表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/28

漆黒の鼓動



冷たい光が差し込む、無機質なラボ。

そこでは、数十本の培養カプセルが低く唸りを上げていた。

その中で蠢くものは、もはや人の形を保っていない。


「……成功率、わずか13%。だが、十分だ。」


白衣の男がモニターを睨みながら呟く。

彼の名はDr.オルフェウス。JOKERの主任研究員にして、人類怪人化計画の“黒幕の右腕”。


「レナと銀狼……彼らは想定以上の進化を遂げた。

 ならば、次は“抑制”ではなく、“支配”の段階に移行する。」


彼の背後、黒いコートをまとった男が立っていた。

顔の上半分を覆うマスク、その瞳には紅い光が灯っている。


「……予定より早いな、オルフェウス。」

「あなたの命令通りに進めています、“リーパー”。」


その名を聞き、研究員たちは息を呑んだ。

リーパー——JOKER最強の改造体。

“死神”と呼ばれるその存在は、組織の象徴であり、同時に最も恐れられる存在でもあった。


「銀狼……神崎仁。あの男の覚醒は計画外だ。

 だが、悪くない。混乱こそ進化の触媒となる。」


リーパーはゆっくりと手をかざす。

黒い霧のようなエネルギーが彼の掌から広がり、空気が歪んだ。


「この鼓動を聞け……

 これは“滅び”の胎動。新たな世界が、産声を上げる音だ。」


ラボ全体が震えた。

カプセルの中で眠る改造体たちが、一斉に目を開ける。

赤い光が闇を貫いた。


――その頃。


廃ビルの屋上に立つ仁とレナ。

夜風の中、遠くの街から不穏な黒煙が上がる。


「……何かが始まったな。」

「うん、嫌な予感がする。

 あの鼓動、感じない? まるで……地の底から響く心臓の音みたい。」


仁は拳を握った。

銀狼のベルトが低く唸り、狼の咆哮のような音を立てる。


「レナ、準備はいいか?」

「いつでも。」


二人の視線が交わった瞬間、遠くの空に黒い稲妻が走った。

夜が裂け、世界が震えた。


それは――“漆黒の鼓動”。

JOKERの最終段階が動き出す、破滅の合図だった。



---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ