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第40回廊―ソロの戦い方

お待たせしました第4話です。

今回は40回廊のボス『ヨルムンガンド』戦前編的なものですが・・・戦闘描写がやっぱり微妙だ。



[8/18 8:00] 第50回廊 セーフティーエリア Lv200


 デスゲームが始まって1日と8時間が経過した。結局あの後は小一時間ほど『ヨルムンガンド』と戦っていたが・・・結局奴の牙に貫かれる羽目になった。

 まぁ、ただ単に集中力が切れて動けなくなったところを一刺し・・・といった感じで決して勝てない相手ではないことをしっかりと認識できた。

 多分装備をしっかりと整え直して万全の状態で挑めば勝てる自信はある・・・が、その前にどうしてもやるべきことができた。


 ズバリレベル上げだ


 昨日の時点では現在のLv200で十分脱出できると踏んでいた。しかし、そんな安易な予想を大きく裏切ってモンスターたちのレベルは跳ね上がっていた。おそらくこの最奥である50回廊のLv150が最も低いレベルとして設定されているのだろう。


 そこから10回廊・・・もしかしたら5回廊ごとに敵のレベルが5ずつ上昇していくなんてインフラが起きても不思議ではない。


 その計算ならば1回廊に来るころには最善の予想でLv175。最悪の予想ならばLv195・・・いやLv200か?

 とにかく今のままでは40回廊は抜けられても20回廊か10回廊あたりで足踏みをする可能性が非常に高く・・・詰み=死が目に見える。

 だからこそ、今ここで時間の許す限りレベルを上げて少しでも脱出の成功率を上げることが大事だ。幸い49回廊から先にいる『ギガントタートル』はまさにレベル上げをしてくださいと言っているような格好の的なのだ。これを逃す手は――


「・・・あれ?」

 今不意によぎった疑問。なぜ本来ならば最奥の敵がこんなにも経験値稼ぎに適しているのか?このデスゲームさえなければここには最高難易度の雑魚・・・並のBOSSモンスター以上の敵が配置されてもおかしくない場所なのに・・・

 どう考えても・・・このデスゲーム中にここでレベルを上げてくださいと言っているようなものじゃないか。ってことはこの回廊は最初からデスゲームをするための場所ってことに・・・


「・・・今はレベル上げだ」

 こんなこと考えても意味ない。こんなところに脱出の糸口があるとは到底思えない。今はとにかく正攻法で突破するのが一番だ。他に誰かいれば手分けして手段を模索することもできるが・・・ないものねだりだ。特に俺にとっては・・・


「あーさっさと始めよう。やる気がなくなったら話にならんし」

 現実逃避するようにセーフティーエリアを出て狩りを始めた。


[8/18 23:36] 第49回廊 Lv212


 自分でもあきれてしまう。昨日の今日で一体何時間休みなしで戦ってるんだ俺は・・・

 出現ポイントが固定で攻撃対象がいない限り動くことのない『ギガントタートル』を各出現ポイントまで赴いては弱点を一撃必殺で倒して回った。正直戦闘時間よりも移動時間の方がかかるほどだ。

 その所為か大して疲れることはなかったので黙々と続けていたらこんなことになっていた。だが改めて戦ってみて馬鹿げていると感じた。

 普通こんな高レベル帯では1上がるのに数日はかかるだろうにここでは1時間やそこらで上がってしまうとかバランスなんて物をどぶに捨てたような気分だ。

 なにはともあれお陰でかなりレベルは上がったが内心まだ足りない。


 これが六人・・・いや最悪二人のペアでもいい。それならば脱出の可能性は十分にある・・・しかし俺はソロ――たった一人なんだ。ソロの最大の欠点は攻撃も防御も回復も・・・すべて一人でこなさなければならない。

 これが二人ならば一人に回復を任せて攻撃に専念できるだろう。三人なら更に・・・四人、五人、六人・・・数がいればいるほど一人ひとりが抱える戦闘の負担が減り、代わりに長所が十二分に生かされる。何事も一人では成し遂げられないなんてよくある話だ。

 だが、俺はどうあがいても一人、成し遂げられないと言われてもやらなくちゃいけない・・・そのために必要なのが人数に代わる力だ。

 正直ここを脱出するならば今の目算で最低Lv230・・・希望としてはLv250までは行きたい。脱出の途中でレベルが上がることを考慮してもここでLv220ないしLv230までは是非上げておきたい。

 そーなると今日一日ぶっ通してやってLv212・・・最低でも後8・・・


「よし一徹決定」

 こうなれば本当に時間の許す限りレベルを上げる。タイムリミットは明日の夜8/19の22:00までとしよう。そこまでは飲まず食わず休まずでレベルを上げ、そのあと脱出を再開する。


 これが俺の出した最善の策だ。


「・・・決めてアレだが・・・流石にきついだろうな」

 一瞬日和るがやるしかないため深いため息を吐き、覚悟を決めて再び『ギガントタートル』めがけてかけ出す。




[8/20 13:11] 第40回廊 マスターエリア Lv227


 再びここまで来た。結局昨日は22時までひたすらやった結果Lv227と理想の最低ラインまで到達した。レベル上げを終えた後は50回廊のセーフティーエリアで死んだように眠り、今こうして起きて万全の状態で再び『ヨルムンガンド』と対峙している。

 昨日と同じ『ヨルムンガンド』が今にも俺を一飲みにしようと狙っている。だが、こっちもお前を倒すために手は尽くした。レベルを上げ、装備を整え、ここまで来るのに戦闘はわずか3回。それすらほぼ無傷で突破してきた。HPもMPも集中力も有り余っているほどだ。


 これ以上にない万全の状態で迎えた今ならば負ける要素はない・・・後はただ倒すのみ・・・!


「・・・SHA!」

 鋭い鳴き声とともにヨルムンガンドが大きな口をあけて突っ込んでくる。だがこちらは慌てて避けるようなことはせず――


「そこだ!」

 両手に持った二丁の銃で狙いを定めて撃つ。放たれた弾丸は狙い違わずヨルムンガンドの大きな牙を貫いた。


「SHU・・・GAAAAA」

 狙い通り牙は一発で根元から折れヨルムンガンドはもだえ苦しんでいる。攻撃を叩きこむならば今が最大のチャンスだ。


「『ストームブリンガー』・・・全弾一斉掃射!」

 スキル名の宣言とともに俺の目の前に複数の幾何学的な魔法陣が浮かぶ、これはスペルガンナーが使う銃撃魔法の発動の前段階だ。


 銃撃魔法は通常の魔法と違い直線的な攻撃しかないが、詠唱といったチャージ時間がほぼ0のため攻撃速度が速いことが特徴だ。そしてこの『ブリンガー』を冠する銃撃魔法は複数の魔法陣を展開して一斉掃射するタイプの攻撃を持ち、レベルが上がれば上がるほど一度のスキルで魔法を撃つ魔法陣が増える。

 Lv200を超える俺は20もの魔法陣を同時展開できる。しかもこの魔法は魔法陣を15以上同時展開できるようになると攻撃が終わる前にスキルの冷却時間が終了し、間髪いれずに再度使うことができる。この戦法を使った時のスペルガンナーが叩き出すダメージ量は間違いなく『LWO』に存在する全職業中最強を誇る。

 ただまぁ・・・問題はMPを物凄い勢いで枯渇の枯渇させてしまうのだ。でかいダメージを叩きだせるが故に考えなしに使えばMPなどすぐに底をついてしまう。

 そもそも15以上の同時展開を可能にするのはかなりハイレベルになってからなので、大抵のプレイヤーは一桁分しか展開できない『ブリンガー』の半端な火力とそれに見合わないMP消費に見切りをつけて使うのをやめてしまう。中には『最強の銃撃魔法(笑)』なんて言う輩もいる。

 だが俺はそんな他人の意見は完全に無視しこのブリンガー系銃撃魔法を使い続け、ついに最強クラスの火力を叩き出せる力を得た。一方的な破壊を生むブリンガー魔法の一点集中砲火を絶え間なくたたきこむこの戦術。


 ちまちました攻撃を続ける長期戦では勝機を持たない俺が見出した最強の戦法。


 展開された20の魔法陣から緑色の鋭い閃光が飛び出しヨルムンガンドの身体を貫き引き裂く。本当ならばヨルムンガンドの弱点である火属性で攻撃するのがベストなのだが、今使っている銃撃魔法『ストームブリンガー』は風属性の魔法だ。なぜか?

 スペルガンナーは数ある属性の中から2種類の属性しか使えない、万能であるが故の弱点だ。それでもこの『ストームブリンガー』はある意味弱点を突く攻撃よりもうってつけだと考えている。

 この銃撃魔法には持続ダメージ(Damage over Time)通称DoTがあるからだ。一定時間ダメージを受け続けるDoTは蓄積するダメージ量を少しでも、その効果を重ねがけすればとんでもないダメージ量となりうる。


 そうして『ストームブリンガー』が掃射されること約1分・・・正直これで倒せるなんて当然思っていない。そもそも強化前のヨルムンガンドと戦った時も一回の掃射では倒せなかったのだから強化後など言わずもがな・・・だ。それでも3,4割は削ったと思われる・・・そう考えれば掃射を後二回も撃ちこめば勝てる計算だが、問題は残りの二回を以下に確実に叩きこめるかだ・・・


 13時15分・・・短くて長い戦いになりそうだ。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

誤字・脱字・感想・ご指摘など、何かありましたら感想フォームにてよろしくお願いします。


心理描写がほとんどを占めるのは仕方ないにしても、もうちょっと工夫が必要だよなぁ・・・

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