表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/28

「終焉の双狼 ―仁 vs リーパー―」



爆炎の中、焦げた鉄骨が崩れ落ちる音が響いていた。

そこは、かつて仁とレナ(クロウ)が運命に翻弄されたJOKERの実験施設の最深部。

そして今、その瓦礫の上に、二つの影が対峙していた。


「やはり来たか……銀狼ぎんろう。」


低く、獣のような唸り声。

全身を黒い装甲に覆い、死神のような仮面をつけた男――《リーパー》。

JOKERの最高戦力にして、“人類怪人化計画”の象徴。


「お前を止めるために、ここまで来た。」

仁は静かにベルトへ手を伸ばした。

銀色のプレートが閃き、狼の紋章が赤く光る。


> 『Ready... Complete...!』




銀狼の装甲が仁を包み、赤く燃える瞳がリーパーを射抜く。

「俺は……人間として死んだ。けどな、怪人として――人の心まで捨てたつもりはねぇ!」


リーパーの仮面が軋み、低く笑う。

「心? そんな脆いもののために何を守れる? JOKERの理想は“進化”だ。人類は弱い。だからこそ滅ぶのだ。」


「違う! 弱さを知ってるから、仲間を想い、立ち上がる。それが人間だッ!」


銀狼が駆ける。

黒炎と銀光がぶつかり合い、衝撃波が施設を崩壊させていく。

狼の咆哮と共に、拳と爪がぶつかるたび、火花が散り、空気が震える。


だが――その時、リーパーの仮面の奥で、一瞬だけ“涙”のような光が揺れた。

「……お前は、まだ気づいていないのか。俺は――お前の、もう一つの魂だ。」


「なに……?」


「人類怪人化計画《JOKER CODE》……お前を蘇らせる際、我々はお前の“死の瞬間”の記憶を分離し、実験体にした。それが――この俺だ。」


仁の瞳が揺れる。

己の拳が、己に向けられていた――。


「俺はお前の“死”そのもの。だからこそ、終わらせに来た。」


リーパーが黒い翼を広げ、闇を裂く一撃を放つ。

仁は歯を食いしばり、拳を構えた。


「だったら……終わらせてやるよ。人間の“心”でな!」


銀と黒、二匹の狼が、夜を裂いて衝突する。

爆音と光の奔流が空を貫き――

全てが、静寂に包まれた。


燃え落ちる施設の中、仁の腕にはボロボロのベルト、そして沈黙するリーパーの仮面。


「俺は……お前を、そして……俺自身を、許す。」


仁は空を見上げ、月の光に目を細めた。

レナの声が脳裏に響く――

《仁……生きて。あなたは、まだ人間よ。》


夜風が吹き抜け、崩壊した研究所に狼の遠吠えが響いた。

それは、哀しみと誓いの咆哮――。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ