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新たなる誓い


夜明け前の風が、焼け跡に残る灰を静かに舞い上げた。

そこに、仁はひとり膝をついていた。

かつての仲間の幻影、そして失われた街の灯が、頭の中で何度もフラッシュバックする。


「……守るつもりだったのに。結局、何も守れなかった。」


その呟きに、静かに応える声があった。


「それでも……あなたは立ち上がったじゃない。」


振り返ると、そこにレナが立っていた。

クロウの黒い翼も、JOKERの印も消え、白衣の裾だけが風に揺れている。

彼女の瞳には、わずかに涙の光が宿っていた。


「レナ……お前、もう……」

「ええ。JOKERの制御チップは、完全に外れた。もう“私”は私として、あなたの前にいる。」


彼女の声は震えていた。

クロウとして過ごした日々、命を奪い、命令に従い続けた自分への罪悪感が、言葉の端々から滲んでいた。


「俺も……怪物だ。人を救うはずが、JOKERの手でこの姿にされた。

 だが、あの時、お前が“仁さんはまだ人だ”って言ってくれたこと、忘れられなかった。」


レナは微笑んだ。

その笑みには、涙と希望が混じっていた。


「なら……もう一度、人として戦おう。

 JOKERの作った“進化”なんて、偽りの楽園を壊すために。」


仁は立ち上がり、腰のベルトに手を添える。

その中央に埋め込まれたコアが、静かに脈打つ。


「俺は……銀狼。

 だが、怪人でも英雄でもない。

 ただ――人として、仲間を守る。」


その言葉に、レナも拳を握りしめた。

炎のように燃える決意が、彼女の瞳に宿る。


「JOKERを終わらせよう、仁。」

「……ああ。

 この命、何度でも燃やしてやる。」


二人は夜明けの光の中で、並び立った。

その影が長く伸び、遠くの崩壊した都市へと続いていく。


――人類怪人化計画。

それを止めるのは、もはや人ではなく、“人でありたいと願う怪人”たちだった。


仁とレナの、新たなる誓いが交わされた。



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