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僧侶は勇者を恫喝し、魔王を従える  作者: 凜乃 初
アフターストーリー
65/74

突入

 早朝。シルビアにエース、西部騎士団の中隊、そして縄につながれたキールとサーニャ。彼らはリズらしき魔物が確認された洞窟の前に来ていた。

 洞窟の入り口は崖に出来た小さなもので、人一人がやっと通れる程度の大きさだ。騎士たちが簡単に中を確認したところ、中は広がっており、立った状態で人が二人ほど並んで歩ける大きさになっているらしい。


「さて、じゃあ今から突入するわけだけど」


 シルビアは自分の後方にいる中隊に向けて命令を下す。


「あなたたちはここで待機よ。もし私たちがこの洞窟を攻略している間に別の人や魔物魔獣が入ってこようとしたら全力で止めなさい。さすがに後ろまで気を回していられるほど余裕のある戦いにはならないと思うわ」

「大丈夫なのでしょうか? 数で攻めた方がいいのでは?」


 中隊長がシルビアに尋ねる。それにシルビアは首を横に振った。


「入口ですらこの大きさ、奥は人が二人通れる程度。いくら数がいても邪魔になるだけよ。それに正直言っちゃえばただの騎士程度の実力だと足手まといにしかならないの。せめて魔物を一人で倒せるだけの実力が無いとね」


 この洞窟の奥にいるのは、その魔物よりも厄介な無機物魔獣、もしくは人工魔王の可能性すらあるのだ。そんな状態で魔獣や魔物一体程度に苦戦を強いられるような騎士など足手まといにしかならない。

 ならば、ここで待機してもらい、外からの増援を防いでもらった方がまだ役に立つという物だった。


「分かりました。全力を持ってここを死守します」

「お願いね。もし中から魔物や魔獣が出てきたらそいつらの処理も任せるわ。これだけ開けた場所ならあなたたちの戦い方ができるでしょ」


 もともと騎士の戦い方とは集団戦だ。いかに怪我を少なく、相手の隙をついて攻撃するかを訓練させられている。

 敵が人ではなく、魔獣だからこその訓練だ。


「じゃあ行くわよ、エース。キールさ……キールたちを連れてきて」


 思わずいつもの癖でキールさんと言いそうになるところをグッと堪える。今キールたちは罪人なのだ。それに敬称を付ける訳にはいかない。

 エースはその指示に従ってロープを引っ張りキールとサーニャをシルビアのもとまで誘導する。


「さて、あなたたちは私たちに同行して洞窟内の隠し通路なんかを指示してもらうわ。場合によっては盾になってもらうこともあるから覚悟しておいてね。これは誘拐犯として当然の罪よ」


 シルビアの言葉に、キールが一瞬グッとロープを引き抵抗を見せる。しかしそれはエースがしっかりと押さえていた。


「暴れても無駄よ。じゃあ行くわ、後よろしくね」

『ハッ!』


 騎士達の敬礼を背中に、四人は洞窟内へと侵入する。

 シルビアを先頭に、キールとサーニャを挟んで最後尾をエースが進む。洞窟内の岩肌はむき出しで、所々突き出した突起がシルビアたちの体をかすめた。


「狭いわね」

「慎重に進もうぜ、ここはもう敵の本拠地だ」

「そうですね、どこからか魔物のような気配もします」

「雑魚なら貴様らが蹴散らせ、俺はリズを狙う」

「当たり前のように会話に入ってこないでほしいんだけど……」


 洞窟に入ってからしばらく、いつの間にかキールもサーニャも自らの枷を外し噛んでいた布を取り払っていた。

 後ろからずっと見ていたはずのエースですら、いつ取ったのかも分からないほどの手際だ。


「そんなことより、そろそろ先が開けるようですよ」


 サーニャの言葉通り、狭い道の奥から光が見えた。


「剣は抜いといた方が良さそうね」

「こっちはいつでも行けるぜ」


 シルビアがプロメテウスを、エースがクリスタルアークを構え、四人は一気に広場へと突入する。

 そこは大きな空洞になっていた。空洞内は魔力ランプで照らされ明るくなっている。空洞の先にはさらに道が続いており、この洞窟が相当深い事を示していた。

 四人はゆっくりと空洞の中央へ向かって進んでいく。すると突然けたたましい音が響き渡った。


「なんだ!?」

「警報という物でしょうか? おそらく私たちの魔力に反応したのかと」

「て事は」


 四人は互いに背中を合わせて空洞の全方位をカバーする。その直後、空洞の壁がボロボロと崩れ、大きな岩がその場に落下する。

 落下した岩は、ゆっくりとその巨体を、岩から突き出した六本の足を動かし立ち上がらせる。


「無機物魔獣ね」


 それは、二年前リズが初めて生み出した無機物魔獣の発展系だった。以前は、ただ岩を張り付けただけの体だったものは、とげとげとした針山に変わっている。その場で回転するぐらいしかできなかった足は、六本に増え自由に移動することが出来るようになっていた。


「昔はどう倒したっけ?」

「大穴にカズマさんの強力な一撃をぶち込んでコアを破壊したわ。けど今回は、カズマさんはいないわよ」

「なら俺達でぶち抜くしかない訳か」

「しかもパッと見一人三体は潰さないといけない計算ね」


 シルビアたちの周囲を囲む無機物魔獣たちは、ゆっくりとシルビアたちを観察するように周りを回る。その足取りは全身が岩でできているのにもかかわらず軽い。


「皆行けるかしら?」

「誰に向かって聞いている」

「もちろん問題ありません」

「俺も伊達に、二年も騎士団で過ごしちゃいねぇよ」


 シルビアの問いかけに、全員が自信満々に答えた。


「じゃあ」


 GO。そう言おうとした瞬間、何かを感じ取ったのか無機物魔獣たちの口が一斉に開く。直後、魔獣たちの口から放たれた大量のビームがシルビアたちに襲い掛かった。


『壁』


 キールとサーニャの短縮魔法。それによって魔獣たちの砲撃は届く前に見えない壁に当たって打ち消された。


「お前ら……あまり無能を晒すと俺が殺すぞ」

「ご、ごめんなさい。じゃあ気を取り直してGO!」


 シルビアの合図で今度こそ全員がその場から動き出す。

 真っ先に魔獣に突っ込んで行ったのはエースだ。クリスタルアークを刺突の体勢で構え、魔獣に向かって突き出しながら叫ぶ。


「撃ち抜け! ストライクスティック!」


 その叫び声に応えるように、クリスタルアークが輝き魔獣に向かって刃が突き出される。二年前は簡単に弾かれたその突きは、一体の魔獣の中心を穿ち、一撃でコアを破壊する。

 その場で動きを止め、ただの岩の塊となった魔獣は、その硬さで突き刺さったクリスタルアークの動きを封じる。それに対し、エースはさらに声を上げる。


「切断しろ! リップスラッシュ!」


 クリスタルアークはその声に応え、今度は岩をまるでバターでも斬るかのように、滑らかに切断した。


「まず一体!」


 クリスタルアークは、エースとの二年の戦いを経て更なる力をエースに与えていた。ストライクスティックは分厚い鉄の板すら容易に貫き、リップスラッシュは容赦なく全てを切り裂く。単純だが、それゆえに強力な武器となってエースを支える。


「やるわね、エース! こっちも行くわ。見据えなさい、プロメテウス」


 一瞬で一体を潰したエースを見ながら、シルビアがプロメテウスの能力を発動させる。それと同時に、いつもの自分とは別にどこまでも冷静な自分が現れる。目つきは鋭く、口は一文字に閉じたその表情は、冷静と言うよりも、感情が無いという方が合っている様子だ。


「行く」


 小さく呟き、自分の近くにいた魔獣に向けて突っ込む。魔獣は再び口を開き、ビームを放つが、シルビアは一歩横に動くことでその攻撃を避けた。魔獣はすぐに位置を修正して再びビームを放つが、それもたやすく躱す。

 普通ならば衝撃波だけでも僅かなりとも動きが鈍るはずだ。しかし、シルビアのプロメテウスは二年の歳月を経てクリスタルアーク同様進化している。

 見通せる未来は遥かに増え、シルビアの身体能力の向上と共に、選択肢は万すら億すら超えるようになる。その中には当然衝撃波まで完全に避け切る未来が存在した。

 シルビアはその未来を丁寧になぞり、魔獣に近づくと、開いたままの口にプロメテウスを突き刺す。


「喰らいなさい」


 シルビアの声と共に、プロメテウスの刀身が黒く輝く。すると、突き刺された魔獣の体がぼろぼろと崩れ落ちコアが露出した。

 それを見逃さず、シルビアは別の短剣でコアを適確に突き刺し破壊する。


 プロメテウスは、多くの魔獣・魔物の未来を屠り、シルビアに未来を見せ続けたことで新たな能力を開花させた。それが未来を喰らう能力。突き刺した相手の未来を奪い、一瞬にして殺す能力。無機物魔獣はコアが死なない限り生き続けるが、周囲の肉体は永遠では無い。急速に滅ぼされた肉体から露出したコアを砕くことは、シルビアにとって簡単すぎる作業だ。


「シルビアも凄い事になってるな」

「無駄口叩かない。さっさと潰すわよ」

「おお怖……ストライクスティック!」

「……二匹目」


 二人が二体目を倒したのはほぼ同時だった。


「次は」

「最後」


 そして残りの一体に向かおうとした時、その魔獣に向けて横から衝撃が襲い掛かる。

 魔獣の岩肌は簡単に砕け、露出したコアもその衝撃にさらされ破壊された。


「お前ら、いつまでちんたらやっている。遊ぶのも大概にしておけよ」


 声のする方に顔を向ければ、キールが右手を魔獣たちに向けて突き出していた。それで先ほどの衝撃がキールの魔法だったと気付く。

 見れば、サーニャもすでに自分の分の魔獣は片づけ終わり、乱れた髪を整えていた。二人の背後には、石ころの残骸が散らばっている。コアごと跡形も無く粉砕したのだと分かる散らばり方だ。


「相変わらずキールさんもむちゃくちゃね。まあとりあえず全部片付いたから良いかしら」

「どうやらそうでは無いようですよ」


 サーニャが再び壁を見れば、最初と同じようにボロボロと壁が崩れてきた。そして同じように魔獣へと姿を変える。


「もしかして無制限に湧いてくるタイプ?」

「そのようです」

「ならやることは一つだ」

「そうね。突破して奥に進みましょう」


 ここの防衛のための魔獣なら、外に向かう可能性は少ない。騎士団の実力ではこの魔獣の相手はキツイかも知れないが、元々無機物魔獣が出てくる可能性も考えた装備を持たせてあるため心配は無かった。


「では私が道を開きましょうか。飲み込む土砂よ、世界を嗤え。大地の大波(ロックウェーブ)


 サーニャの詠唱と共に、奥に続く道までの床が大きく波打つ。そしてそこから発生した土の津波が魔獣たちを一斉に飲み込んだ。


「今のうちにどうぞ」


 魔獣たちは土から足を器用に使って這い出してくる。その間にシルビアたちは洞窟の奥へと足を進めた。


 しばらく細い道が続いたかと思えば、分かれ道に出た。


「どうしましょうか?」


 道は二本に分かれており、奥はまだ暗く先は見えない。


「キールさん的にはどう思う?」

「判断材料が少なすぎる。なんとも言えないな」

「そう、ならここは均等に分けるか、戦力を集中させるかのどちらかだけど」

「さっきみたいな四人でも戦えるだけの広さがあるかが問題だよな」


 エースの言うことももっともだ。元々ここは洞窟の中なのだから、先ほどのような人為的な空洞以外は、四人そろって戦える場所などまずない。

 もし狭い場所で四人が同時に戦えば、その影響で洞窟が崩れる可能性もある。それを考えれば、四人で動いても意味が無い。

 もし何かあった時のサポートと考えれば、それも有効かもしれないが、その為に戦わない人間を残しておくのも時間がもったいない。

 一考した後、シルビアは結論を出した。


「二人組に別れましょう。メンバーは私とキールさん、エースとサーニャさんで」

「なぜ私とキール様では無いんでしょう?」


 そのメンバー訳に、サーニャが素早く異を唱える。キールと引き離されるのだから当然だろう。


「私もエースも高威力の攻撃って少ないのよ。けど元魔王のサーニャさんと良く分からないキールさんは無機物魔獣を一撃で屠れるだけの威力がある魔法が使えるもの。バランスを考えるならこれがベストになるわ」

「そ、それならキール様とエース様でもいいのでは?」

「キールさんとエースが組んだら、リズを倒す前にエースが死ぬわ。主にキールさんの攻撃で」

「無いとは言い切れないな」


 シルビアの答えに、キールが頷く。そこは無いと答えて欲しかったエースは、こっそりと冷や汗を流す。


「そう言うことだから、私とキールなの」

「ふぅ……ならば仕方ありませんね。キール様よろしいでしょうか?」

「俺は誰とでも構わん。さっさと行くぞ」


 キールが勝手に分かれ道の一本へと歩き出す。シルビアがその背中を追って洞窟を進んで行った。

 残った二人の間には気まずい空気が流れる。


「じゃあ俺達も行くか」

「お先をどうぞ。私は後方を警戒しますので」

「サーニャ、もしかして拗ねてる?」

「そんなことはありません」


 そう言いながらもエースから顔を背けるサーニャの態度は、拗ねているそのものだった。

 サーニャの言う通りエースが先頭を進みながら気になっていたことを尋ねる。


「サーニャってなんか、昔より感情が出るようになってないか? 二年前は自分から意見を言うなんて無かったろ」

「はい、キール様の研究により、私の人間だったころの感情と記憶が僅かながら戻ってきています」

「やっぱりそうなのか。けどそれって大丈夫なのか?」

「何がでしょう?」

「人間のころの感情や記憶が戻るってことは、その頃の考え方に戻るってことだろ? それって魔王だったころに自分がやったことに後悔するようになるんじゃないか?」


 魔王システムによって魔王にされたサーニャは、元々ただの村娘だったのだ。それが魔王となって人間と敵対し、殺すように指示できたのも、魔王システムによって人間としての感情を封印されていたからだ。その感情が復活してしまえば、今まで行ってきた所業に心が耐え切れず崩壊する恐れもある。

 エースからしてみれば、そんな深い考えはない。ただ「自分がやったことを後悔するぐらいなら、記憶や感情は取り戻さなくてもいいんじゃないかな?」程度にしか考えていない。

 それでもその意見は的を射ていた。


「確かに記憶を取り戻し始めた当初は混乱もありました」

「大丈夫だったのか?」

「ええ、キール様が献身的に支えてくださいましたので。それで改めて思ったんです。私はキール様が亡くなるその時までお傍でお仕えして行こうと」

「キールが献身的にってのはあんまり……てか全然想像できないな」

「キール様はお優しい方です。記憶を取り戻し始めた当初、私もエース様の言う通りキール様に当たりました。なぜ思い出させたのかと、洗脳されたままの方が楽だったと。しかしキール様はそんな私に優しく語りかけてくださいました。私自身に罪はないと、だから私が苦しむ必要はないと。魔王の犠牲者は幸せにならなければならないと」

「あいつがそんなことを」


 エースからしてみれば、全部サーニャの妄想だと言われた方が現実味のある言葉だ。しかしサーニャがキールのことで嘘を吐くとも思えない。ならばこの話は本当のことだったのだろうと思う。


「その言葉を聞いて私の心が決まりました。私の幸せはキール様の隣で生きることだと。最初こそ洗脳まがいの調教のような物を受けましたが、それもキール様の愛だったのだと!」

「そ、それは違うと思う」


 調教の被害者の一人として、その言葉はぜひとも否定したいものだった。

 うっとりと頬を赤らめるサーニャをしり目に、洞窟を進んでいくエースの前に再び分かれ道が現れる。


「また分かれ道か」

「どういたしますか?」

「サーニャさんは魔物の気配とか分かるか? この奥に魔物がいるかどうかだけでも」

「例の無機物魔獣は無理ですが、リズのような普通の魔物なら何とか。やってみましょう」


 サーニャはその場で目を閉じると感覚を研ぎ澄ませる。

 魔物の気配は主に魔力で探知できる。相手が魔法を使っていれば簡単に分かるし、使っていなくても、微量に体から漏れ出る魔力を見つけることが出来ればこの先にいるのかぐらいは判断できるのだ。

 サーニャは自分の魔力を意識的に溢れ出させ、その魔力に反発するかすかな感覚を探る。

 しばらくしてサーニャは目を開いた。


「この先には魔物の気配はありませんね。おそらく入口で感じた気配はキール様側の通路だったのでしょう」

「ならここは二手に分かれよう。無機物程度ならいくらいても倒せるしな」

「分かりました。では何かあった場合は、洞窟内にライトを放って合図にしましょう。危険な状態なら一回。何かを発見した場合は二回。何も無かったから合流したいという場合は三回ライトを放ってください」

「分かった。何があるか分からないし、お互い慎重にいこう」

「当然です。私はキール様の隣以外で死ぬつもりはありません」


 サーニャはいつもの無表情に戻り、サラッとそんなことを呟いて通ろを進んでいく。それを見送ったエースは、本当に感情豊かになったと思いながら、自分の道を進んだ。


良く考えたらカズマが捕まる必要って無かったんですよね。なので、そこを少しいじりました。

集落で家を燃やした時点で一時的にカズマだけ逃走、後日協力者としてシルビアたちと合流する流れに変わり、文章を一部変更しました。

読み直すほどの変更はしていないので、それだけご理解お願いします。

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