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エピローグ

 その日。地図上からウィンティアと言う都市の名前が消えた。

 消滅した時の光景を見ていたのは、魔王の討伐後すぐにウィンティアを出たシルビア、エース、トモネの三人だけだ。

 三人の言う話では、強大なエネルギーの爆発が起き、一瞬にして魔城を中心としたウィンティアすべてが光に包まれ、その光が引いたときにはすでに何も残っていなかったとの話だ。

 三人とは別行動をしていたキール、サーニャ、カズマ三人の生死は不明。

 王宮の公式的な会見では、死亡したと言うことになっている。

 そして魔王とエリーシスは……


「まさかあんな風に発表するとは思わなかったぜ」

「エリーシスは魔王を討伐するために自らを犠牲にした救世主、そしてその救世主の死を乗り越え、エースが魔王の首を撥ねたですもんね」

「俺は何もできなかったんだけどな……」

「これからよこれから」

「そうだな」


 すでに魔物たちが集団を作り始めているという情報は国の方々から聞こえてきていた。

 生き残った勇者パーティーの三人はそれぞれに部隊を率いてその魔物たちの討伐をすることになっている。


「でさ、結局キールたちって生きてるのかな?」

「生きてるわよ」


 エースの質問にシルビアがあっさりと答えた。


「なんでわかるんだ?」

「だってエリーシスにかけられた魔法が解けてないもの。キールさんに常識が通用しないのは分かってるけど、死んだあとまで魔法が解けないなんてことは無いでしょ? エリーシスに幻覚魔法がかかっている以上キールさんたちは生きているわ。きっとどこかの田舎でまた教会でもやってるんじゃない?」

「確かにやってそうだな」


 澄んだ青空を見上げて、三人のことを思い出していると、トモネが駆け寄ってきた。


「シルビアさん、エースさん、部隊の集合が整いましたよ。みなさん私たちを待ってます」

「じゃあ行くか」

「ええ、ここからが私たちの本当の仕事よ」

「はい!」


 女王ティリス・アイン・フォースから勅命として与えられた魔物専門の討伐部隊「聖剣部隊」の腕章をつけて三人はそれぞれの部隊の前に顔を出した。


   ☆


「キール様、トリさまがお見えです」

「そうか、今行く」


 休憩室から出てくる真っ黒な僧侶。その姿はだれにも威圧感を与えるが、その性格は温厚そのものとして村中に広がっていた。

 いまでは悩みを相談しに来たり、怪我をしたときに助けを求めてやってくる。

 ほかにはお布施として家でとれた野菜や家畜を届けてくれたりもしていた。


「そうだ、カズマ。」

「はい、なんでしょう?」

「裏庭の草が酷い。今日中に刈り取っておくぞ」

「わかりました、準備しておきますね。ついでに薪も少し足りなくなってきているのでとって来ましょうか」

「頼む」


 読んでいた本を置き、カズマが裏庭へ出て行く。

 それを見送ってキールは教会への扉を開いた。

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