するが、相手はサーニャと同じ魔王である。何を隠し持っているか分からないため慎重にならざるを得ない。
「この程度?」
「まだまだ!」
一旦距離をとり、青の魔王の周囲を回るように動きながら隙を探す。青の魔王は最初の場所から一本も動いていない。ただ顔と視線を動かすだけで、シルビアの位置を特定し、防御障壁をその位置に張るだけだ。
「そこ!」
背後から足もとを狙う。しかし、まるで最初からそこに来ることが分かっていたかのように、魔王は足元に手を付きだし障壁を張る。
プロメテウスはその障壁に弾かれ、魔王の足へは届かない。
だがシルビアも、受け止められることはプロメテウスで分かっているのだ。勝負はそのさらに先、無数に分岐している未来から、障壁の隙を突く攻撃をできる場合や、障壁そのものを破る攻撃ができないかを探す。
シルビアが動くたびに、未来は数多に分岐するのだ。突っ立っていては少ない未来も、動けばそれだけ分岐が増える。
今は障壁を破る未来が見えなくとも、動いている内に何か突破口が見つかるかもしれないと、連続して攻撃を仕掛ける。
執拗に足もとを狙い、バランスが崩れるのを待つ。時折フェイクのように地面に剣を突き立て、掻き上げて砂を飛ばす。
普段は使わないナイフを投げたり、肉弾戦まで持ち出すも青の魔王に隙が生まれることは無かった。
「固すぎね」
「守護の魔王である私を抜こうなんて千年早い」
「千年ぐらいなら今すぐにでも喰らってあげるわ」
「訂正する、一生かかっても私にあなたの刃は届かない」
「何が何でも届かせる。プロメテウス」
再び障壁の未来を喰らう。しかしやはり障壁に変化が生まれることは無い。
それに歯噛みしながら、地面を蹴って青の魔王に砂を掛ける。
「野蛮な戦い方」
「足掻いてでも生き残る方が重要なのよ。私はそう学んだわ」
青の魔王はその砂を気にも留めず、障壁を張っている右手をそのままに、シルビアに向けて左手を突き出す。
瞬間、シルビアの見た未来には、自分が障壁で斬られる場面が映った。
とっさにその場から離れると、今まで自分のいた場所の地面に一本の斬り込みが入っている。
「惜しい」
「ようやく見れたわ。それがあなたの攻撃方法って訳ね」
障壁を相手の体内に張って内側から分離させる。内側からの攻撃なだけに、防御手段は無いに等しい。もしプロメテウスの能力が無ければ、シルビアはすでに両断されていただろう。
その攻撃を皮切りに、青の魔王が動き出す。
自分の足もとに障壁を張り、それを足場に上空へと駆け上がっていく。
シルビアはそれを見上げながら、足場に向けてナイフを投げる。しかし足場も障壁なだけあってナイフ程度ではビクともしない。
青の魔王は足場を駆け上がり続け、三メートル程度の高さで止まりシルビアを見下ろす。
「赤はなんだか苦戦してるみたいだから、こっちは早めに片づける」
「させると思う?」
「するだけ」
その言葉と同時に、青の魔王はシルビアに向けて両腕を突き出す。シルビアが横へと駆け出すのとほぼ同時だ。
直後、シルビアの奔る後には無数の切れ込みが出来上がった。
「そんな攻撃じゃ私は捕らえられないわよ」
「ならこうするだけ」
片手はシルビアを追いながら、もう片方をシルビアの走る先に向けた。
シルビアがとっさに走る方向を変えれば、シルビアの目の前に障壁が現れ、行く手を遮る。
さらに連続するように障壁が生み出され、シルビアは稲妻を描くようにジグザグに走り抜けていく。
しかし、このまま逃げ続けるだけでは不利になることは明白だ。相手は上空で手を付き出しているだけ。対してシルビアは走り回っている。その上体力を使わされるようにジグザグに動いたり、時として意表を突くように逆方向に走ることもある。
その度に、シルビアの足には疲労が大きく蓄積されていた。
「高いところから自由にやってくれるわね」
「それが魔王」
「私の知ってる魔王は、甲斐甲斐しく世話してくれるんだけど」
苛立ちを込めたナイフの投擲。あっけなく障壁に阻まれるが、その時だけは一瞬障壁の攻撃が止んだ。
さらに数本投げ続えければ、足を止めるまでとはいかないも、ジグザグに逃げる必要は無くなる。
「なるほどね。あなたの障壁、二枚が限界なんだ」
「バレた。けどだから? あなたの攻撃は私には届かない。私の攻撃はあなたに届く。それが現実」
「けど、突破口は見えたわよ」
冷徹な笑みを浮かべながら、自分の腰にあるナイフの残量を確かめる。洞窟内だからあまり使う機会が無いと考えていたのが裏目に出た。
ナイフの残量は残り数本といった所。チャンスは二度程度と考える。
「嘘。私の障壁は誰も抜けない」
「なら初めては、私が貰ってあげる」
片手にプロメテウスを握り、もう片手でナイフを握る。駆けながら向かう先は、空洞の壁際だ。
青の魔王は空洞の壁際から少し離れた位置でとどまっている。
それより中心に向かえば、キールと赤の魔王が高威力の魔法を撃ちあっているため近づけないのだ。
再び膨大な魔力の動きが起こり、キールたちを囲っていた炎が突然消えたかと思うと、二人の周囲に大量のナイフが浮かび上がる。
それを見た瞬間、チャンスはここしかないと一気に動く。
壁際まで走り寄ったシルビアは、その場で少しだけ留まる。直後、シルビアの胴を分断するように障壁が現れた。
シルビアはその障壁を、岩壁を使った高い跳躍で躱す。さらにその衝撃を足場に壁を駆け上がる。
青の魔王が行く手を遮ろうとした時は、ナイフを投げてその障壁の展開を防ぎ、一気に三メートルを駆け上がったシルビアは、二本目のナイフを青の魔王に向けて投げつける。
当然それは魔王の目の前で弾かれた。
「何をやっても同じ」
「残念だけど、そうでもないわ。喰らいなさい!」
シルビアが壁を蹴り、一気に青の魔王に接近する。
それと同時に、キールたちからサウザンドナイフが放たれた。
その嵐は当然シルビアたちにも襲い掛かる。あらかじめそれが分かっていたシルビアは、青の魔王を盾にするように立ち位置を変えている。そして青の魔王は当然自分の障壁でそのサウザンドナイフの嵐から体を守る。
しかしそのせいで、今までのように二枚の障壁でシルビアを攻めることが出来ない。一枚はキールたちから体を守り、もう一枚は今目の前に展開してしまっているのだ。
プロメテウスを突き出し、障壁とぶつかった。僅か一瞬、シルビアが青の魔王の前に躍り出ることができたのだ。しかし二人の間には障壁の壁がある。
シルビアは壁を蹴った勢いのまま、プロメテウスを放し障壁に手を掛ける。そして、勢いを殺さぬようにその力を上方へと流す。
すると、シルビアの体が空中でエビ反りをしながらさらに上へと体を押し上げる。足が頂点へと達したところで障壁に当てていた手を放し、側転の要領で障壁を飛び越えた。
そのアクロバットな動きに、青の魔王は今まで半分だけしか開いていなかった目を見開く。
シルビアは障壁の大きさはしっかりと把握できていた。障壁の大きさを知るのに、直接触る必要はない。
地面を逃げ回っている間に、その未来を見ればいいだけなのだ。
障壁を躱しきれず肩に当たる未来。障壁を飛び越える未来。飛び越えようとして足を躓かせる未来。それらの未来は、シルビアに障壁の正確な大きさを教えてくれる。
プロメテウスの見せる未来は、ただそれをなぞるだけのレールでは無いのだ。そこに含まれる情報は、新たな未来を作るための材料になる。
「ようやく捕まえたわよ」
前転で障壁を飛び越えたシルビアは、そのまま青の魔王に躍りかかる。
襟首に掴みかかり、そのまま押し倒す。倒れた拍子に、足場用の障壁の外へと投げ出され、二人の体は中を舞った。
そのまま地面へと落下し、青の魔王は背中を打ちつける。
「っよくも」
「これで終わりよ」
青の魔王は、自分に馬乗りになるシルビアを睨みつけ、シルビアは腰のナイフを高らかと掲げていた。
それを首に向かって振り下ろす。
しかし、そのナイフは障壁に弾かれた。
「なっ!? 手を出してないのに」
「私は守りの魔王」
青の魔王がシルビアの腹に手を当てる。シルビアはとっさに飛び退るも、そこで生み出された障壁は、シルビアの腹部に浅からず突き刺さった。
「私の体は障壁と同じ。その程度のナイフで傷つけられるはずがない」
青の魔王はその場でゆっくりと起き上がり、刺されそうになった首をカリカリと掻く。
シルビアは斬られた腹部を押さえながら、青の魔王から視界を外さないようにする。
青の魔王は、体自体が障壁と同じと言ったが、最初のシルビアの推測を違うとは言っていない。
青の魔王は、遠距離で張れる障壁が二枚だと情報を修正し、自分の傷口の様子を確かめる。
鎧は完全に斬られ、さらに皮膚を突き破り、最下段の肋骨も斬られている様子だ。幸いなことに内臓は傷ついていないが、それでも放っておけるレベルの傷では無い。
プロメテウスも、シルビアから少し離れたところに落下して地面に突き刺さっている。
「これは不味いかしら」
未来を見て障壁の場所を感知することはできない。相手の動作を見ていれば、ある程度予測はできるだろうが、予測できたところで今の体では回避も満足にできないだろう。
客観的に見て、ピンチと言わざるを得ない状態だ。
「私に触れたのはあなたが初めて。それは誇っていい」
ゆっくりと近づく青の魔王を睨みつけ、必死に打開策を探す。その時、青の魔王の後ろから、これまでとは比べ物にならないほどの魔力が襲い掛かって来た。
突然の出来事に、青の魔王も何事かと振り返る。そこでは、赤の魔王が腕に巨大な黒い爪を生やし、キールが何かを握っている所だった。
それを見て、青の魔王は悟ったようにシルビアに視線を戻す。
「あの僧侶ももう終わり。あの技は私でも苦労する」
「キールさんを甘く見ない方がいいわよ。それに――」
シルビアが地面に何かを投げつける。それは青の魔王がよそ見した隙に懐から取り出した煙玉だ。
普段ならば、部隊の連絡用に使われるものだが、緊急時には目くらましとしても使えるようになっている。
それを地面に叩きつけ、一気に噴き出した煙が二人の姿を隠す。
しかし、青の魔王は冷静だった。
「逃がさない」
シルビアの今の装備では、自分を傷つけられるものはない。そうなると、この煙に紛れてやることは武器を手に入れること。
プロメテウスはシルビアの近くに落ちていたため、間違いなくそこに向かうと予想して、障壁を展開させる。
生憎、プロメテウスの場所を完全に把握していなかったため、障壁の場所はおおよその場所にしか張れなかったが、今のシルビアにはそれで十分だった。
「捕まえた」
ゆっくりと煙が晴れる。
そこには手をプロメテウスに向けて手を伸ばすシルビアの姿。しかし、その手は僅かの所でプロメテウスに届いていない。
プロメテウスとシルビアの間には、一枚の障壁が展開されている。
「障壁はただ守るだけの物じゃない。こんな使い方も出来る」
青の魔王は障壁に向けていた手を少しだけずらす。すると、障壁に小さな穴が開き、それはシルビアの腕を挟み込んだ。
「これは!?」
「もう、逃げられない」
さらに両足を障壁に捕まえられる。まるで一枚の板に足が刺さってしまったように、動けなくなってしまった。
突然の拘束に、バランスを崩したシルビアがその場で倒れ込む。唯一四肢で自由な左手だけを使って、何とか体勢を立て直そうとするも、焦りがそれを妨害した。
「けど障壁はもう二枚張ってる。あなたも攻撃できないはずよ」
「そう。けど、私にだって手足はある」
そして青の魔王はシルビアに向かって歩きながら、地面から一本のナイフを拾い上げる。それは、今までシルビアが青の魔王に向かって投げつけてきた数多くのナイフのうちの一本だった。
「これをあなたに突き刺すぐらい、造作もない」
「これはちょっと洒落にならないわよ」
そのナイフを構え、青の魔王がシルビアの目の前に立つ。振り上げられた手のナイフは鋭利に輝き、シルビアはギュッと目を閉じ、その瞬間を身構えた。
「さよなら」
しかし、その衝撃はいつまでたっても来ない。
まさか自分は、衝撃を感じるまでも無く死んだのだろうか。そんな考えが浮かび、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
そこには依然として青の魔王が立っている。その腕も振り上げられたままだった。
ただ一つ違っている場所があるとすれば、振り上げられた腕を後ろから黒い人影が掴んでいることだろう。
「何をしている。この程度も殺せないのか」
「キールさん!」
「僧侶……赤は」
青の魔王はキールを睨みつけながら尋ねる。その問いにキールは簡潔に答えた。
「あいつならそこの壁で眠っている」
青の視線は、僧侶のさらに後ろに向けられ、そこで再び目が見開く。
「赤が……負けたの?」
「そしてお前もな」
「キールさん気を付けて。そいつの体は常に障壁を纏ってるわ」
「だからどうした」
キールの動きを感じて、青の魔王が手を振り払おうとする。しかし、キールはその腕を離さない。
後ろから掴まれていることで自由に動けない青の魔王は、自分の背中に手を回し、シルビアの腕をつかんでいる障壁を解除して、自分の背中に張り直した。
「この程度の子供だまし、俺に通じると思うな、雑魚が」
振り抜かれる左腕。それはシルビアの苦労はなんだったのかというほど簡単に青の魔王の障壁を貫き、纏っている障壁を破り、胸を後ろから貫いた。
「さて、どうなるか」
魔王を貫いた左手には、魔王の心臓が握られている。その心臓は未だ血管とつながったままで、魔王の体に血液を送り出していた。
魔王も意識はあるが、体に力が入らないといった状況だ。そこでキールは、抵抗の無くなった右手から手を放し、心臓に張り付いてる虫を掴む。そしてそのまま虫だけを握りつぶした。
とたん、魔王の体がビクンと跳ねる。
そんな様子を観察しながら、キールはさらに虫を心臓から取り外していく。足を取り除き、心臓に刺さっている尻尾を引き抜いた。
傷口から血があふれ出すが、そこはさっと指でつまみ、心臓から直接血があふれ出すのを防ぐ。
「シルビア」
「な、なに?」
突然狂気のような行動を繰り返すキールを、ボーっと見ていることしかできなかったシルビアは、声を掛けられ慌てて返事をする。その声が若干上ずっていたのは仕方がないだろう。
「こいつの様子をよく見ていろ」
「何が起こるの?」
「分からん。だから見ていろ」
キールが心臓に張り付いた虫を完全に取り除く。貫かれた傷口からは、すでに大量の血が溢れだし常人ならばとうに死んでいるレベルである。今更何かが起こるとは思えない状況だ。
しかし、魔王には変化が現れた。
突如、魔王体から魔力があふれ出す。それを攻撃かと考えたシルビアは、すぐに臨戦態勢をとるが、その後魔王の体が動く様子は無い。
「キールさん、今のって」
「魔王化が解けたということだろうな。虫を取り除いたからか、はたまた虫から何かしらの薬物が注ぎ込まれていて、それが止められたかは分からないが、どうやら虫を取り除けば、完成型の魔王は魔王化を解除できるらしい」
「じゃあその人は!」
魔王化の解除と聞いて、シルビアの心に歓喜が灯る。しかし、それをキールはあっさり否定した。
「何を勘違いしている。この傷と出血量、助かる訳ないだろ」
今までは魔王だからこそ生きていたのだ。それがただの人間に戻れば、出血だけでも確実に死に至る。ましてや胸に風穴を開けられている状況など、出血でなくともショック死するのが当然だろう。
現に、魔力の放出があるまで動いていた心臓は、今では完全にしぼんで動いてはいない。
キールが心臓の傷口から手を放せば、力なく血液が袋からあふれ出した。
それはゆっくりと青の魔王の服を黒く染め、地面に流れていく。
「さて、知りたいことはだいたい分かった。後はリズを殺すぞ」
キールは傷口から腕を引き抜くと、青の魔王を横たえ立ち上がる。その視線はすでに洞窟の先を見ていた。
シルビアは自分の荷物からハンカチを取り出し、青の魔王の顔に掛ける。
「私もすぐに行きたいところだけど、少し待ってくれないかしら。さっきの戦闘でちょっと洒落にならない攻撃を喰らっちゃったんだけど」
必死に我慢しているが、それもそろそろ限界だった。
青の魔王に付けられた傷は、今もしっかりと傷口から血と痛みを溢れさせている。
その傷を見たキールは、小さくため息をはいてシルビアに手を向ける。その動作に、先ほどまでの戦闘を思い出してシルビアは小さく身構えてしまった。
「何をしている。さっさと傷口を見せろ。治療してやる」
「いいの?」
「俺は僧侶だぞ」
「すっかり忘れてたわ」
「聖なる光よ、この者を正常なる姿に戻せ。聖光再生」
かつては短縮詠唱で唱えられたホーリーキュア、それでも傷を治すには十分な力があったそれは、完全な詠唱によって本来の力でシルビアの傷を治していく。
それは瞬きをすれば、傷口の大きさが変わっているほどの速度で、シルビアの体を修復し、失った血を補充していった。
そして一分も経たない間に、シルビアの傷は完全に塞がる。シルビアが攻撃を受けたのだと分かる証拠は、もはや鎧の傷と服の破れだけになってしまった。
さすがのシルビアも驚いた様子で自分の傷口だった場所を触る。
「跡まで綺麗になくなるのね。傷痕ぐらいは覚悟してたんだけど」
「俺を誰だと思っている」
「そうね、神様に選ばれるほど優秀な僧侶だものね」
「時間が惜しい、行くぞ」
「ええ」
シルビアがプロメテウスを持って立ち上がる。血も完全に補充され、若干疲労まで取れているような気がした。
「リズは必ず殺すわ」
「当然だ」
最終決戦がもうすぐそこまで迫っている。そんな雰囲気にシルビアは己の気を引き締める。
キールが歩きだし、それを追ってシルビアも足を動かした。