聖拳部へようこそ(◎´∀`)ノ.。.:*③
「斗真君、なんで白石さんが部室にいるの?もしかして入部してくれたとか!?」
「舞維は彼女のこと知ってるの??」
僕はちらっと彼女、白石さんの方に目をやる。てっきり睨み返されると思っていたが、どうやら今彼女の関心は舞維の方に向いているらしい。
「知ってるもなにも学年で知らない人いないくらいの有名人だよ!!成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗!それでいて男子に媚びないクールビューティ!!まぁ、転校してきたのは斗真君が入院中だから知らないのかもしれないけど、とにかくすごい人なの!!」
もう一度彼女の方に目をやる。よく見ると確かに舞維の言う通り、万人受けしそうな典型的な美人といったような顔立ち。そう、アイドル女子アナを連想させるようなそんな感じだ。
あまりにまじまじと見つめたせいか、今度は鋭い眼光が僕の瞳をとらえた。反射的に床に目を戻す。
それにしても…あのときのあの相手が目の前のこの女の子とはまだ信じられない。
「それで、どうなの斗真君?白石さんが入部希望なら断る理由ないよね♪あ、それとも依頼の方かな?」
「ちょっと待って!!」
一人盛り上がる舞維についに白石さんの待ったが入る。
「私はこんな部に入部なんてしないわよ。あなたはこの部の関係者?」
「こんな部なんてひどいなぁ…。あ、ご紹介が遅れました。私は高城舞維。この部のマネージャー兼斗真君の有能な右腕ってとこかなぁ。よろしくねっ♪」
「ふ~ん」
僕と舞維を交互に見やった彼女は、購買のやきそばパンを買い損ねた学生のようにがっくりと肩を落としてふらふらとドアの方に向かって行った。
「なんか邪魔が入ったから今日は帰るけど、ちゃんと依頼の事考えといてよね!」
入って来た時と同じように豪快にドアを閉めた彼女は、放課後の廊下に足音を残して去っていく。
「斗真君、もしかして私邪魔だった?」
「いや、僕にとって舞維はヒーローそのものだよ。」
こうして復学初日の長い一日にようやく幕が下りた。
けどそれはこれから始まる新たな聖拳部の長い長い日々のほんのプロローグのようなもので…