表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

死神の目覚め



暗闇の中、ひとつの心臓が鳴り響いた。

ドクン――

それは人の鼓動ではなく、金属と血が混じり合ったような異質な響き。


「……ついに、目を覚ますか。」


Dr.オルフェウスが端末を操作する。

中央の巨大なカプセルに封じられた影が、ゆっくりと動き出す。

赤い警告灯が点滅し、ラボ全体に不穏な警報が鳴り響く。


『システム解除。対象コード:REAPER-01、覚醒を確認。』


液体が弾け、ガラスが砕けた。

そこから現れたのは、漆黒の装甲に包まれた巨躯――

リーパー。


「……これは死神リーパーの再誕。

 この肉体、この力。すべてはJOKERの理想を実現するためにある。」


その声は低く、しかし地の底から響くような重さを持っていた。

背中の黒い刃翼が開くたび、周囲の空気が軋み、電子機器が次々にショートする。


「銀狼……神崎仁。貴様こそ、人類の希望という幻想の象徴だ。

 俺がその希望を喰らい尽くしてやる。」


リーパーの視線が、遠くの夜空を貫いた。

そこには、廃ビルの上で風に髪をなびかせる仁とレナの姿がある。


レナの表情が強張る。

「……あれが……リーパー。」

「感じる……この圧力。まるで死そのものが歩いてくるみたいだ。」


仁のベルトが脈動し、銀色の光が走る。

だがその奥に、これまでとは違う“影”が揺れていた。


――低く唸る声。

(……もっとだ……力を解放しろ……)


頭の奥に、もう一つの声が響く。

獣のような咆哮、血のような衝動。

仁は歯を食いしばり、額から汗を流す。


「やめろ……俺は……人間だ!」

(人間? 違う。お前は“影狼”。本能を縛るな……解き放て!)


仁の膝が崩れ、銀狼のコアが暴走を始めた。

レナが駆け寄る。

「仁っ! あなたまで飲み込まれたら、もう……!」


彼女の声を掻き消すように、轟音が夜を裂く。

銀狼の装甲が変化し、黒と銀が混ざり合う。

その姿は、もはや“人”ではなかった。


「……影狼、覚醒――」


リーパーが低く呟いた瞬間、二つの存在が対峙した。

銀と黒、光と闇、希望と絶望。


夜風が止まり、世界が静寂に包まれる。

そして次の瞬間――

二人の怪人が、互いに向かって飛び出した。


刹那、都市の一角が光と衝撃に包まれる。


仁とリーパー。

それは、人と怪物、そして“進化”と“魂”の戦いの始まりだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ